魚沼産コシヒカリはこれっぽっちもマズくなっていない
- 2018/03/22
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すわ世代交代か?コメ界の大横綱がピンチらしい
前年のコメの出来具合を計る指標として有名な「米食味ランキング」において、あのブランド米「魚沼産コシヒカリ」が初めてランクを落としたことが話題になっている。
魚沼産コシヒカリは、この食味ランキングが始まって以来ずっと「特A」をキープしてきた唯一の銘柄だけに、「ついに魚沼産伝説も終わってしまうのか」「鬼の首を取ったぞ」と騒ぐ外野がうるさいが、はっきりいって魚沼産コシヒカリという看板は、今年も1ミリも後退していない。
それどころかランキングを別角度から見て、米どころの実力を再認識した銀シャリ大好きっ子なのである。
食味ランキングをもっと平たい視線で見ると
日本穀物検定協会によると、この食味ランキングは
▼全国100人の専門家が各銘柄を食べ比べした結果を数値化し、上から順にランク付けしたもの
であり、話題の魚沼産コシヒカリ自体が「うまくなったかマズくなったか」を計る代物ではない。
つまり魚沼産コシヒカリだけを毎年食べた経過の積み重ねでマズいと判定されたのではなく、あくまで「今年は他にうんまいメシがたくさんあった」にすぎないのである。
さらに今年は全部で43の銘柄が特Aにランクされたが、これはいささか「乱発気味」の様相ともいえる。
もちろん米の銘柄が多くなったこともあるが、たとえば30年前の平成元年だと特A銘柄はわずかに13しかない。
こうして特Aの価値自体が少しずつ薄まってきていたところへ、もうひとつ今年は特大のパンチが新潟を襲った。
夏以降の天候不順である。
天変地異に勝てないのはコメが生ものである証拠だ
なぜか食味ランキングでは「各地域の作況指数」がまったく考慮に入れられていない。
昨年、新潟県全体の作況指数は「96」のやや不良で、魚沼地域は「97」、お隣の中越地域に至っては「91」!、収量も約1割減という厳しい年だった。
これは隣接県(ほとんどが100以上)と比べても群を抜いてコメ作りが難しかったレベルといえ、ほかに作況指数が100を切っていながら複数銘柄が特Aにランクされた県は、宮城県しかない。
逆に言えば、これこそがコメづくり県「新潟」そして「宮城」の底力、ブランド力だと思う。
豊作なら確かにコメはうまかろう。けれど寒さの夏をオロオロ歩きながらも(by宮沢賢治)、土壇場で踏ん張ったコメ農家さんにも最大限の敬意が払われてしかりのはず。
そして食味ランキングは、作況指数とのセットで発表される資料(実際に存在する)の方を取り上げるべきで、評価の方法とマスコミの話題の作り方がやや偏っている証左でもある。
今年本当に注目すべき銘柄は何なのか
実は基本的なコメの味というものは、ここ30年ほど変わっていないとする専門家もいる。というのは
▼新しい品種の親やそのまた祖先には、コシヒカリが多く使われている
からだ。
もちろん新味の開発に重きを置いた品種もあるが、品種改良の大きな目的はもうひとつ「作りやすい」「病気に強い」など、農家の負担軽減にもある。
だから食味自体は「コシヒカリの良さを継いで」という銘柄が多いことも覚えておきたい。
とはいえ、ニューカマーの味がいち早く知りたいのは農耕民族・日本人の「性」だ。
そこでこれまでの考察を参考に、独断と偏見で取り上げるコシヒカリ以外の「穴場特A」銘柄をご紹介しよう。
▼次の連勝記録はキミたちに任せた!
北海道 ななつぼし
佐賀 さがびより
魚沼産コシヒカリの連勝は28で途切れたが、これは双葉山級(ふるっ)の不滅の大記録であり、コシヒカリ以外だと上記2銘柄が現在全国唯一の8連勝中であることは素直に評価したい。
ただこの2つはすでにかなりのメジャー銘柄で、穴場とは言えないかな?
▼不作にも負けないこれぞ確かな味
栃木県南 とちぎの星
栃木も昨年は不作に泣かされた地域で、その作況指数はなんと全国最低の93!
その大ハンデを背負いながらも見事特Aに輝いたのがこちら。
しかも一昨年ランク入りを逃しながら、凶作の年に復活という「超穴銘柄」!これは食べてみたい!
▼ホップステップジャンプでたどりついた最高位
福井 ハナエチゼン
今年の特A中、唯一「Aダッシュ→A→特A」という正統進化?を経てランクインしたのがこちら。この勢いはどこから来たのか、それは食べてみなけりゃわからないっしょ!
ちなみに今年熊本で特Aをとった県北「森のくまさん」も「A→Aダッシュ→特A」とやや変則的にたどった復活組。
やっぱりコメ作りは、繊細で難しいもの。
生産者さんに感謝していただくことにしよう。