ナイキ・ハーキュリーズは核ミサイルか?
- 2017/09/22
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日本にもあったナイキ・ハーキュリーズ
2017年9月、NHKの番組で占領下の沖縄でアメリカ軍の核ミサイルが誤発射されていたとの内容が放送されました。沖縄返還後も引き続き公にはならなかった情報だとのことで、この放送があってから地元メディアなどでも大きく取り上げられています。
そして、そのミサイルとは、ナイキ・ハーキュリーズだとのことです。はて?どこかで聞いたような名前だなと思うオヤジは軍事や防衛に少しは関心があるということです。また、歴史など社会科でそのような名前を聞いた記憶があるというオヤジもいることでしょう。
そうです、ナイキ・ハーキュリーズとは航空自衛隊が装備していた地対空ミサイル「ナイキJ」のオリジナルネーム。つまり、迎撃用のミサイルとして知る人が多いものです。また、長沼ナイキ訴訟として知られる裁判の「ナイキ」とは、この迎撃ミサイルであるナイキ・ハーキュリーズ「ナイキJ」のことです。ちなみに、現在の地上配備型迎撃ミサイルとしてはPAC3のペトリオットミサイルが知られており、ナイキJはすでに退役しています。
そうすると、ナイキ・ハーキュリーズが核ミサイルという話がおかしな話に見えてきます。なにしろ、日本において対空迎撃に核ミサイルを撃つなんて正気の沙汰ではありません。少なくとも、非核三原則があることに加えて、アメリカの意向を無視した核武装などできるはずのない日本が、核ミサイルを堂々と配備することもあり得ないことです。もし、配備していたら、それこそ大騒ぎであり、長沼ナイキ訴訟どころの話ではなかったでしょう。
では、沖縄で誤射されていたとされるナイキ・ハーキュリーズは核と無関係だったのか?
これは別の話になります。
ミサイルはパート毎に役割がある
現在、北朝鮮の核兵器やICBMの話題があふれています。そのなかで、核ミサイルと人工衛星に大きな違いはないという話を聞いたオヤジなら知っているように、飛翔体としてはロケットもミサイルも同じことで、先端に何を載せるかが人工衛星と核ミサイルの分かれ目です。
ちなみに、北朝鮮の女性アナウンサーの発する言葉にミサイルというものはないようです。ロケットという単語は何度も聞いています。興味がある人は、ニュースで流れる際などに聴覚を集中させてみてください。
それはさておき、ICBMやSLBMに限らず、現代のミサイルは通常弾頭と核弾頭、生物化学弾頭などを使い分けることで、通常ミサイルとしても核ミサイルその他としても使用可能だということです。ナイキ・ハーキュリーズも弾頭内容を変更でき、核ミサイルとして使用することが可能です。その限りにおいては、ナイキ・ハーキュリーズは核ミサイルだといえます。
このため、炸薬を仕込んだ通常弾頭しか載せない航空自衛隊のナイキJを核ミサイルではないかと非難する声もあったようです。この理論でいえば、どのような兵器であっても概ね核兵器となることができます。もっとも、目と鼻の先に目標を定める兵器に核が使えないことは考えるまでもないでしょう。