違反駐車してたら貼られてしまう「放置違反金制度」って出頭が必要なのか?
- 2019/01/01
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駐車違反の処理は主に2つある
誰もが一度は経験があるかもしれない。それほどまでにメジャーな交通違反のひとつに駐車違反があります。いや、そこまで多くないだろ!と思うかもしれません。しかし、駐車違反を厳密に考えた場合、知らないうちに「道路交通法違反」を犯している可能性が少なくないのです。
それはともかく、駐車違反をした場合の警察による処理は主に2つあります。
・交通反則通告制度による駐車違反としての青キップ
・放置駐車違反としての違反金納付命令
例外的に3つめとして道路交通法違反被疑事件としての刑事事件化がないわけではありませんが、あまり気にする必要もないでしょう。
さて、ここでタイトルの答えを発表しましょう。正解は「出頭する必要はない」です。それでは、なぜ出頭する必要がないのかを順を追って解説します。
まず、駐車違反が行われると、現認によってステッカー(標章)などが貼られます。現場に運転者がいる場合はその場で青キップを切ることになるでしょうが、たいていはどこかに行っているため、後刻ステッカーなどによって取り締まりを受けたことを知ることになります。
これを見た運転者が指定の交番などに出頭して青キップを受け取り、納付期限までに交通反則金を納めて終了というのが一般的な処理となります。駐車違反の交通反則金は自動車なら安くても1万円です。
さて、ここで出頭するのがメンドクサイとか、逃げればいいじゃん!という考えから「バックレ」をかますケースがあります。
ここで登場するのが、放置駐車違反として処理であり、そのお金こそが「放置違反金」なのです。
放置違反金の出番とは
そもそも、青キップというのは交通反則通告制度に基づくものであり、本来であれば道路交通法違反事件として刑事処分の手続をしなければならないところ、交通違反事案は掃いて捨てるほど多いため、いちいち刑事事件にしていられません。そこで、罪というより「違反」を認め、反則金を納めれば刑事責任を追及しない制度ができたわけです。
つまり、本来の手続の例外的なものが交通反則通告制度であり、反則金、青キップといえます。もっとも、例外の方が圧倒的に多いため、刑事処分に進む方が例外といえる状況です。
そして、例外的な青キップには強制力がありません。国民には刑事手続を受ける権利があるためです。したがって、青キップを受け取りに出頭する義務もなければ、受け取ったからといって反則金を納付する義務もないということになります。
では、出頭せずにバックレると刑事処分に移行するのか?といえば、先に述べたとおり、登場するのは「放置違反金」です。運転者が納めないなら当該車両の使用者(一般的にいう車の持ち主のことですが、ローン支払い中など法的には持ち主ではないことがあります。)に使用者責任を追及します。
ただし、いきなり納付命令が来るわけではありません。まずは、弁明通知書が送付されます。このとき、放置違反金を払う根拠がないと思えば、弁明を行います。自分は使用者ではないとか、違反そのものが事実ではないとか、自分の力ではどうしようもない自然災害などの原因によるものだとかいったケースです。
この弁明が認められなければ、いよいよ放置違反金の納付命令が送付されることになります。
このように、放置違反金制度はあくまでも書類が送られてくる手続であり、違反金を納付するにしても、しないにしても出頭の前提自体がありません。納付しない場合の扱いとしては、最終的に滞納処分を受けたり、車検拒否されたりします。
ここで注意したいのは、反則金と違反金は同時進行し得るものだということです。つまり、反則金の納付がないため違反金の納付命令に至った場合でも、反則金の納付が行われるケースがあります。仮に反則金と違反金の両方が納付される事態になれば、違反金の方が返還されることになります。
また、放置違反金の納付命令をもって通告を受けた反則行為自体の手続がなしになるわけではないため、刑事処分に移行する可能性がないわけではありません。もっとも、営業車を除けば違反者である運転者と車の使用者が同一人物であることが多いと考えられることから、放置違反金の納付があれば刑事処分を行う必要性が大きく低下すると考えることはできるでしょう。