引退式で初めて明かされた 知られざるモーリスの素顔
- 2017/01/23
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まずはおつかれさま
年度代表馬の座はキタサンブラックに譲ったものの、2016年も大いに競馬界を盛り上げてくれたモーリス(牡6・堀厩舎)がとうとう引退の時を迎えた。
引退式が行われた中山競馬場には多くのファンが訪れ(寒かったね!)、現役最後の勇姿を目に焼き付けた。
気になるのは種牡馬としてのスタート。
すでに一大プロジェクトが進行中とかで、ジェンティルドンナ、ブエナビスタらサンデー系牝馬たちとの夢の配合が待っているようだ。
関係者のコメントから
引退に際してノーザンファーム代表の吉田勝己さんは、モーリスが聡明で精神的なゆとりを持つ馬だったエピソードを明かし「引退レースでは(ニヒルな)薄笑いを浮かべていた」と語った(R・ムーアゆずりとも)。
走る馬は賢いとよくいわれるが、さらに名馬中の名馬になると、人間をも見下す威圧感があったり、ヘタな指示には従わない頑固さがあったりと、まるで人間かと思うような精神の持ち主が多い。
モーリスはそのどちらでもなく、常に人間とユーモアを交えながら付き合っていく「いいヤツ」だったようである。
驚いた堀先生の「未完成」発言
なによりオジサンが一番驚いたのは、管理していた堀宣行調教師のコメントである。
なんと「モーリスが競争馬として完成する前に引退することは申し訳ない気持ちでいっぱい」だったというのだ。
ふえ〜、あの走り、あの強さで未完成ですか!
やっぱり聞いてみなけりゃわからんモンだねえ。
確かにモーリスはデビュー当時こそ鮮烈な印象だったものの、その後期待通りに走ったとは言えない時期があった。
本格化したのは年明け4歳になってから。
ダービー卿チャレンジTで見せた目の覚めるようなどん尻強襲。以来、何かにとりつかれたかのようにモーリスは勝ち続け、世界的名馬となった。
自分の中では、休み明けでマイルCSを持っていかれたとき(なんと4番人気だった!)に「ああコイツは手がつけられなくなったな」と降参したものだ。
だから成長型でいえば「覚醒型」とでもいうべきかな。
まだまだ奥が深かったんだねぇ。
産駒は東京五輪イヤーにデビュー
そんなモーリスだから、あれでも十分余力を残した競走生活だったらしい。
このことは、種牡馬入りしてからもいい産駒を出す重要なポイントといえる。
サンデーが遠い祖先(3代前)となってくれるモーリスは、先に引退したデュラメンテ、エイシンヒカリよりも繁殖牝馬の融通が利く。
母系なんか母父カーネギーに母母父モガミだから、相当の異系だし、メジロボサツ、メジロモントレーと続くメジロ牧場ゆかりの牝系が残るのもなにげにうれしい。
頭がよすぎてお茶目な産駒ばかりだと困るが、今は東京五輪よりもモーリス2世誕生の方が楽しみなオジサンなのである。