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仏・黄色いベスト運動・地方圧迫に怒りの声

  • 2019/02/05
  • ビジネス
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  • 沖倉 毅
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仏政府の燃料税引上げに抗議し、郊外、地方在住の人々のデモ参加者が増えている。

デモは毎週土曜に行われるが、昨年11月をピークに一時規模は収まったもの、デモに参加する人の範囲は、国境近くにまで広まり、参加する人の層も広がっている。

デモに参加する人が着用しているのが、黄色いベストな事から『ジレジョーヌ』と呼ばれるこの運動。
引き金となった事は国内にあったのか。

 

ジレジョーヌ運動って?

ジレジョーヌ運動って?
デモに参加する人が来ている黄色のジャケットは、ジレ・ジョーヌ(gilets jaunes)と呼ばれるもの。
アマゾンで5.9フラン(約500円)で買えるもので、フランスでは、万が一車が路上で故障した場合、安全の為、このベストを着て作業する事が義務づけられている。

このデモは『黄色いベスト運動(Mouvement des Gilets jaunes)』と呼ばれ、’18年11月17日に勃発した時には、28万人以上が参加する大型デモになった。

’18年のクリスマス前の22日には、ヴェルサイユ宮殿が封鎖される騒ぎとなった、このデモ。
SNSを通して急激に拡散しただけでなく、首謀者が居ない事や、政府の政策に抗議する事が目的な事から、マクロン政権は何も出来ないままとなっているのが現状だ。

デモ側の主な要望は、以下の4つになっている。

1:燃料税の削減
2:富裕税の再導入
3:最低賃金引き上げ
4:マクロン大統領辞任

投票する人が居ないから『臭いものにフタをしてでもトランプに投票して文句を言う』米国民とフランス人の違いがここにある。

では、黄色いベスト運動に参加する人の現場の声はどの様な事だろうか。

 

地方や郊外在住の人々を圧迫する仏政治

黄色いベスト運動に参加する人は、パリ郊外に住んでいる。
国境に住んでいる人も居れば、南仏、北仏と言われる地方に住む人、年金生活者、季節労働者も居る。
米国や日本と同じ様に、都心部や富める者、競争社会に勝ち残った者が優遇されている不満が噴出している。

パリから車で北に三時間、ベルギー国境の都市リールに住む二児の母・コニー・ラクレットさん(45)は、車がないとどこにも行けないと嘆く。

『私たちは、何もかもから締め出されたも同然の生活を送っているの。燃料代は上がるし、高速の料金は上がる、こんな国境の辺鄙な街には、皆が当たり前だと思っている郵便局や病院すらない、どこに行くのも車が必要なのよ。』

もしも高速を使わなければ、国道を走らないといけないが、その分遠回りになる。
余計ガソリンを食うので、今回の政策の一つである燃料費の引き上げはバカにならない。

コニーさん曰く、地方に住む人々は、少しでも燃料費を浮かそうと、旧式のディーゼル車に乗っているという。車を買うお金はない。
ガソリン車や、ハイブリット車を買おうと思えば、今乗っている車の二倍以上する。

『大統領は車を買い替えろとサラリと言うでしょうね。市場を競争させるのは良い事だと。でもその為のお金を出すのは誰だと思っているの?国民でしょう?国民の懐が潤い幸せになる方法を考えられない大統領なんか要らないわ。』

ブルターニュからパリにデモに来たというマリー=ノエル=サンティアさんは二人の息子の母親だ。
30代の彼女は、息子と2人でデモに来てメディアのインタビューにこう答えていた。
『どんな職場でも最低でも電車一駅以上離れた所にしかないのよ。子供が二人いて新しい靴を買ってあげられない。』
サンティアさんは、今の政権は郊外に住む人の事を考えていないと憤りを隠せない。
彼女もまた車なしでは仕事にもいけない。

デモに参加する人には年金生活者もいる。フランスの年金は月861ユーロ(10万7000円)だ。
『昔は郵便局も税務署も、銀行も自分の住んでいる所にあった。でも今は何もない。私はもう80だ。今更引っ越せと。』
彼らの様に過疎地に住む郊外の唯一の交通機関は朝夕のバス一本ずつという事も珍しくはない。

デモに参加する人の現場の声を聞くと、フランスは昔から地方在住者を圧迫する政策をとっていたわけではない。
ではいつからフランスは地方在住者にとって厳しい政策をとるようになったのか。

 

実は’80年代半ばから財政的に苦しかった仏政府

フランスは伝統的に、高い税金や保険料の代わりに国民に手厚いサービスを提供してきた。
だが’80年代半ばから、支出削減や競争力強化を重視するようになった。

慢性的な財政赤字を解消する為に、歴代政権は様々な政策を打ち立てたが、デモが起こる程の政策を立てたのが、マクロン政権の前のオランド政権だ。

オランド政権発足時に、3.5トン以上の重量貨物に、走行距離に応じて課税する『エコタックス法案』が、提示された。
これに反対したのが、トラックによる農産品の輸送に依存するブルターニュ地方の人々だった。

彼らはデモに参加する時に赤い帽子を身に着けた為『ボネ・ルージュ』と呼ばれ、この法案は可決される事なく幻となった。

『エコタックス』はブルターニュ地方の努力により、葬られたが、今回は仏全土を巻き込んでの黄色いベストである。
国民の真意は、フランス革命のごとく奇跡を起こすのか、見守りたい所だ。

 

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沖倉 毅
沖倉 毅
ビジネスと国際関連をメインに執筆しています沖倉です。 転職経験と語学力を生かし、語学教師とフリーライターをしています。 趣味は定期的に記録会に出る水泳、3000本以上お蔵入り字幕なしも観た映画、ガラクタも集める時計、万年筆、車、ガーデニング、筋トレです。 どうすれば永遠の男前になれるかをテーマに、取材は匿名を条件に記事執筆に勤しみます。
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