もう悩まない!おやじのための「微熱対策」 

  • 2019/07/30
  • ヘルスケア
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  • 木村 妃香里【薬剤師】
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微熱が続くと体がだるくてツライですよね。高熱なら仕事も休みやすいですが、微熱だと仕事を休みづらいという悩みを抱えている方もいるでしょう。微熱のせいで頭が回らない、なんとか微熱を克服したいという方のために、この記事では微熱が出る原因から対策方法までご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.人の体はなぜ熱が出るようになっているのか

人の体はなぜ熱が出るようになっているのか
熱が上がる代表的なイベントが風邪です。インフルエンザにかかると38度以上の高熱が出ることが多いですが、通常の風邪であれば37~38度前後のことが多いでしょう。ちょうどこの37~38度くらいの熱を微熱と呼ぶことが多いです。

体内に病原体が侵入すると、体は病原体を排除するために体の熱を上げようとします。つまり熱が出ているということは、体の防御反応がしっかり行われている証拠なんですね。

ちなみに風邪の正式名称は「風邪症候群」です。余談にはなりますが、風邪の原因の80~90%はライノウイルスやコロナウイルスに代表される、ウイルスが原因だと言われています。

つまり菌をやっつける抗生物質を飲んでも風邪の回復にはほとんど意味がありません。むしろ抗生物質によって下痢や吐き気が起こることもあるので、「風邪を引いたら抗生物質!」という考えは実は間違っているんですよ。

 

2.微熱が出る原因

多くの方が風邪を引いたときに熱が出ることから、微熱=風邪を連想するかもしれません。しかし驚くほどに微熱が出る原因は多いものです。風邪についてはすでに触れましたので、ここからは風邪以外で微熱が出る原因を紹介していきます。

2-1.疲労
疲労も微熱が出る原因だとは意外と知られていないかもしれません。「そういえば、疲れているときは微熱が出やすいな」と感じたことがないでしょうか。アリナミンでお馴染みのタケダの調査によりますと、20歳以上の成人の74.4%は何らかの疲れを感じているそうです。

働き盛りの年齢だと疲労だけでなくストレスを抱えていることも多いことから、微熱が出てしまいやすい状態だと言えます。

参考:疲れの実態1:疲れの程度|疲れの基礎知識|がんばるあなたに。疲れの情報局|アリナミン

2-2.自律神経の乱れ
自律神経とは交感神経と副交感神経のことです。自律神経はホメオスタシスという働きを持っており、体温や呼吸、脈拍などを平常な状態で保ってくれています。しかし自律神経の働きが乱れるとこのホメオスタシスがうまく働かなくなるため微熱が続いてしまうこともあるのです。

俗に言う自律神経失調症ですね。自律神経の乱れやすさは生まれつき持っている性質でも変わりますが、ストレスや疲労、生活習慣などによって乱れやすくなります。

2-3.前立腺炎
何らかの原因で細菌が前立腺に感染すると起こるものです。前立腺は男性にしかないことから、ここで紹介している微熱の原因の中でも、とくに男性特有のものであると言えます。前立腺炎になるとトイレが近くなったり排尿痛や残尿感を生じることが多いです。人によっては微熱を通り越して40度近くまで熱が上がることもあります。

2-4.胃腸炎
いわゆるお腹の風邪ですね。主にウイルス感染により起こります。厳密に言えば風邪とは違うため、お腹の風邪という言い方は少々語弊があるかもしれません。

代表的なものだと生ガキから感染するノロウイルス、生の鶏肉によるカンピロバクターが多いです。もちろん他の原因もあります。胃腸炎は吐き気や下痢といった症状が代表的ですが、微熱が起こることもあるため、お腹の風邪と言われることもあるんですね。

2-5.ケガ・炎症
親知らずの抜歯をした後に熱が出たという経験はありませんか?体のどこかをケガしていたり炎症が起きていたりする場合も熱が出るケースがあります。

捻挫したとこを触ると熱を持っていることがありますよね。炎症とは「炎」という字が含まれていることからも、腫れや痛み以外に熱も起こるのです。

 

3.微熱を回復させる方法

微熱を回復させる方法
微熱が出る原因として代表的なものを上でご紹介しました。ここからは原因を把握した上でどのように微熱を対処すべきか、回復方法を紹介します。

3-1.体を休める
疲労した状態が続くと、免疫反応の働きが弱くなってしまうことがわかっています。免疫細胞の1つであるナチュラルキラー細胞の働きや数が低下してしまうのです。

