80年代を彩った自動車を紹介!! クーペ編

  • 2018/05/28
  • ライフスタイル・娯楽
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  • アントニオ犬助
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思い起こせば、クーペの時代だった

思い起こせば、クーペの時代だった

日産「インフィニティ・Q45」とは、80年代の未成熟な日本の象徴である!!
と、前回の「ヤジアップ!」の原稿で大いにブチ上げてしまった犬助です。その余波でしょうか? 以来、頭の中を駆けめぐるのは80年代に登場した車たち……すっかり、ノスタルジーモードになってしまっています。そこで、今回は「80年代を彩った自動車 クーペ編」をやりましょう。

80年代の若者が乗っていた車は千差万別、セダン派、ホットハッチ派色々いたものです。しかし、ことさら目立っていたのが小型クーペ勢。低い車高に2ドア、スポーティなルックスを持つ「デートカー」を乗り回していた連中。
日産「シルビア」やトヨタ「セリカ」、ホンダ「プレリュード」、「インテグラ」……なぜ、こんな車たちが一世を風靡したのか? それは世間がリア充な空気に包まれていたバブル真っ只中だったから。そして当時の男性の若者が、子どものころにスーパーカーブームの洗礼を浴びていたからではないでしょうか?

例えば、デートカーの象徴といえばスーパーカーライトもとい「リトラクタブルヘッドライト」。ライトを点灯させると、ボンネットが反転して中からヘッドライトが現われる。そんなギミックに、スーパーカーの面影を重ねて若きオーナーたちは悦に入ったものでした。

80年代のクーペを象徴する(はずだった)ピアッツァ

そんなデートカーが大ブームとなる直前の1981年、一台の小型クーペがデビューしました。その自動車の名前は、いすゞ「ピアッツァ」。
そのコンセプトモデルである「アッソ・ディ・フィオーリ」がジュネーブ・モーターショーで発表されたのが1979年、そのクサビ形のボディラインの斬新さに、来場者の多くが感嘆の声をあげたといいます。

これのデザインを手がけたのは、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。
マセラティ「ギブリ」や「ボーラ」、フィアット「ディーノ・クーペ」などクサビ形のスーパーカーで、日本中の少年たちを熱狂させたカーデザインの大家です。

コンセプトモデルの好評を向けて、いすゞはピアッツァ市販化のプロジェクトを加速。
テーマは「手ごろなスーパーカー」だったといいますから、ターゲットはスーパーカーの洗礼を受けた層を設定していたのでしょう、そしてデザイナーはジウジアーロ。
この文字だけを見ているとピアッツァは大ヒット間違いなしのはず、デートカーの先駆けとして今も記憶に残る一台となってるはずでした。

斬新過ぎるデザインのお陰で大失敗

斬新過ぎるデザインのお陰で大失敗

しかし、現実にはピアッツァが大ヒット作とはならなかったのは、ご存知の通り。

理由はデザインがあまりにも斬新過ぎたから。
コンセプトモデルを、ほとんどそのまま市販するという暴挙に近いことを、当時のいすゞはやってのけたからです。

通常、自動車のコンセプトモデルとは、ファッションショーに登場する「作品」の様なもの。メーカーの自動車造りに対する姿勢や方向性を指し示すためのものですから、当然、それをそのまま市販化するということは、まずありません。なぜなら、市販化を前提にデザインされていないコンセプトモデルを量産化するとなると、どうしてもコストがかかるから、そして斬新過ぎるケースがあるからです。

にもかかわらず、それをやってしまったのが当時のいすゞ。
恐らくですがピアッツァ開発当時はバブル前夜、今では考えられないぐらい、開発の現場には予算が潤沢にあったのだと思いますし、何か面白いことをやってやろう!! という、気概にもあふれていたことでしょう。

そして、それが形になったのがピアッツァ。
自分がデザインしたコンセプトモデルそのままの市販車を目にしたジウジアーロ氏が、あまりのことに絶句したというエピソードを、犬助も聞いたことがあります。

何と、ピアッツァの後を継ぐクーペも登場!!

何と、ピアッツァの後を継ぐクーペも登場!!

 

……パッとしないままピアッツァの製造が終了したのが1993年、その後、いすゞはSUVやOEMを除いて乗用車市場から撤退していくのですが、ピアッツァはその一因であったことは疑いようがありません。
コンセプトモデルをそのまま市販化するような愚を犯すなんて、ありえない。
いすゞ・ピアッツァの失敗を見て、当時の犬助は思ったのですが……そんなピアッツァが製造を終了する前年、今度はスバルが「アルシオーネSVX」で同じことをやらかします。

デザイナーはもちろん、ジウジアーロ氏……コンセプトモデルそのままのデザインが斬新過ぎることに加えて、今度は価格も高すぎた。もちろんセールスは大失敗でした。

でも今思い起こしてみるとピアッツァにしろ、アルシオーネSVXにしろ、ジウジアーロ氏が手がけたクサビ型のフォルムには、そのまま市販化したくなる魔力のような美しさがありました。
でも、スーパーカーにとりつかれた世代にとっても、あまりにもくさび形すぎるコンセプトモデルまんまのクーペたちは、刺激が強すぎたのです。
それもこれも、自動車業界を含めた日本中がバブルに浮かれていたせいかもしれない……ね、80年代っぽい話でしょ?

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アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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