ゴーン問題で揺れる日産だが、その親会社「ルノー」ってどんなメーカー?
- 2018/12/08
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「フランスを代表する企業のCEOが逮捕」という衝撃
「カルロス・ゴーン氏、金融商品取引法違反の疑いで逮捕」
1999年に日産自動車のCEOに就任するや、短期間で業績を回復。誰もが認める敏腕経営者ゴーン氏が報酬を過少に報告していたのではないか? という事件の波紋は、国内だけでなく海外にも広がりをみせています。
その波紋がことさらに大きかったのは、日産の親会社でもあるルノーの本拠地フランス。倒産寸前だった日産自動車に、約50億ユーロ(6,430億円)を出資したルノーは、日産自動車の40%近くの株式を取得。ルノーで上席副社長を務めていたゴーン氏を送り込み、経営改革に着手させた……結果が、ルノーのCEOでもあるゴーン氏の逮捕とは、その驚きの大きさが理解できるのです。
ルノー社といえば、フランスを代表する企業。傘下におさめているのは日産以外にも、ルーマニアのダチアや、韓国・サムスングループの自動車部門などがありますから、その規模たるや世界有数。2017年の上半期、グループ全体の販売台数はフォルクスワーゲンやトヨタを抜いて、堂々首位にもなっています。
大戦とともに成長し、終焉を迎えたルノー
そんなルノーの創業は1898年。世界最古の自動車メーカーといわれている、同じフランス・プジョー社が1889年の創業ですから、これと比べても遜色がないほど、長い歴史を持っている自動車メーカー。1899年にはFRの原型となる機構を開発、これを搭載した小型自動車「ヴォワチュレット」をヒットさせて、フランス最大の自動車メーカーとなりました。
そしてルノーをさらに成長させたのが、第1次世界大戦。戦車や装甲車、トラック、航空機、船舶まで手がけるようになったのですが、大戦が終了すると特需も終了。世界恐慌のあおりも受けて経営は悪化。第2次世界大戦では生産、販売の両面で大きなダメージを受けてしまいます。
国営化で立ち直り、小型車をヒットさせて成長
そんな窮地に陥ったルノーを救ったのは、戦後フランスの指導者となったシャルル・ド・ゴール。フランスの国営とすることで戦争の痛手から回復させることに成功し、次々と車種をヒットさせていくのですが、ルノーの国営時代は1990年まで続くもの。
現在もフランスがルノーの株式の15%を保有し、筆頭株主となっているのは、このころの名残といえるでしょう。
また、戦後のルノーを立ち直らせた車種として、1946年に発売され生産台数は110万台を超えるというヒットとなった「4CV」をあげることができますが、以来、ルノーが得意としているのはもっぱら小型車。
現在ではワンボックスやRV、スポーツカーなど様々な車種を手がけていますが、主力車種は、やはり小型車。日本でも売れている「トゥインゴ」や「カングー」、「メガーヌ」らも小型車ばかりとなっています。
フランス人にとってのルノーは、日本人にとってのトヨタ以上?
国営の自動車会社であったこと、そして今だにフランスが筆頭株主であること。
庶民が主に利用する、小型車を得意としていること。
この2つから考えると、ルノーはフランス国民にとって、非常に親しみがある会社。いや、親しみなんて単純な言葉では言い表せないほどの存在。日本人にとってのトヨタ以上の存在といえるのではないでしょうか?
そんなルノーが日産自動車を始めとして、次々と海外の自動車メーカーを傘下におさめていき、遂には世界最大の販売台数を記録するまでになった様子は、フランス国民にとって誇りといってもよい感情を抱いたに違いありません。
そして、そんなルノー・グループのトップに立つカルロス・ゴーン氏が、突然極東の日本で逮捕されたとなると、彼らの心中はいかなるものか。
もちろん穏やかではないことは、フランスの経済紙が「日本人が仕掛けたクーデターである」と報じたことや、フランス最古の新聞であるフィガロ紙が「これでは日本からは才能のある外国人から敬遠されてしまう」と報じたことからも推測されますし、仏マクロン大統領の「政府はルノーと日産の関係の安定性を注意深く見守っていく」というコメントにも表れているのです。
しかし、この事件で動いたのは「日本最強の捜査機関」の異名をとる東京地検特捜部。さすがのゴーン氏も無傷という訳にはいかないと思うのですが……波紋は日仏関係にまで及びそうな勢いなのです。