魅せる動画CM、ダメな動画CM
- 2019/01/26
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すぐスキップボタンに手がいくそこのアナタ!
配信サイトで動画を見ていると、一定の間隔でCMが入ることがある。
テレビの地上波同様、興味がなければザッピングタイムに使われたり、休憩タイムになったりするのだろうが、視聴者がとる最も普通の行動といえば「広告をスキップする」のはずだ。
いまや広告は動画配信者の主な収入源であり、中には「よかったら広告をスキップしないでね」とわざわざ呼びかける配信者もいる。
また内容のない動画に山ほど広告が付けられた悪質な稼ぎ手口もよく見かける。
おかげで自分の見る動画に広告がつくことを良しとしない視聴者がたくさんいるから、広告ブロッカーの類いも世に出ているし。
そもそも視聴者は動画を見たいのであって広告を探しに来たのではない。
だからお座敷の太鼓持ち(古いな)ではないが、最初は相手にされなくて当然であり、即スキップ行為も本来はやむを得ない。
その間隙を突いて心に刺さるCMがある
ところが、なぜか冒頭のたった1秒で「うむむ?」と私たちの心をつかんでくるCMがたまにある。
正直、うまいんだろうと思う。構成がね。
企業名をバリバリ出すタイプはダメかなあ。
またキャンペーンに早く気づいてね、というタイプも。
自分がその企業に興味があるかというと、それも違うな。
こちらに刺さってくるのはほんの一瞬なので、なんだろう、やっぱりつかみ方がうまいというべきか。
たとえば最近の動画CMでは、企業の名刺交換や粗品交換をもっと社内一括でデータベース化できないか、という提案をしている会社(○ン○ン)のCMシリーズはかなり引かれる。
若い女性も出てこなければ、どぎつい彩色も使われない(画面内はほぼモノトーン)。
役立たずの上司がため込んだ交換名刺がコネクション構築に役立たなかったのを嘆く松重豊サンが面白いだけ。
仕事ぶりもまさにザ・サラリーマン。だが本当に面白い。
あえていえば、最初は何をやっているかわからない(何のCMかわからない)方が惹かれる感じがするけれど。
動画CMの視聴時間は年々ふえている
このような企業の涙ぐましい戦略が功を奏したのか、最近、動画CMの視聴時間が増加傾向にある。
昨年上期、大手動画サイトで見られた動画広告ベスト10の視聴時間は、一昨年よりもなんと1分増えた。
平均1分46秒が2分53秒に、である。
平均で3分近く見てくれる動画など、普通の投稿動画でもそうはない。
CMにきちんと戦略を持てば、視聴者は振り向いてくれるという証左でもある。
3分見ていただけるなら、動画CMの内容も深みを増すし、企業側もそういうものを作ろうと思うはず。
これを地上波でやるには膨大な資金が必要だが、こと動画サイトでなら月に100万円程度から効果的なCMが打てるとのこと。
3分間のドラマ仕立てCMと、15秒で尻切れトンボ気味に詰め込んだCMはもはや比べるまでもない。
視聴者だけでなく、CM提供側も地上波離れが進みつつあることがよくわかる。
古今東西長めの傑作CM
もし新旧ひとつずつお気に入りの長い動画広告を挙げるとしたら…
▼東京ガス 家族の絆 お手伝い券篇 (視聴時間 約1分半)
もう5年以上前に流れた東京ガス一連のシリーズもので、他にも泣けるズルいやつがあるのだが、このくらいのテイストがオジサン世代にはちょうどいい。
いまや朝ドラ女優に出世した安藤サクラさんが娘役で、父の退職日の心温まるエピソードを描いたもの。
家族がどこかサッパリしながらも深く結びついた様子をガスコンロ=料理で見事に表現している。
▼山田養蜂場 山田養蜂場物語 フルバージョン (視聴時間 約5分)
今でもBSを中心に見られるCMで、なんというか、これは驚く。
この会社では他にも品質の話や、企業理念の話を動画CMにしている。
しかしこのフルバージョンヒストリーを1回見れば、その他の紹介CMはほぼいらないのではと断言できる。
5分間の中に「人生とは」「家族とは」「希望とは」何かが問われ、見る人ごとに違う結論が導き出されそうな深みがある。
涙を超えたところにある真理が読み取れれば、あなたも立派な苦労人だろうね。