Appleが任天堂を買うとこうなる?3つの大変化
- 2019/01/24
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そこに目を付けたかアナリストたちよ
新型iPhoneの売り上げが予想を下回るガイダンスが出され、米国発のAppleショックなる株価の下落(そしてこれがいちおうのトドメっぽい暴落)まで引き起こされた新年一発目の株式市場。
確かに株価は直近高値から3割ほど下落し、今度こそもの作りメーカーとしての限界が来たのではないかと心配されるApple。
そこに復活の目はあるのかどうか、市場が固唾を呑んで見守っていたところに、ひょんなことを言い出す専門家が現れた。
なんと「Appleよ、今こそNintendoを買え」というのである。
この話は株式雑誌の特集記事だけでなく、証券会社のアナリストたちも同時期に同様の見通しを出している。
市場ウオッチャーたちが用意した共通の「買い材料」として今後折にふれ、はやされるに違いない。
しかし、本当にAppleとNintendoがいっしょになったところで、果たして期待するシナジーなど生まれるものなのだろうか。
変化その1 ハードとソフトの強力な融合
MacとiPhoneを持ち出すまでもなく、Appleはこの20年、主にハード面での進化を推し進めた立役者であり、革新的なデバイスを我々に示し続けたリーディングカンパニーである。
そしてNintendoといえば、マリオをはじめ主にソフト面を充実させてキラーコンテンツを多数輩出、そこに時代ごとのデバイスを当てはめる作戦でいくつもの成長ピークを作ってきた。
ただ裏を返せば、Appleはソフト面が弱く、またNintendoはハード面が弱いという証でもあった。
とくにNintendoはハードでいったん大きな間違いを犯すと、1年の利益がすべて吹っ飛ぶような低迷も経験しており、「もう20年もマリオやゼルダがいるはずなのに、その割には一度も覇権を握ることのない不思議なコンテンツカンパニー」である。
いっぽうAppleにはかつて倒産の危機もあったが、それはiPhone登場以前のこと。iPhone後のAppleは今やっと「ソフト面の弱さ」が露呈したばかり。
とはいえNetflixやAmazonの先行ぶりが進んでコンテンツ不足の深刻さはかなりのもの。独自コンテンツ開発に舵を切るのか切らないのかの瀬戸際にいる。
こうみると、確かに2社は「弱いところを補い合える」いい関係であり、また肝心のNintendoの財務環境にも特段問題はない。
Appleなら本当に買うかもしれない。
変化その2 Appleのハード性能底上げに弾みがつく?
iPhoneにしてもMacにしても、普段使いの目的であれば今でも数年前の機種を使えるし、それで全く問題がない。
よって既存機種の新製品買い換え需要は、今後ますます減っていくものと推測される。
しかしそれがゲーム環境となれば話は別かもしれない。
ゲーム業界の市場はいまだ年に1割のペースで成長を続け、20兆円市場ともいわれている。VRやAIを使った新しいゲームの流れが、今後もより高いハードのスペックを要求し続けるだろう。
iPhoneやiPadにしてはちょっとオーバースペックな部品であっても、新たにゲーム業界を取り込むことで、Appleは開発や成長の矛先を新型ゲーム機に向けることができる。
いずれ開発すると噂の自社CPUがどんなに高性能でも、その行き先になんら困ることはないわけだ。
変化その3 日経平均はApple平均に変貌する
さてもしこの買収話が本当なら、日本市場に一番影響を与えるのはApple関連銘柄の動向?
いえいえ「日経平均への寄与度の大変化」である。
Nintendoは米国市場でも上場していて、もしもの買収後はNY市場での上場そのものをどうするか微妙なところだが、こと日本市場では親子上場でもなし、株式非公開化まですることはないと思われる。
となると日経平均への寄与度大であるNintendo株は、親会社Appleの動向ひとつで上にも下にも大きく動くことになり、まさに日経平均は「Apple平均」となることが十分に考えられる。
ちなみに本国アメリカでは個別株のストップ安制度がないとのことで、1日の中でも日本市場以上に値動きの激しいときがある。
Appleに再びもしもの事態が起きれば、そのとき子会社であるNintendoの株価も大暴落、それにより日経平均も大暴落…なんて事態に発展しなければいいのだが。
AppleはまだNintendoを買うとも何とも言っていないのにこの夢想ぶりなんである。