冷静な判断ができるようになりたいビジネスマンに捧げる、豊臣政権の重鎮・小早川隆景の名言3選
- 2018/02/12
- ビジネス
- 356view
- キャリア
- ビジネス
- ビジネスマン
- 仕事
- 会社
- 言葉
理想的な名参謀・小早川隆景
戦国時代に中国地方を支配した毛利家は、名家として幕末まで存続しました。もともとは地方の一大名にすぎませんでしたが、「謀神」と呼ばれた神算鬼謀の将・毛利元就が一代で大勢力に育て上げたのです。
そんな元就の知略を最も色濃く受け継いだといわれるのが、三男の小早川隆景です。姓が毛利ではない理由は元就の策略によるもので、近隣の有力大名である小早川家の乗っ取りを狙って養子に入ったためです。
隆景の智謀は元就同様に合戦で生かされた一方、時代が豊臣秀吉の天下となったことから豊臣政権下での政治活動にも生かされました。冷静沈着で思慮深い隆景は、同僚の黒田官兵衛のように才気走って秀吉から警戒されることもなく、組織の理想的な参謀役として生涯重用されます。
周囲との協力が不可欠な現代のビジネスの現場では、隆景のように落ち着いて大局を見る力が重要です。そんな隆景のものの見方がわかる名言を3つ、ご紹介します。
異見をして見るに直に請合ふ者に、其異見を保つ者なし
「意見を言ってみてすぐにわかったと返す者に、わかっている者などいない」という意味です。隆景はこのあとに、「本当に意見を聞く気がある者は、わからないことや納得がいかないことを何度も尋ねるものだ」と続けています。
近年のビジネスの場ではスピード重視の流れがあるため、深く考えずに「わかりました」と言って話を先に進めるビジネスマンが少なくありません。これではその場が早く片付いても先々で認識のずれが出て、最悪の場合ははじめからやり直しになってしまいます。意見をすり合わせる段階でしっかり時間を取ったほうが、結果的には効率がいいのです。
これは自分が気をつけるべき点であることはもちろん、ビジネスパートナーの見極めにも重要です。なんでも二つ返事で引き受ける人は心地よいですが、軽率ともいえます。真剣に何度も質問してくる人こそ信用できる人なのです。
負くることもあるものなれば、負軍したる時の御思案ありたし
「負けることもあるのだから、負け戦のときの考えもあるとよい」という意味です。これは、合戦の際に隆景が指揮官の石田三成にした助言です。三成の戦略はよくできていましたが、計算通りの勝ち戦が前提になっていたため、隆景は「合戦では思わぬ展開で負けることもある」と考えてこの名言を言いました。三成はこの言葉を受け入れて砦を複数築きます。これがのちの敗戦で撤退することになった際、大いに役立ちました。
万が一の事態は起きなければ一番よいですが、どんなに気をつけても完全にゼロにはできません。それでも、起きる可能性が低いことへの対策はどうしても後手に回りがちです。だからこそ、「負け戦」は恐ろしいといえます。実は負けて再起不能になるのはリスクマネジメントが行き届いていないからであり、隆景の言葉のようにきちんと対策していればすぐ立ち直れるのです。
我心十分の思慮を尽す故、既に決断しては是も非も我心に在る所の力悉く尽す故、後悔寡し
「私は十分に考え巡らせており、決断するときにはメリットもデメリットも理解できているよう力を尽くしているので、後悔しない」という意味です。同僚の官兵衛に「私は決断が早いが後悔が多い。あなたにはそのようなことが少ない。それはなぜか」と問われたときの返答です。
この名言こそが隆景の真骨頂といえるでしょう。隆景は他にも「急ぎの手紙はゆっくり書け」という名言も残しており、重要な局面でこそじっくり考えて結論を出すように心掛けています。その結果として周囲を納得させる決断を下し、賢人として尊敬を集めるようになりました。
後悔のない仕事をしたいなら、「本当にこれでいいのか」という自分への問いかけを何度も投げかけるようにしましょう。
決断や行動を急かされることが多いビジネスの現場ですが、浮足立ちそうになったときには隆景の名言を思い出して冷静に構えてください。