自動運転の事故には損害保険が対応する方針へ
- 2018/05/26
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自動運転の責任問題に一応の決着
2018年5月の段階では、自動運転といってもピンと来ないオヤジが多いかもしれません。実際、自動車には運転手が乗っており、自動運転といえるような走り方をしている自動車はほとんど存在していないのが現実です。
そんな中、一部のオヤジが注目していた?自動運転中の事故の責任が誰にあるのか、賠償責任は誰が負うのかという問題に一応の決着がついたようです。
責任問題そのものは、製品としての自動車に欠陥があって、それが事故の原因であればメーカー責任、そうでなければユーザー責任とするのが妥当だという考えができます。問題は、保険を使って賠償に充てることが可能かどうか。その結論として、保険が使える方向になりました。
現在のところは、大手の損害保険会社各社において、自動運転システムによる運転中の事故にも対人賠償を適用する商品を販売する方針を固めた段階です。今すぐに支払いどうこうという話ではありません。この方針に向かった背景としては、政府が自動運転による事故の責任を自動車の所有者に帰属させるという見解を示したことがあるとされています。
ユーザーに責任があるとなれば、自腹で賠償するか自賠責保険で賠償するかですが、それでは対人賠償が机上の空論になりかねません。したがって、任意保険が対応する以外に現実的な対策はないわけです。
保険の対象となる自動運転は、レベル3となりそうです。レベル3とは、原則として自動運転システムが運転を担当し、非常時には運転手が運転操作をするという区分になっています。つまり、運転手が乗車していることが前提です。完全無人化の自動運転は無関係ですが、日本においては、無人車が走り回る世の中はまだ先の話でしょう。
自動運転対応保険の内容とは
さて、現状の任意保険とよばれる自動車保険は、対物賠償と対人賠償をセットで入るのが一般的になっています。しかし、自動運転の保険については対人賠償がメインで語られているようです。それでは、対物賠償は除外されるのでしょうか?
対人賠償しかない自動車保険に加入するオヤジがどのくらいいるかを考えたとき、損害保険会社としても対物賠償を無視することはできないでしょう。というわけで、自動運転対応の任意保険においても、対人賠償に加えて対物賠償も付くと考えられています。
2020年の東京オリンピックの年に、無人自動運転での移動サービスを実施することを政府が目標としている関係で、この2年のうちに損害保険も大きく変貌する可能性があります。現行の損害保険においても特約をつけて対応することが可能な部分はあるでしょうが、本格的な自動運転保険があった方がよいことはたしかです。
ここで気になるのが保険料の増減です。一説には、自動運転化することで交通事故の発生数が半数以下になるとの試算があります。事故が減れば賠償金の総支払額も少なくなることから、保険料が下がるのではないかと期待する声もあります。
ところが、自動運転が進んでも保険料の低下にはつながらないとする意見も少なくありません。その理由としては、人件費など保険会社の経費の問題や、保険会社の競合によるスケールメリットの減少、少子高齢化による保険加入者の減少などがいわれています。個々の理由は弱いですが、組み合わされば結構な説得力を持ちそうです。
しかし、もっと重要な点として、自動運転自動車が高額である点が挙げられます。また、ちょっとした事故でも修理箇所が多くなるともいわれています。このように、対人賠償は別ですが、対物賠償では自動運転自動車の賠償額が嵩むことから、保険料を簡単には下げられないというものです。
もっとも、自動運転自動車が当たり前の世の中になれば、コストも下がり、保険料も安くなると考えられます。そのときを心待ちにするとともに、金があるオヤジは自動運転自動車の普及率を上げるために買うのもアリです。