W杯・アイスランドの大活躍に、日本の地方都市が学ぶべきこと
- 2018/06/22
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W杯まれにみる小国が大国に引き分けた快挙
「ビョーク、地熱発電……あと、えーっと」
大抵の日本人にとって、馴染みの薄いアイスランドが脚光を浴びています。
舞台は世界最大のスポーツイベント「FIFAワールドカップ」、6月16日グループリーグD組第1節、対アルゼンチン代表戦。相手は泣く子もだまるメッシを擁するサッカー大国ということもあり、アイスランドの惨敗を誰もが予想したことでしょう。
ところが、結果は1対1のドロー、中でもアイスランドのゴールキーパー・ハルドールソンがメッシのPKを止めたシーンは、世界のサッカーファンを驚かせたのでした。
アイスランド、人口たった35万人の小国が、FIFAワールドカップに出場すること自体が異例中の異例。歴代参加国の中で最少という人口は、日本で例えるならば、埼玉県川越市の人口とほぼ同じ。つまり川越市選抜チームがアルゼンチン代表相手にドローを演じて見せたといえば、この快挙がどれほどのものであるかは、想像できるというものです。
整いっぷりが凄まじいサッカー環境
そんなアイスランドが快挙を演じたということには、よほどサッカーが盛んな国に違いない、そう思い調べてみると面白いことがわかりました。
アイスランドが位置するのは北極圏のすぐ南、暖流の影響を受け比較的温暖とはいえ、冬場の平均気温はマイナスという厳寒の地、サッカーなどアウトドアでのスポーツに向いているとはいえないのです。
そのお陰か長く国民的スポーツの地位を占めてきたのがハンドボール、北京オリンピックでは銀メダルを獲得している強豪国です。
そんなアイスランドでサッカーが盛んになり始めたのは、21世紀に入ってから。
現在ではフルサイズの屋内ピッチが7面、ハーフサイズが6面、屋外ならば150面以上もあるという施設の充実ぶり。アイスランドでのサッカーの競技人口は3万5,000人、実に人口の1割という高い割合でサッカーに親しんでいる理由には、急速に整えられた環境をあげることができます。町内に1つサッカーピッチがある感じですかね。
加えて充実しているのは、アイスランドのサッカー指導者の数。
欧州サッカー連盟のBライセンス以上を持つコーチの数は約650人、計算すると国民の538人に1人がサッカーコーチという割合です。
参考までに日本の場合、日本サッカー連盟のBライセンス以上を持つコーチの数は約6,900人、1万8840人に1人という割合ですから、アイスランドのサッカーに対する尽力ぶりがわかるというもの。もちろん、単純に比較はできませんが。
それは恐らく、サッカーを選択したからでは?
なぜ2000年代に入ってから、アイスランドでサッカーが盛んになったのか?
FIFAから助成金が出たとか、地域スポーツ振興の一環だったとか色々いわれているのです。とはいえ、予算が無尽蔵にわいて来るはずがない。GDPが高いとはいえ、アイスランドは自国の軍隊すら持たないほどの小国なのですから。
ここで犬助が思うに「選択」があったのではないか?と。
地熱があるとはいえ地下資源が豊富ではない、外貨を稼げるほど農業も発展していない、金融で食いつないできたものの、リーマンショックでデフォルトの憂き目にもあっている。アイスランドが置かれている状況は、決して恵まれているとはいえません。
そのかわり観光資源が豊富なのがアイスランド。
フィヨルドもあれば、白夜もある、オーロラも観ることができますし、ホエールウォッチングもできるとくれば、あとは観光客を呼んでくるだけ。
ならば、必要なのは認知度!!と、誰かがひらめいたのではないか?
いつまでもビョークやシガー・ロスにばかり頼っている訳にはいかない、自国のプロモーションの場としてFIFAワールドカップに照準を定めたのではないでしょうか。
行政がなすべきことは、選択と集中
まあ、以上の話の後半は犬助の想像ですから、正解ではないかもしれません。
しかしアイスランドの事例は、川越市など日本中にあまたある35万人クラスの地方都市の活性化に充分に参考になるのではないかと思うのです。
地域に住む大勢の人たちに忖度した結果、何でもかんでもアピール。結果、散漫でインパクトに欠けるものとなった事例をよく見るのです。そうではなくターゲットをしぼって、資金や資源を集中することで、充分なインパクト与えることができるとアイスランドは教えてくれるのではないでしょうか?
例えばサッカーでも、野球でも何でもいいじゃないですか。
何か一つのことで傑出した成績を残し、活性化につなげるために地域全部が力を注ぐというのは、非常に面白い試みではないか?と思うのです。