疲労そのものも微熱が起こる原因となりますが、免疫が正常に働かなくなることでさまざまな感染症にかかりやすくなってしまいます。そのため体を休めることは免疫系を正常に保つ意味でも非常に大切なのです。

体を休める上でもっとも大切なのが睡眠でしょう。疲労が取れない、日中に眠くなるといったことがあれば睡眠時間がたりていない証拠です。とはいえ仕事が忙しいとなかなか睡眠時間を十分に取れないこともありますよね。

そのようなときは睡眠前に激しい運動をしない(交感神経が優位になるため)、ベッドに入ってからはスマートフォンを扱わない、深酒をしないなどの簡単な対策で睡眠の質を上げることが可能です。どんなに長く寝ても睡眠の質が悪ければ意味がありませんので、ぜひ質を意識してみてください。

3-2.栄養バランスを気にする
至極当たり前のことにはなりますが、栄養バランスとはとても大切なものです。なぜなら私たちの体は食べたものをエネルギーに変換して動いているからですね。とくに重要なのは三大栄養素と呼ばれている炭水化物、たんぱく質、脂質となります。エネルギーの約60%を炭水化物から、約25%を脂質から、残り約15%をたんぱく質から補っているのです。

近頃のダイエットでは低炭水化物ダイエットなるものが流行していますが、炭水化物をカットしすぎるとエネルギー不足に陥ってしまうこともあるので気をつけなければなりません。

またビタミンB群も積極的に摂取しましょう。とくにビタミンB1、B6、B12は疲労に有効です。これらのビタミンは三大栄養からエネルギーを作り出すのに必要となるためですね。ビタミンB1はエネルギーの大部分を作り出す炭水化物をエネルギーに変えるのに必要なビタミンとして知られています。そのためビタミンB1を多く含む豚肉や大豆製品を意識して食事に入れてみましょう。

3-3.微熱の原因となる疾患の治療
微熱の原因がわかっている場合は、そちらの治療を最優先します。また現段階でとくに疾患がない方でも疲労が数ヶ月続いている方は、念のため医療機関で検査を受けましょう。

 

4.市販薬で微熱の回復をするなら

微熱といえども、何日も続くとツライものです。最後に市販薬を使った微熱の回復方法をご紹介します。

4-1.解熱剤
熱を下げるといえば解熱剤ですね。市販の解熱剤は種類によって入っている解熱成分が異なります。代表的なものだとロキソプロフェンナトリウム、イブプロフェン、アセトアミノフェンです。

このうちもっとも効果が強いのはロキソプロフェンナトリウムですが、こちらは薬剤師がいないと買えないため、利便性で言えばイブプロフェンでしょう。広く使われている成分で、炎症を抑える働きもあるため使いやすいです。アセトアミノフェンはあまり効果が強くなく抗炎症効果も少ないですが、胃に優しいので胃腸が弱い方でも使いやすくなっています。

微熱の原因が風邪であればこれらの解熱剤で一時的に下がるでしょう。しかし疲労や自律神経失調症などが原因の微熱は、解熱剤を飲んでもなかなか熱が下がらないこともあります。

また解熱剤は一時的に熱を下げるものであり、微熱の症状そのものを治すものではないため、使用するのなら常用するのではなくどうしてものときの使用をおすすめします。解熱剤は胃腸へ負担がかかるため、胃腸炎の場合は使用を避けてください。

4-2.ビタミン剤
栄養バランスの整った食事と言われても、実践するのは正直難しいです。そこでおすすめなのがビタミン剤。三大栄養からエネルギーを作るのに必要なビタミンB1、B6、B12の入ったビタミン剤を使ってみましょう。

ビタミン剤といってもサプリメントではなく医薬品として販売されているものを選んでください。医薬品の方が成分の配合量が明確ですし効能効果もきちんと明記されているためです。

 

5.まとめ

まとめ
微熱はさまざまな原因で起こります。風邪や疲労、胃腸炎やケガなど原因はさまざまです。働き盛りのオヤジ年代だと疲労が原因の方も多いのではないでしょうか。

疲れているなと感じている方はビタミンB群を意識して摂ってみてください。胃腸炎やケガなど他に思い当たる原因がある場合は、そちらの治療を優先しましょう。

この記事の作者

木村 妃香里【薬剤師】
木村 妃香里【薬剤師】
薬学部を卒業後、一日に2,000人以上が来店する大型のドラッグストアで4年間勤務。「胃の調子が悪い」、「疲れが取れない」、「よく眠れない」などの誰もが抱えている、だけど気になってしまうような悩みの相談に乗ってまいりました。現在は「正しい情報を必要としている人に届ける」ことを目標に、日々健康や美容についての情報を発信しています。
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