オヤジもペーパーレスに適応した時代におけるコピーメーカーの苦境
- 2018/05/11
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コピー機とは呼ばない時代
事務機の業界が大変な状況に見舞われている。そんなニュースが出始めたのは、かなり前のことだと記憶しているオヤジも多いことでしょう。考えてみれば、地球に優しいエコな社会の創造が叫ばれるようになってから、紙を消費することへの抵抗感が少しは増えています。
また、おなじ頃から企業においては経費削減の一施策として、コピー用紙を節約する方針が広がりました。手始めに、一度使ったコピー用紙を再利用するところから入った企業も多かったようで、何かと失敗した話もよく聞かれました。
そもそも、片面しか使っていないからといって、裏返しにしたコピー用紙の用途は限られます。対外的な資料などには使えませんし、社内でもお偉いさん相手に出す文書としては敬遠されがちに。
必然的に、部内の会議資料など、一時的な用途に使われることが多くなります。ところが、慌てもののオヤジの場合、裏と表を間違えてしまい、混在した資料が出来上がるなどという事態も発生しました。
最近は、そうしたミスが激減しているともいわれていますが、その理由は紙そのものを使わなくなったからだとのことです。たしかに、ちょっとした資料なら作成したパソコンなどの画面から、関係者に共有することで印刷の必要がありません。
ちょっと前なら、文書をメールに添付して送信するなどの面倒な手順もあったため、印刷物にして渡した方が簡単だとするオヤジも少なくありませんでした。それもあって、日本人にペーパーレスは似合わないといわれたものです。
しかし、紙にしなくても配布できる作業が格段に簡易化したことで、いよいよペーパーレスの時代になったということでしょう。少なくとも、社内で見るべき文書なら紙にする必要がないため、人数分の複写という概念が薄れています。複合機化したことも理由でしょうが、コピー機とはいわなくなった時代だといえます。
事務機業界の苦境は続くのか
さて、事務機業界といえば、バブル経済が終焉した頃から苦しい環境にさらされてきた業界だといえます。まだバブル真っ只中だった30年ほど前に、一般の事業者が購入またはリースできる金額のファクシミリやワードプロセッサが登場し、普通紙複写機の市場も活況を呈していたといえます。
しかし、そんな時代は長くは続かず、企業に加えて個人事業や一般人までもが事務機を使う時代となって、いわゆるOAの3種の神器は急激な価格低下をたどることになります。この過程で、ワープロはパソコンに駆逐され、パソコンはインターネット時代へと突入します。
価格でいえば、30年前に50万円ほどで取引されていたレーザープリンタの機能は、現在の数万円のプリンタと同程度か、それよりも劣る可能性があります。給料上げろ!といったところで、このような有様では給料の上げようがありません。※この部分だけに限った話です。
キヤノン・リコー・ゼロックスといったコピー機メーカーの営業マンが、軒並みの飛び込み営業でコピーを売っていたのも、汎用機の定価が数十万円レベルだったからできたこと。数万円の複合機を飛び込みで売るわけにはいかないでしょう。
もちろん、いまでも飛び込み営業による直販体制がないわけではありません。しかし、より高機能高価格のマシンに加え、ネットワークやアプリケーションを絡めた、いわゆるソリューション営業という手法に変わっています。
そこでは、目に見えないものを売り込む必要が高くなり、かつての提案型営業とは提案の中身が変わるだけでなく、紙を使ってもらう商売が困難になっているわけです。紙を使ってもらえないということは、機械そのものが不要になるだけでなく、機械を使うにしても、カウンターが上がらないため保守料金が伸びない。枚数いらないからトナーも減らないという関係があります。
これでは、リコーやゼロックスが世界で1万人規模の人員削減へ向かうといったニュースに接しても、まったく驚けない状況といえます。
この記事も、原稿用紙や複合機をまったく介さずに画面上で作られています。ドキュメントマシーンの比率が高い事務機メーカーが、どのように生き残りを目指すのか。気になるところです。