米軍メゾットを経営に?Googleもマイクロソフトも顧客!元F15パイロットが作ったコンサル会社『アフターバーナー』って何?

  • 2018/11/17
  • ビジネス
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  • 沖倉 毅
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日本で、コンサル会社や、リーダーシップセミナーを行う会社の社員と言えば、MBA(経営学博士号)所得の経済学者、税理士、公認会計士、元会社経営者だと思うだろう。

所変わって米国では、フォーチューン500に選ばれる会社が、講演やセミナーを依頼するのは、軍のエリート出身が社員だという『オール米軍コンサル』なのだ。

軍のメゾットをリーダーシップ研修に生かす会社とは、どの様なものなのか。

 

軍のエリート50人で構成されるコンサル会社

’96年に創立したコンサル、戦略マネジメント会社・アフターバーナー(Afteburner)は、SEALs(米海軍特殊部隊)、元空、海、陸軍のエリート50人で構成されている。

米有名企業のみならず、NFLチームのNYジャイアンツを’12年にリーグ優勝に導いたのは、アフターバーナーの一番人気とされる『チーム構築セミナー』を受けたからだという。

チーム構築セミナーというのは、同社で『完璧な実行』と称する、計画・運用管理プロセスの事。

軍のエリートで構成されるコンサル会社
アフターバーナーの社員である講演者がフライトスーツ姿で講演会場に来て、拡声器で『戦闘開始!』と叫んで始まるこのセミナー。
参加者は号令をかけれられた後、チームで戦略会議を開き、任務計画を立案、結果を報告する。

聞いているだけでは、『トップガン』か『西部警察』の様な根性論を植え付けられそうな戦略セミナーだが、檀上にたった強面の軍人の社員は参加者にこう言う。

『F15を操縦しながら無駄なお喋りをするパイロットはありえない。あれは映画の中の作り事だ。』その口調は刑事ドラマに出てくる刑事の罵声ではなく、大学の講師そのもの。

このギャップにコンサルや戦略マネジメントの講演を依頼した企業は驚き、結果が目に見えて判る事で顧客となるのだ。

では退役軍人をコンサルタントにしようとするアイデア。
だれが思いついたのか。

 

軍のメゾットはコピー機の営業マンの役に立つ?

’96年に会社を設立したジム・マーフィーは空軍12年のベテランパイロットだった。

軍のメゾットはコピー機の営業マンの役に立つ?
マーフィーは、初めてF15戦闘機の単独飛行に挑戦する為、コクピットに座った時に、アフターバーナー創業のアイデアを思いついた。
『軍は18カ月でF15のパイロットを養成するプログラムを組んでいる。これを別の事に活かせないだろうか?』

マーフィーは空軍に入る前、ケンタッキー州でコピー機の営業マンとして働いていた。
もしも空軍のメゾットを100分の1でも学んでいれば、自分はセールスマンとして、どれだけの成績を上げる事が出来たのだろう。
マーフィーは除隊後、4人の仲間と共にアフターバーナーを企業、そして今に至っている。

実際に軍は巨大で複雑な機構だ。
個人あるいは組織が効率よく動く事が常に求められる為、様々な戦略、メゾットが現場で活かされ、情報は常にアップデートしている。

軍で生まれた革新が現代のビジネス教養の基礎になっている事もある。
統計学は第二次世界大戦の英海軍が見出したものだが、今ではビジネス教養において当たり前の様に活用されている。

軍で生まれた革新が現代のビジネス教養の基礎になっている事もある
実際にMBA所得過程の学生を軍基地に送る研修を行っている大学院も存在する。
米ペンシルバニア大学経営大学院では、リーダーシップ研修の為、学生にバージニア州にあるグアンティコ基地に滞在して貰うという。

同大学院のリーダーシップ研究責任者プレストン・クラインは、こう言う。

『軍では自分がしくじれば、仲間が死ぬ。どうすれば仲間という犠牲を払わずに済むのか。きわめて効率的な方法を教わるという意味で、学生を基地に派遣するだけだ。軍に入隊させるという意味ではない。』

では具体的に創立者のジム・マーフィーが軍の戦略を、どの様にビジネスに転換したのだろうか。

 

軍の戦略以上に大事なのは、任務報告時の姿勢

マーフィーは、軍の戦略プログラムは常に4段落に別れている事に目を付けた。

軍の戦略以上に大事なのは、任務報告時の姿勢
それは計画、任務説明、実行、任務報告だ。

これを空軍の空爆作戦に当てはめると以下の通りになる。

1:本部が戦略を設定(計画)
2:個々の任務に分解(任務説明)
3:実行前、あらゆる不測の事態への対応をシュミレーションしてから空爆(実行)
4:成功点、失敗点を検討し、次回に生かす(任務報告)

空軍において戦闘機パイロットは、フライトスーツについているネームと階級タグを外してから任務報告に臨む。
これは任務は連帯責任で、階級も名前も関係ないという意味だ。

これに深く感銘を受け、アフターバーナーの戦略マネジメントを取り入れたのが、NYジャイアンツとペプシコだった。

企業の現場にも活かせる4つの軍のメゾット
日本は肩書や発言力、権力のある人に擦り寄り、物事を解決して貰おうとする悪しき習慣がある。
これでは本当の意味でのチームビルディングは成功しないだろうし、企業は足元から崩れるのは免れない。

勿論、軍出身者が占めるコンサルや戦略マネジメント会社に大企業が頼る事をよしとしない人もいるだろう。

米軍は戦地において多くのPTSD患者を出し、いまだに彼、彼女らに対する具体的な対応策を見いだせないでいる。

それはアフターバーナーの創立者、ジム・マーフィーが提唱した『企業の現場にも活かせる4つの軍のメゾット』でも解決できない事なのだ。
その点をアフターバーナーが解決できれば、この会社は本当の意味で軍以上のものになるかもしれない。

この記事の作者

沖倉 毅
沖倉 毅
ビジネスと国際関連をメインに執筆しています沖倉です。 転職経験と語学力を生かし、語学教師とフリーライターをしています。 趣味は定期的に記録会に出る水泳、3000本以上お蔵入り字幕なしも観た映画、ガラクタも集める時計、万年筆、車、ガーデニング、筋トレです。 どうすれば永遠の男前になれるかをテーマに、取材は匿名を条件に記事執筆に勤しみます。
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