人生やビジネスの失敗例は千差万別、アンナ・カレーニナの法則とは?
- 2018/10/22
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リーダーシップに関するビジネス本は、技術論が中心だ。
内容は事業に成功した人の経験談や、成功した人が、宣伝を目的とした自慢話で溢れている。
ライバルより自信を持って行動せよ、積極的になれ、決断力を発揮しろなど、見習うべき行動がそこに示されている。
が、ここで気になるのは、ビジネスの成功例や人生の成功例は、どれも似たり寄ったりだという事だ。
では失敗例はどうなのだろうか。
アンナ・カレーニナって?
ロシアの文豪・トルストイの名作『アンナ・カレーニナ』の冒頭は、この様な文章から始まる。
『すべての幸福な家庭は似ている。不幸な家庭は、それぞれ異なる理由で不幸である。』
リアリズムの巨匠トルストイは、不倫に走り不幸な結末に陥った主人公で政府高官の妻アンナと、純朴な農民で、アンナの夫の妹キティに恋し、彼女をひたすら思い続け最終的に幸せをつかみ取ったリョーヴィンを対象的に描く事で、この法則を現代に成り立たせた。
お金や世間的地位名誉で、幸せの尺度が決まるのではないという皮肉も描いた作品でもあるのだが、それ以上にこの作品が生み出した法則は、成功体験と失敗談の対比だ。
私たちがビジネス書を読んでも最初の30ページぐらいで飽きてしまう理由の一つが、
著者の成功体験から書かれている事であり、そのどれもが似たり寄ったりだからである。
例えば成功するための条件が10あるとして、成功した人には10揃っているとすれば、
失敗した人は1つもしくは3つ、中には半分以欠けていたかもしれないのだ。
だが、どこがどんな風に足りなかったのか、誰一人として具体例を示してくれる人はいない。
勉強でもビジネスでも、巧くいかない時は、一連の流れの中で何かが欠けている為引っかかるのだ。
その理由が何かを突き止め、軌道修正できる人が、人生の異なる失敗から学ぶことが出来る人である。
失敗は、人により目標設定が間違っているかもしれないし、努力が足りなかったのかもしれない。
結果のフィードバックが足りなかったのかもしれなければ、コミュニケーション不足で起こったのかもしれない。
失敗の原因を正しく分析することが成功につながる。
これをやらないで、世の中の成功例を知るためだけにビジネス書を読んでいるのであれば、人間としては成長しない。
では、アンナ・カレーニナの法則をよく現しているのは、どういったものだろうか。
は、失敗談を描いた方が観客を惹きつける
アンナ・カレーニナの法則をよく現しているのが、実話を元にした偉人や歌手などの伝記映画だ。
映画の脚本上、彼らが成功や絶好調の時のエピソードよりも、彼らがどんなしくじりを犯したか、どんな苦労をして乗り越えたかという事に焦点が当てられている。
その理由は、実在の偉人やエンターテイナーたちが、乗り越えてきた失敗や苦労が千差万別で、私たちと変わらないものもあるからだ。
突き抜けすぎた成功例は、心に響かないので、映画の中では流れる様に割愛されてしまうが、これも『成功例はどれも似ている』という法則そっているからだ。
だが時として、アンナ・カレーニナの法則が通用しない分野がある、グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックなど、突き抜けきった企業では、成功する為に、何度も原点回帰するので、この法則が通用しない。
この様に『突き抜けた企業』と、一般企業や、自営業者との中間地点の意見を持つのが、電子決済サービス『ペイパル』の創業者ピーター・ティールだ。
すべての成功した企業は、それぞれ異なるユニークな問題(失敗)を解決することで、
市場の独占に成功することが出来るというのである。
彼曰く、アンナ・カレーニナの法則を、とことん突き詰めて、ありとあらゆる失敗を経験、分析し、自分なりのビックデータを作れば、その分野のトップになるのも夢ではないという事なのだ。
失敗は成功の元ともいう。
同じ過ちを繰り返し『まさかの』を連発する人には学びがない。
失敗から学ぶことが大事なのだ。