アイドルとは、どうあるのが正しいのか?
- 2017/03/19
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永遠のアイドルと言われる山口百恵
年端もいかない14、15歳の女の子に、「あなたが望むなら、私、何をされてもいい……」とか、「あなたに女の子の一番、大切な物をあげるわ……」とか歌わせて大喜び。
そんな制作側の意図も大当たり、その子は伝説のアイドルとなりました。
いうまでもなく山口百恵さん、今ではキルト作家として大活躍、公の場に登場する機会は、ほぼゼロにも関わらず、たまに出されるベスト盤やボックスセットは大ヒット。
今だに、彼女を超えるアイドルは登場していないといわれる存在です。
ド変態が作り、ド変態が喜ぶ芸能界
しかし、考えてみればあんな下半身を直撃するような曲を、子どもに歌わせる方も歌わせる方、聞いて喜んでいる方も喜んでいる方。
芸能界とはそんなド変態が跳梁跋扈しているところなのです。
まあ、山口百恵さん全盛期に幼児だった私には、推測することしかできないのですが、彼女は周りの意図を知ってか知らずか、健気に仕事をこなしていたのでしょう。
当時、彼女のバックバンドのメンバーを務めていた人の話によると、ライブ後の打ち上げには、かならず百恵さんも参加して、お酌をして回っていたといいます。
「……いやあ、百恵ちゃん本当にいい子でさあ」。
彼女を思い出す、還暦を迎えた彼の目には、薄っすらと涙が浮かんでいたのです。
下半身を直撃するような曲のパブリックイメージと、ウブな女の子のアンビバレントさ。
これが、彼女を伝説のアイドルとしたのでしょう。
性的な目で見られるということへの不快感
清水富美加さんという女優が、先日、新興宗教への信仰・出家を表明し、ちょっとした騒ぎになりました。
彼女が所属していた事務所のギャラの支払いがどうしたとかそんな所も話題になっていたのですが、もっとも驚かされたコメントが、
「性的な目で見られであろうと知りながらの、グラビア撮影に耐えられなかった」というもの。
しかし芸能界がそんな所であるのは、百恵ちゃんの昔からとうにわかっていたこと。
清水さん自身、芸能界入りした当初は年端も行かなくて、「宇宙キター♪」と叫びながらハヤブサ君の唄を歌っていたのですからしょうがないのですが、周りの大人、例えば父親は芸能界入りを娘の口から聞いた時、どう考えていたのか?
更には、彼女を救済するために、新興宗教を紹介したのも父親だといいますから、まあ大概であります。
葛藤を抱えつつ、微笑む彼女たちはプロの鑑
考えてみればグラビアで微笑んだり、テレビで踊ったりしている大多数の女の子たちも、百恵ちゃんや清水さんが抱えたであろう葛藤を心の中に隠しつつ、仕事に励んでいるのです。
清水さんの一件以来、アイドルと呼ばれる彼女たちを見る目が少し変わった気がします。
ああ、イヤなことを抱えているのは、俺たちオヤジといっしょなんだねえ、でも微笑み続けているんだねえ……嫌な顔一つ見せずに、オタの手を握り続ける。実にプロフェッショナルな話です。
アイドルファンという戦慄を感じる存在
ところで、一連の騒動で最も驚かされたのが、清水さんが葛藤を抱えながら仕事をしていたというコメントが出るや否や激しく反応したアマゾンのチャート、彼女の写真集やDVDが突然売れ出したとのことでした。
写真集やDVDのジャケットには、屈託のない笑顔を見せる清水さんの写真。
しかし、そのウラにある、無理やり仕事をさせられているという悲劇性に興奮を覚え、写真集やDVDを買いに走ったとでもいうのでしょうか。
そんなアイドルファンの境地は、私から数万後年の彼方にありました。
どんな世界も奥深いと戦慄を覚えるのです。