失敗から立ち直りたい……そんなビジネスパーソンの悩みを晴らす幕末志士5人の名言

  • 2019/07/07
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  • 八神千鈴
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ビジネスでの失敗は尾を引いてしまうもの

ビジネスでの失敗は尾を引いてしまうもの
「人は失敗を繰り返して成長する」、「完全に失敗のない人生などない」とわかっていても、仕事で失敗するとやはり落ち込んでしまいますよね。自信を失って、大きな仕事を担当することが怖くなってしまうときもあるでしょう。
しかし失敗を恐れて挑戦を避けるようになれば、それ以上のレベルアップは見込めません。「せっかく仕事をするからには上を目ざしたい」と思っていても、失敗が尾を引いて立ち直れず、身動きが取れないのはつらいもの。そんなときこそ、逆境をはね返したり味方につけたりして後世に名を残した偉人たちの言葉に耳を傾けてください。
今回ピックアップするのは、既存の価値観が大転換を迎える中で自分の意志を保ち貫いた幕末の志士5人の名言です。それまで当たり前だった武士を頂点とする身分制度が解体されたのは、失敗を恐れずに挑戦を続けたこのような偉人たちがいたからに他なりません。

 

坂本龍馬「批判や非難は言わせておけ」

「世の人は われをなにとも ゆはゞいへ わがなすことは われのみぞしる」
幕末の風雲児・坂本龍馬の名言です。「他人は私のことを何とでも言えばいい、私が成し遂げることは私だけが知っている」という意味で、龍馬の和歌を収めた『詠草二 和歌』に登場します。
失敗したときには自分で自分を許せないだけでなく、周囲からの批判や非難もつらいですよね。しかし、失敗した本人の真意など他人にはわかりません。自分の理想や目標をすべてきちんと理解できるのは自分だけですから、他人に何を言われようと気にするだけ無駄なのです。言いたい人には言わせておいて、自分がやりたいことを見失わないようにしましょう。
龍馬が風雲児と呼ばれる所以は、今まで誰も成し遂げなかったことをやり遂げたからですが、それではなぜ誰も手を出さなかったのかといえば、絶対無理と思われていたから。たとえば江戸幕府の支配体制を崩すために薩長同盟を仲介したのは龍馬ですが、犬猿の仲の薩摩藩と長州藩を結びつけるなど不可能だと思われていました。
それでも龍馬が周囲を気にせずに動いたからこそ、日本は幕府体制を終わらせて近代国家に生まれ変わったのです。

 

勝海舟「成功するまでやればいい」

「世の中の人は、たいてい事業の成功するまでに、はや根気が尽きて疲れてしまうから大事ができないのだ」
国際派幕臣・勝海舟の名言で、海舟の談話集『氷川清話』に登場します。この言葉の前には「成功しなければ成功するまで絶えず活動することだ」という意味の言葉があり、海舟は成功するまであきらめなければ、たとえ失敗しても最終的に成功したことになると説いています。
しかし、いつまでもあきらめずに粘るのはなかなか難しいですよね。実は、そのためにどうすればいいかも海舟は語っています。曰く、「自分は失敗して逆境に陥ったらじっと寝転んでいる。そして次の機会が巡ってきたらすかさずつかまえて活用する」というもの。また海舟は「人の精根には限りがあるから、読書や学問をしすぎると実務がおろそかになる」とも語っており、「根気が尽きて疲れてしまう」までがんばらないことを勧めています。
失敗すると挽回しようと根を詰めてしまいがちですが、海舟のように余裕をもって身構えるほうが良い結果を引き寄せられるでしょう。

 

