LED照明に押されて蛍光灯がなくなるってホント?
- 2019/01/13
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ちょっと誤解を含むアナウンスが一人歩きしている
最近「近い将来、蛍光灯がなくなるってよ!」という声を聞いたので、「ああ、またその話か…」と思った次第で。
先に言っておくと、来月にも在庫が枯渇するほどすぐ蛍光灯がなくなることはない。
またこの「蛍光灯がなくなる」はスゴく誤解を含んだ言い方でもある。
どうもこの手の噂話には余計な尾ヒレがついたり、あるいは必要な胸ビレまで取れちゃったりと、正確な情報が伝わりにくいのが実情。
とはいえ、そういう自分まで誤解していたら元も子もないので、近い将来なくなると噂の「蛍光灯」について、あれこれ調べることにした。
蛍光灯ではなく、蛍光灯器具ね
まず誤解がないようこれ以降は蛍光灯を「蛍光ランプ」と、そしてそのランプをつける灯り全体を「蛍光灯器具」と呼ぶことにしよう。
んで、確かに蛍光灯器具の方は大手メーカーが生産からどんどん撤退し始めている。日立や東芝はすでに終了、パナソニックや三菱も19年3月末で生産全般をやめる予定。
これはLED照明シフトの大きな流れであるから仕方がない。
けれどご家庭やオフィスに一定数残っている蛍光灯器具の「ランプが切れても困らないように」メンテナンス用のランプ製造は当面継続される模様だ。
つまり今ある蛍光灯器具はランプさえ健在なら(または在庫があるなら)まだまだ使えますけど、もう同じタイプの器具は探してもありませんよ、次はいよいよLED照明の出番ですね、という話でいいだろう。
ランプ2020年問題を知っているか
さてまだ当面ランプは製造されるとわかったが、ランプについてはもうひとつ知っておくべき法体系がある。
▼2020年以降、水銀汚染防止法により、水銀を使用したランプは原則製造が禁止される
ところが業界団体によれば「私たちが製造・販売している製品は水銀規制の基準をゆうゆうクリアしており、製造禁止や販売禁止の対象にはなりません」とのこと。
よって2020年以降も私たちが蛍光灯器具を家庭で使ったり、蛍光管を買ったり、オフィスに照明が1台残っていても(もちろん使っても)何のおとがめもない、ということだ。
これを正しく知っていないと「イヒヒ、あと2年でオフィスの蛍光灯は使えなくなる法律があるんですよ。どうです、いっそのことお宅の会社、全部LED照明に変えませんか?」などという不届きな営業マンまで徘徊しているというから、そんな輩がいたら即刻追い出してもらいたい。
ただし…ここからは環境問題として…蛍光灯器具には別の側面もある。
日本は新しい時代のエネルギー政策として、2020年までに「高効率次世代照明=LEDや有機EL等」の普及を大きく推し進める、と決めている。
また2020年からは照明の省エネ基準を決める対象として、従来の「LED、蛍光灯」に加えて「白熱灯」が追加される上、それらをまとめて「照明器具」にくくられてしまうのだという。
業界にはいつも「エネルギー効率のよい商品づくり」が求められ、省エネ目標値のクリアを迫られる(いわゆるトップランナー制度)。
よって同じ「照明器具」といってもわざわざ「蛍光灯や白熱灯」をたくさんつくるメーカーなどあるわけもなく(そんなことでは目標値達成はおぼつかない)、実際の現場では20年といわず、19年からどんどんLED製造にシフトする、というのが大まかな流れのようだ。
結果、早ければ今年あたりからお店によっては蛍光ランプの在庫、流通が細ってくることも予想され、さらにその結果としてだんだん「蛍光灯器具がお役御免になる」かもね、というのが現状です。
これからは趣味やニッチニーズこそ蛍光管に?
とはいえ今後も実生活ではやっぱり蛍光管、白熱管の方ががいいんだけど、というニーズは十分に予想される。
今まで殺菌灯として一般に使われていた水銀ランプもまだまだLEDに取って代わられる最中だし、白熱管の照明としての色味や、温かみがお店やアート空間の雰囲気作りに欠かせないシーンもあるだろう。
となると、蛍光管だって趣味やニッチニーズの引き手が多ければ、意外と中小メーカー(コ○○ミとかド○○シャとかオ○ムとか)の面白い企画商品として残る可能性がありそう。
もしかしたら将来、蛍光管が「1本=5千円」なんていう付加価値を生む逆転現象だってあるかもしれない。真空管アンプみたいに?
ともあれ、もしお宅にまだ蛍光灯器具が残っていたら、今は慌てず使えるだけ使い、今後交換ランプが品切れでとんでもない高値になるようだったらそこがLED交換の時期、と考えるのが良さそうだ。