悔いのない仕事をしたいビジネスマンに捧げる、武士の生き方聞書集『葉隠』の名言3選
- 2017/03/12
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武士の生き方アドバイス集『葉隠』
『葉隠(はがくれ)』は江戸時代中期の書物です。佐賀藩(現在の佐賀県)藩主・鍋島家に仕えた山本常朝(じょうちょう)の言葉を、同じく鍋島家に仕えた田代陣基(つらもと)がヒアリングして書き記しました。
当時は戦国時代の終焉から100年以上経っており、質実剛健な武士の魂がすっかり薄れていました。そこで「武士とはどう生きるべきか」を改めて示したのが『葉隠』なのです。
「武士道というは死ぬことと見つけたり」という一文があり、第二次世界大戦時には国のために死ぬことを美徳とする軍国主義的な解釈がされました。しかしその真意は、武士として生きた価値は死ぬときにわかるということです。
このため、『葉隠』には武士が武士らしく生きるためのアドバイスがたくさんあります。その言葉は企業や組織という「主君」に仕えるビジネスマンが、悔いを残さず仕事をするヒントにもなります。
そんな『葉隠』の名言から、3つをご紹介しましょう。
この一言が心の花なり。
「人が発する一言一言が心の花なのだ」という意味です。
言葉は人を奮い立たせることも傷つけることもできます。強い力を持っているので慎重に扱わなくてはなりません。失言は一生ついて回ります。
常朝はそれを花にたとえました。言葉を発することは心の花を咲かせて他人に見せること。一度見られた花は美しくても醜くてもずっと印象に残ります。
自分が今から咲かせようとしている心の花を、相手は美しいと思ってくれるだろうか――そう考えながら会話すれば、後悔のないコミュニケーションが取れるでしょう。
大難大変に逢うても動転せぬといふは、まだしきなり。大変に逢うては歓喜踊躍して勇み進むべきなり。
「難題やトラブルに直面したとき、取り乱さない程度では未熟だ。喜んで小躍りしながら前進するべきだ」という意味です。普通なら、困難を前にして冷静な人は尊敬しますよね。しかし常朝は、それでは足りないと考えていました。
困難は自分を成長させるヒントを多く与えてくれるもの。だからこそ落ち着いて受け止めるだけでなく、むしろ自分から駆け寄って立ち向かうくらいの心構えでいるべきだと言っているのです。
一念一念を重ねて一生なり。
「一瞬のひたむきな思いを重ねていった結果が一生なのだ」という意味です。
『葉隠』には死を恐れないことが大切だという主張が貫かれていますが、それは主君のために命を捨てるのが美徳だからではありません。一瞬ごとを全力で生きるために、死への恐怖で迷いが生じてはいけないという意味なのです。
そうやって全力で向き合った一瞬の積み重ねが、価値のある一生となります。仕事に迷いはつきものですが、いつまでもくよくよせずに全力でぶつかったほうが、のちのち思い起こしたときに悔いを感じないものです。
悔いを残したくない仕事に出会ったら、『葉隠』の言葉を思い出してください。
名言の引用元:葉隠