吉田松陰「悔やんでいる暇があったら仕事をすべき」

「悔いるよりも、今日直ちに決意して、仕事を始め技術をためすべきである」
熱血教育者・吉田松陰の名言で、中国の儒教書『孟子』の注釈書『講孟箚記(こうもうさっき)』に登場します。失敗してくよくよする暇があったら、すぐに反省点を見つけて仕事を始めるのが、松陰流の立ち直り術といえるでしょう。
またこの言葉の後には「何かに着手するのに年齢が早すぎるとか遅すぎるということはない」という意味の言葉が続いており、行動を起こすことに迷ってはいけないという思いが強調されています。
もともと松陰は積極的に行動する姿勢を重視しており、「人間は一生、必死で勉強するべきであり、ゆっくりしている暇などない」という内容の言葉も残しています。人の命は限られていますから、後悔ばかりしていたら何も得られずに命を終わらせてしまいますよね。これでは満足な人生にはなり得ません。後悔などせずにその時間で仕事をして、名誉を挽回するほうがずっと有意義なのです。
松陰は30歳という若さで、幕府の弾圧・安政の大獄によって処刑されました。しかし行動を重視して懸命に生きたからこそ、今に名を残す偉人となったのです。

 

高杉晋作「過ちを改めれば過ちではなくなる」

「過ちを改めれば、それは過ちではない」
松陰の教えを受けた革命児・高杉晋作の名言で、中国の儒教者・孔子が語った「過ちて改めざる是を過ちという」を晋作流にアレンジしています。失敗を見つめ直すのはつらい作業ですが、試行錯誤はビジネスの基本。失敗してもそこから反省点や課題を見つけ出せば成功の糧になりますから、前向きな気持ちで失敗と向き合いましょう。
晋作は「苦しいという言葉だけは言わないでおこう」、「自分は困ったとは言わない」という内容の名言も残しており、ネガティブな言葉を避けるという一種の自己暗示で、ネガティブな気持ちをシャットアウトしていました。現代のビジネスパーソンが失敗と向き合うときにも、「つらい」というネガティブな言葉を遠ざけることで、冷静な分析ができるでしょう。
松陰の行動重視の教えを大切にした晋作は、過激な言動をして謹慎を命じられたり職務を追われたりしました。それでもくすぶることなく自分の道を進み、幕府との第二次長州戦争では大活躍します。失敗を糧にしようという姿勢は、ポジティブさにもつながるのです。

 

伊藤博文「成功したいなら自力でやるべき」

「依頼心を起こしてはならぬ、他力はいかぬ、自力でやれ」
初代内閣総理大臣に就任した伊藤博文の名言で、イギリス留学に向かう次男・文吉に授けた訓告です。この言葉の前には天分の道理や学問の大切さを説く言葉が語られており、最後に「天下に何かを成し遂げようとするなら、他人を頼ろうと思うな」と結んでいる、なかなか厳しい言葉です。
しかしこの言葉を裏から見れば、自力でできるかを判断してから仕事をしろと受け取れます。はじめから他人に頼ろうと思っていると、甘えが出て失敗しやすくなるもの。博文が戒めたかったのはこの甘え心なのでしょう。自分に甘えがなかったかを反省することで、失敗から学べることはたくさんあるはずです。
実は、龍馬の名言に「9割方自分だけでやり、残りの1割を他人に頼れ」という内容があります。この場合の「他人に頼れ」とは、甘えることではありません。「最後の手柄は他人に譲ってやれ」という意味です。この境地にまで達すれば、多くの仲間と成功の喜びを分かち合えるやり手のビジネスパーソンになれるでしょう。

 

失敗と思わなければ失敗にはならない

激動の幕末を生きた志士たちは、何度も失敗して嘲笑を浴びました。それでも自分自身の志を信じて進み続けた先に、偉業の成就があったのです。そこに共通するのは、あきらめないという強い意志。当初の目的を果たせなくても、失敗したと投げ出さなければそれは失敗にはならないのです。
「言いたい奴には言わせておけ」、「自分は自分、他人は他人」という意味の名言は、龍馬以外に海舟や、維新三傑の大久保利通なども残しています。人間が周囲の評価に左右されやすいのは今も昔も同じですが、それをはね返す意志と軸があれば、失敗を乗り越えて前進できるのではないでしょうか。
失敗した……と落ち込んだら、今回ご紹介した名言を思い出してみてください。落ち込んでいる暇があったら行動しろ、限りある人生を無駄にするなという松陰の激励が聞こえてきそうですよね。

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
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