日本のお城のほとんどが適当に再現されているという事実
- 2017/04/10
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名古屋城が日本初の木造復元へ
3月23日、国の特別史跡に指定されている名古屋城の天守閣を木造で復元することが名古屋市議会で可決しました。特別史跡レベルの城郭の木造復元は日本初です。
名古屋城天守閣は江戸時代初期の1612年に徳川家康が築き、第二次世界大戦中の1945年に名古屋大空襲を受けて焼失しました。現在の天守閣は1959年に復元されたものですが、鉄筋コンクリート製です。
実は江戸時代以前の姿を保っている「現存天守」は姫路城や彦根城など日本全国に12城しかなく、それ以外はすべて後年になって再建されたものです。名古屋城は現存する実測図に忠実な「復元天守」に分類されます。
名古屋城はこれから石垣の調査などを行うため、11月から天守閣の入場が禁止される予定です。現在の天守閣を見ておきたい場合は早めに訪問しましょう。
もともと日本のお城には天守閣がなかった
ところが再建された天守閣の中には、デザインや場所や規模が間違っている「復興天守」と、天守閣がない城に天守閣をつくってしまった「模擬天守」がたくさんあります。
そもそもお城は合戦の拠点として使う実用的な基地だったため、はじめは壮麗な天守閣など持っていませんでした。しかし戦国時代中期に入ると合戦にも財テクが必要になり、「立派なお城を建てられる大名は金持ちだから軍隊も強い」という概念が広まります。このため戦国大名たちは、立派な天守閣を築いて財力を誇示するようになったのです。
お城の歴史にはこのような経緯があるので、古い年代のお城には天守閣がないはずです。しかし現在のお城を見ると大体は天守閣がありますよね。あれは地域のランドマークにしたいという地元の人々の切なる願いでつくられたものが大半なのです。
愛すべきへんてこ天守閣には有名な観光名所も
本物に忠実とはいえない復興天守と模擬天守ですが、かつて城があったと推測される場所に建っていることは確かであり、公園が整備されていたり大名御用達と伝わる老舗が周辺にあったりするため、観光名所になっていることが多いです。
「実は変な天守閣」には次のような例があります。
・大阪城(大阪府)
豊臣秀吉から徳川家康へと渡ったためか、形は豊臣時代で色は徳川時代というミックス状態。秀吉の城アピールをしているけど建っている場所は徳川の土台という復興天守です。
・忍城(埼玉県)
映画「のぼうの城」やその原作小説で有名になったお城。天守閣として使われていた御三階櫓は忠実に再現されているものの、建っている場所が間違っている復興天守です。
・千葉城(千葉県)
平安時代末期の築城で、当然ながら天守閣が存在しない時代のお城。しかし現在は立派な天守閣が建っています。小田原城(神奈川県)をモデルにした模擬天守です。
このほかにも日本各地にへんてこ天守閣は存在しています。そのどれもが地元に愛されるシンボルになっているので、微笑ましく思いながら訪問してみてください。