M&A成約するまで無料!仲介業者なしのマッチング『トランビ』って何?
- 2019/01/02
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日本の中小企業400万社のうち、127万社は後継者に恵まれず廃業に追い込まれているのが現状です。
国内の産業を支えてきたのは中小企業なだけに、大廃業時代の到来は国の産業の衰退とも言われています。
そんな中、事業規模1000万円台の会社にもM&Aの道を開こうとマッチングサイトを立ち上げた人がいます。
売り手の仲介手数料はゼロという不可能を可能にしたのは、誰だったのでしょうか。
元米コンサルティングファーム社員が立ち上げたマッチングサイト
トランビは、仲介業者なし、完全匿名で、M&A相手を探す事が出来るマッチングサイトです。’11年にサービスを開始し、マッチング件数は300件近くになります。
売り手の仲介手数料がゼロというだけあり、売りに出ている会社の業種は様々。
居酒屋、レンタカー事業、学習塾、電気工事会社、結婚式場など売上高は1000万円未満から億単位まで。
運営を手掛けるのは長野県の町工場アスク工業。
創業40年を超える工業資材メーカーで、スキー、スノーボードの材料として使われる
『アスナーシート』のシェアでは日本屈指を誇るメーカーです。
社長の高橋氏は、米デュポール大を卒業後、米コンサルティングファームのアクセンチュアに入社。
5年後に父の経営する会社に戻った時、取引先が次々廃業していくのを目の当たりにして、いまの会社を設立しようと思ったと言います。
取引先が廃業になる理由は、赤字である事も理由の一つでしたが、主な理由は後継者不足だったそうです。
経常利益では黒字であったり、世界で唯一の技術を持っていたとしても機材をメンテナンスするお金がない、機材に投資する事が出来ず、やむを得ず廃業という事もあったという事です。
企業がM&Aを行うには仲介業者が入るのが当たり前で、手数料を取られる事が当たり前になっていました。
その手数料の最低金額は2000万円で、よいM&A先を見つけようと思うと、売上高3億円の大会社を見つけなければ話にならないという結論に至る事が多かったのです。
コンサルティングファーム出身の高橋氏は、米国の様にもっと手軽にM&Aを日本で進める事が出来ないかと考えた結果、仲介業者を省いたのが、この会社設立の動機となりました。
ですが’16年4月に分社化するまでは、さまざまな問題にぶつかったと言います。
それはどんな問題でしょうか。
ネットでM&Aが出来るのか
トランビとして、’16年4月に分社化するまでは、M&A事業は『アスク工業』の事務所の一角を間借りして無償でやってきたそうです。
アスク工業の利益がトランビに流れるのですがら、社員がいい顔をするわけもありません。
M&Aの事業規模が1000万~2000万となると買い手は経営の素人という事も往々にしてあります。
名前だけの社長になりたいという人が買い手に名乗りを上げるケースもあり、事業を立ち上げた当初からトントン拍子で巧く行ったわけではなかったようです。
その為、分社化するまでの間に社内外にM&Aの法律上の専門家を揃え、小規模M&Aでもトラブルがないように備え、手数料無料というシステムは『契約成立報告時』という条件つきにした所トラブルが減ったと言います。
それでもなかなか信用を得られなかったのが、融資を行う銀行でした。
中小規模の企業に融資を行うのは、地銀や信用金庫、信用組合です。
彼らの信用が得られ化ければ事業をスタート出来ない企業も多々ありました。
転機となったのは、’17年3月、トランビが日銀のワークショップで講演を行ったことでした。
これがきっかけとなり、信用組合や、信用金庫を中心とした提携が進み、中小企業への融資が進んだそうです。
平均10日で11社の買い手が見つかる
トランビの強みは案件数の多さだけではありません。
売り手、買い手のバランスと交渉しやすさにあります。
匿名投稿しながら、最終的には直接交渉できるので、不安を感じた場合は直接交渉し
解約する事も出来るのが魅力です。
成功事例だけを乗せているM&Aサイトですと不安ですが、案件に応じた専門家が相談に乗る所も魅力の一つでしょう。
いかがでしょうか。
これだけM&Aが進めば市場の活性化が進むと思いますが、その一方で不安に思う事もあります。
事業の買い手が変わる事で、お店や営業形態がガラっと代わり、大型店だと街の雰囲気や客層すら変えてしまうこともあるからです。
これからのM&Aマッチングサイトに求められることは『まちづくり』も視野に入れた企業同士の引き合わせではないでしょうか。