ブラザーに見習うべきは「金を稼ぐこと=是」という価値観
- 2018/10/08
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金を稼ぎやがってという、やっかみ
「クソゲー」なる言葉は、今や説明が不要なぐらい人口に膾炙していますが、同様に「俺ゲー」という今ひとつメジャーになりきれていない言葉があります。
「俺ゲー」とは「自分しか真価を見出していないゲーム」のこと。「このゲームの良さがわかるのは俺だけだぜ」という、一種のスノビズムが漂う何ともイヤミな言葉ですね。
これと同じ様な傾向は、インディーズで活動しているミュージシャンのファンにもしばしば見られるもの。俺ゲーならぬ「俺バンド」「あたしバンド」の間は、熱心にライブに通ったりするのです。
しかし、そんなバンドがメジャー契約にありつき、何かのはずみで売れてしまうと「あー、あの連中? インディ時代は良かったけれど、今はね……」などと、何ともいえないセリフを口にするようになる。
そんな言葉の裏に感じるのは、子どもが親元を離れていく際に感じるであろう、喜びと寂しさ。そして「大金を稼ぎやがって」という、やっかみです。
日本のヒップホップにある「セルアウト批判」
確かにインディーズのバンドなら、メジャーのレコード会社へ移籍した途端にセールスを重視されますから、好き放題なことはできなくなるもの。エッジが鈍ったりすることはあるでしょう。
だからといってメジャーにいったミュージシャン全てが、その途端に退屈になるとは言いきれないもの。しかし「退屈になった」といってしまう人が存在するのは、どこかに「売れる=悪」というイメージがあるから。金を稼ぐことは、音楽の追求にはジャマなものであるというイメージがあるからでしょう。
このことは、日本のヒップホップにおいても目につきます。
例えば、誰々はセールスのためだけの音楽ばかり作っているという「セルアウト批判」。音楽業界でメシを食っていくためには、そりゃ売れることを優先して曲を作ることもあると思いますし「feat.誰々」みたいな感じで、カワイイ子とコラボレーションしたりすることもあるでしょう。
しかし、自称ハードコアなリスナーたちはそんなのが許せない……売れ線ばかりは許せないという、セルアウト批判が始まってしまうのです。
大金を稼ぎまくる、アメリカのヒップホップ界
一方、アメリカに目を移すと日本のセルアウト批判がバカバカしく見えるぐらいに、ヒップホップ・ミュージシャンたちは大金を稼ぎまくっています。
例えばドクター・ドレー、カニエ・ウェスト、JAY Z。
彼らは、世界的に名の知れまくったヒップホップ・ミュージシャンであると同時にサイドビジネスも絶好調。ドクター・ドレーが2014年に手にした収入は600億円超、これは自身のヘッドフォン・ブランド「Beats」をアップル社に売却したことで稼ぎ出しました。
またカニエ・ウエストはナイキとのコラボレーションなど手がけるアパレルが絶好調。自身が歩くトレンドと化しており、彼が身に付けたブランドがブレイクするのが近年の常になっています。
彼らがサイドビジネスで金を稼ぎまくっている風潮に、アメリカでも「お前らはミュージシャンじゃなくて、ビジネスマンなんだろ?」なんていう批判が集まった時期のありました。それに対してJAY Zが返した言葉がふるっています。
「俺はビジネスマンじゃない。俺がビジネスなんだ」……金を稼ぐこと=悪とは一切思っていませんし、音楽面でもファンを失望させた覚えはないという自負から出た言葉でしょう。
このままでは日本の音楽も経済もドン詰まりでは?
カニエ・ウエストはともかく、ドクター・ドレーにしてもJAY Zにしても、ヒップホップ・ミュージシャンの多くは、非常に厳しい環境に生まれ「金を手にする=生きること」としてキャリアを築いてきました。だから、同じような境遇にある子どもたちの心をつかみ、音楽業界での成功をつかみ、それを足がかりにサイドビジネスでも成功を収めた。
確かに批判はあるものの、彼らに集まる視線の大半は尊敬やあこがれに満ちているのです。
一方、日本を見てみると……いくら貧しいとはいえ、食うや食わずという人はごくわずか。幻想は崩壊したとはいえ、いまだに「一億総中流」なる言葉にリアリティがあります。それだけに金持ち=異物として排除しがち。
お金持ちを見かけると、どこかで悪いことをやっているのではないか? という、目で見るのが正しいという価値観がある。
例えば先に触れた、日本のヒップホップにおけるセルアウト批判がそうですし、剛力彩芽さんを彼女にするわ、宇宙旅行の計画を打ち出すわの誰かに対する視線もやっかみに満ちています。
いい加減、金を稼ぐ=是という価値観を植え付け直さなければならないのではないかと思うのです。じゃなければ、世界に通用するミュージシャンも経営者も日本からは出てこないのではないか? と思うのですが、いかがでしょうか。