EV車生産台数世界断トツ1位中国の思惑
- 2018/06/02
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中国における自動車産業の状況
日本ではハイブリッド自動車も当たり前のように普及してきましたが、自動車の将来はEV車にあるとされているようです。
でもEV車はまだ市場に登場したばかりで、値段も破格で実際に使用するにも充電スポットにも不自由しそうです。
そのEVの生産台数が、既に日本の約15倍の約80万台にもなっているとされているのが中国です。
そもそもEV車を含めた全ての新車販売台数でも中国は日本の5~6倍にも達していて、アメリカをも凌駕している世界一の自動車大国になっているのです。
その中国が、これからの自動車をEV車に移行させようとしているようです。
そこにはどんな背景があるのかを調べていれば、EV車の特徴はもちろん、経済の仕組み、国際情勢などまで視野が広がります。
ここでは軽く触ってみるだけですが、それでもより興味が深められるかもしれません。
EV車は環境に優しいのか
ガソリン車の燃料は石油であるのに対し、EV車は電気ですのでいかにも地球温暖化対策としては望むべき自動車の登場のようでもあります。
確かに排気ガスも出さず、しかも無駄に加速もせず静かに走ってくれるEV車は見栄え的にもすすめられる車でしょう。
しかし、その電気を作り出す際に化石燃料も使われています。
発電に占めるその割合は、主に原子力発電により数十年に渡って引き下げられたのですが、東日本大震災からは稼働停止を余儀なくされています。
その代わりに再び化石燃料を輸入して火力発電を稼働させて賄っています。
そのうちのどれだけの電気がEV車に向けられているのかは確かなデータがありませんが、EV車が環境に優しいとまでは言い切れないのは確実なのです。
・EV車よりガソリン車の性能を上げること
現状の電気の生産体制からすれば、ガソリン車の熱効率を上げた方が地球温暖化対策としては効果的とされる報告もあります。
電気の火力依存度をどこまで下げられるか、同時にガソリン車の熱効率をどこまで上げられるのかは、技術や経済の壁をどこまでクリアされるかにかかってきますが一筋縄にも行かないものです。
中国のEV車政策の本音を探る
・表向きは環境改善政策の一環
中国は急激な経済成長をしてきましたが、かつての日本以上に大気汚染問題が深刻となっています。
そこで大気汚染の大きな要因ともなっている自動車からの排気ガスを無くしてしまうためにはEV車は有効なものと考えられています。
しかし、EV車の動力源の多くは火力に頼っているのが現状です。
中国で稼働中の原子力発電所は10基あまりで建設中や計画中のものを合わせれば50基を超え火力の依存度も下がっては来ますが、まだまだ遠い将来と言えます。
ですから、大気汚染対策と言うのは、多分に表向きの口実のような面があるのです。
地球温暖化の防止にも役立つかのようなアピールも、それ以前に火力で電気を作っているのでは説得力にも欠けています。
むしろ中国が現状のままEV車を増やし続ければ、地球温暖化には悪影響になるとの見解もあるようです。
・経済刺激政策の大黒柱
自動車産業は関連産業を含めると膨大な種類の産業に影響のある分野です。
そこに一定の需要を掘り起こせば、必然的に経済は成長することが見込まれます。
今や中国の経済はバブル崩壊直前との声も聞こえるくらい不安定なものになりつつあります。
アメリカから貿易赤字解消のため高い関税をかけられようかという大ピンチな状況でもあるのです。
ここで自国内で景気の刺激策を打たなければ、急成長から一気に崩壊して混乱に陥ることもあり得るとの見解もあるのでしょう。
地球温暖化などはしょせんアメリカや日本などの先進諸国がもたらした問題で、中国的にはそれどころでもないかのようです。