W杯でも話題になったロシアの軍事力は、恐ロシア?
- 2018/08/12
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ロシアは昔から軍事大国
ロシアといえば、帝政ロシアからソビエト連邦を経て、現在は西側諸国と同じような国になっていると思うこともある国家です。しかし、一貫して軍事大国であることに変わりはありません。
まず、帝政ロシア=ロシア帝国は大日本帝国と日露戦争を戦ったことで知られています。それまでは、幾多の戦いで勝利し、世界的にも軍事大国として知られていたロシアです。当然、日露戦争でも日本を駆逐するだろうと考えられていました。ところが、日本海海戦に象徴されるように、歴史的大敗を喫することになったロシアは、それ以前からの国家としての弱体化がとまらず、終焉を迎えることになります。
1721年から1917年間での長きにわたって君臨した大帝国ロシアですが、共産主義革命によって王朝支配が終了し、ソビエト社会主義共和国連邦の時代へと突入したのです。
共産主義国家、社会主義国家は「反戦」と考えるオヤジがいるかもしれません。しかし、実際には、独裁支配を前提とする共産主義国家、社会主義国家では、軍隊は必要不可欠なものであり、ソビエト連邦においても強大な赤軍が存在していました。そして、戦争と無縁ではなかったのです。
日ソ中立条約の有効期間中である1945年8月9日、大陸だけでなく、北海道占領を目指してソ連軍が南下してきたことは歴史的事実として認識されています。北方領土がロシア領となっているのは、この一連の動きの中で8月28日からの占領作戦によるものです。
第二次世界大戦後は、米ソ二大国家による対立構造が地球社会の常態となりました。アメリカを中心とする西側諸国では、日米安全保障条約や、NATO北大西洋条約機構などによる安全保障体制が構築され、ソビエト連邦を中心とする東側諸国ではワルシャワ条約機構がこれに対抗するものとなっています。
米ソの全面核戦争一歩手前まで行ったキューバ危機に代表されるように、ソビエト連邦はアメリカと正面切ってぶつかり合うほどの強大な軍事力を持っていたのです。核ミサイル以外の主要な装備を見ても、空母部隊や原子力潜水艦、ミグシリーズの戦闘機など、一流の兵器を揃えていました。ソ連の主な軍事行動といえば、アフガン侵攻が有名です。
ソ連ほどの軍事大国ではないけれど
さて、ベレンコ中尉の亡命事件や、東京急行と呼ばれる領空侵犯でも有名なソ連軍でしたが、69年続いたソ連の崩壊とともに消滅しました。1991年のことです。
ソビエト連邦が崩壊して、ロシアが再びロシアに戻ったわけですが、ソ連時代の多くはそのまま現在のロシアに引き継がれています。領土も人口もソ連の中で中心的な位置にあったロシアですから、それも当然です。ソ連軍もロシア軍になったといっても過言ではないでしょう。
もっとも、ソ連時代に比べれば、軍事力の低下は否めません。ただし、地域での軍事力を考えれば一枚も二枚も抜けた存在であり、先般のクリミア併合などを見ても、その力は断然といえるでしょう。まさに恐ロシアです。
経済規模に比較して大きな軍事力を保有していることも「恐ロシア」といえるでしょう。では、なぜ経済規模よりも大きな軍事力を持っているのか?
まず、広大な国土にはそれなりの軍事力が必要であること。次に、いろいろな意味でソ連から受け継いだものがあること。そして、資源をもっていること。こうした背景があればこそ、ロシアは大きな軍事力を保っているといえます。
一方で、見た目には軍事大国だが、その中身は実戦レベルかどうか不明だとする意見も少なくありません。高いレベルで戦力を維持するには、それに見合った経済規模が必要だからというものです。そのため、核戦力以外の戦力は見た目ほどではないとする説もあります。
ひとつ重要なことは、ロシアという国は、他の国とのアレコレや国内の動向が足枷になって動けない日本とはまったく異なる体制にあるということです。いわば、自由に動ける国、それがロシアであり、その前提でいえば、本当に恐ロシアということになります。
もっとも、日本としてはロシアと仲良くしたいところです。敵対する理由もありませんし、敵対しても損するだけでしょう。対等な立場で友好関係を深めることが肝要です。