日本の伝統楽器なのに知らないことだらけ!『箏(こと)』の謎を徹底解剖!
- 2019/01/03
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日本人なら知っておきたい箏のこと
箏は日本を代表とする伝統の和楽器の一つ。
箏を使った有名な曲に、お正月のTV番組や商業施設のBGMでお馴染みの「春の海」があります。
箏と尺八の二重奏が美しく、日本の美を感じさせる名曲です。
箏を知らない日本人は少ないとは思いますが、箏がどんな楽器で、どんな歴史を持つのかを具体的に説明できる人はどれくらいいるでしょうか。
今回はそんな知っているようで知らない箏を徹底解剖!
バックグラウンドを知ることで、箏という和楽器がもっと好きになるはずです。
「琴」と「箏」は違う楽器!?
本記事をここまで読んで「なぜ、“琴”じゃなくて“箏”なの?」と、疑問を抱いた人もいるのでは。
実は、琴と箏は読み方は同じでも、まったく別の楽器なのです!
箏は、柱を動かして音の高さを変えるのに対し、琴には柱がなく、指の位置を調節することで音の高さを変えます。
※ですが例外として、琴の漢字が当てはめられている「和琴」には柱があります。
柱のない琴で有名なものには、一絃琴(いちげんきん)、二絃琴、七絃琴、大正琴があり、人によっては箏よりも琴のほうが馴染みがあるかもしれませんね。
昔は絃楽器をまとめて「こと」と呼んでいた
大昔、「こと」は絃楽器(げんがっき)の総称でした。
ギターにもアコースティックギターやエレクトリックギターがあるように、当時の「こと」は特定の楽器を指す言葉ではありませんでした。
源氏物語にも「箏(そう)のこと」「琵琶のこと」「琴(きん)のこと」という呼び名が登場しています。
「箏のこと」だったはずの箏が「こと」と呼ばれるようになったのは、単純に箏が最も一般的な「こと」になったからです。
で、箏ってどんな楽器なの?
箏は基本的に13本の糸によって構成されていますが、十七絃箏(じゅうしちげんそう)という多絃箏もあります。
十七絃箏を考案したのは、あの「春の海」を作曲した宮城道雄氏です。
長さは、生田流の本間(ほんげん)が約190㎝、山田流が約182㎝と、なかなかの大きさ。
古くは、富裕層向けに木画や蒔絵などの装飾が施されている箏が多く見られましたが、最近は音色を重視したシンプルな箏が好まれているようです。
一般人がプロの演奏家になれたのは明治以降
江戸時代にも“プロの職業として”の箏の演奏家たちがいました。
ですが、プロとして認められたのは盲人の音楽家のみ。
この背景には「当道(とうどう)」という幕府が公認した盲人の自治組織があったことが関係しています。
そのため、三味線は歌舞伎や人形浄瑠璃といった目で楽しむ要素のあるシーンで発展したのに対し、箏は劇場とは無関係の“純音楽”として独自の発展を遂げていったのです。
明治時代以降は、当道の制度がなくなったため、盲人以外の人も箏の演奏を職業にすることができるようになりました。
このころに作られた曲は「明治新曲」と呼ばれ、明清楽(みんしんがく)の影響が垣間見え、一番盛り上がっていた地域は大阪だったといいます。
現代の箏作品
現代では、クラシック音楽との交流も盛んになり、箏の活躍の幅も広がりました。
箏とオーケストラのための作品には、
・「(八面の)箏とオーケストラのためのプロジェクション・花鳥風月」(湯浅譲二)
・「二十絃箏とオーケストラのための交響的エグログ」(伊福部昭)
・「In the shadow of the tree 一人の奏者の三面の箏とオーケストラのための」(ソフィア・グバイドゥーリナ)
・「箏とオーケストラのための協奏曲」(坂本龍一)
などがあります。
他に、「Kagrra,(かぐら)」や「和楽器バンド」をはじめ、バンド演奏のなかに箏を取り入れる例も。
箏の独奏も美しく優雅なのは言うまでもありませんが、今後もさまざまな音楽のなかで独自の存在感を発揮し続けることでしょう。