メルセデス・ベンツの質実剛健な安定感の謎に迫る!
- 2018/09/04
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そもそも概念を生み出したのが、メルセデスだから
経営者とか、プロ野球選手とか、プロゴルファーとか。
その昔、大金を稼ぐのに成功した人たちが、こぞって乗りたがった車といえば「メルセデス・ベンツ」でした。不思議に思った私、アントニオ犬助が、そのことを父にたずねたところ「彼らは体が資本だから、少しでも安全性が高い車を選ぶのだ」とのこと。
ほお、高価な車に乗っていれば助かる命もあるのだ。幼心に、そんなことを思ったのを覚えています。
なぜ、メルセデス・ベンツが安全なのか?というと「安全技術」という概念を生み出した自動車メーカーがメルセデスだったから。時は1939年、自動車が走っている事自体がまだ珍しかった時代です。
例えば、ボンネットとトランクをわざと壊れやすい設計にし、車内空間を守る「セフティシャーシ」。急なブレーキでタイヤがロックし、ハンドルが効かない状態を防ぐ「ABS」。そして、近年ではほとんどの車に採用されている「SRSエアバッグ」。
これらはそれぞれメルセデスが、1951年、1978年、1980年に実用化したもの。すべて安全技術という思想にもとづいています。
他のメーカーがそれぞれを装備に加えだしたころを考えてみれば、メルセデスの安全技術に対する意識の高さを実感することができるでしょう。
一見ただのオシャレ装備に思えるのだけど
それだけではありません。
握って開くタイプの「グリップ式ドアハンドル」。
何となく高級感があるので、今では高額の車種を中心に多くのメーカーが採用していますが、これもメルセデスが開発したもの。
その理由は高級感を演出するためではなく、車を牽引する必要があった場合にフック代わりに使えるようにという理由、これもメルセデスの安全技術の一環です。
また「ウインカー付きのドアミラー」を最初に搭載したのもメルセデス。
1997年のSクラスでのことだったのですが、これもカッコイイからという理由ではありません。ウインカーの認識性を高めるためというのが、これを開発した理由。
やっぱり、安全のためだったのですね。
そりゃあ、昔のお金持ちがメルセデスをこぞって購入したのもうなずける。
一見、高級感の演出やカッコよさのためと思える装備にも、裏側には安全のためとい理由がある。これぞ質実剛健といわずして、なんといいましょうか。
他社の追従も激しい、昨今なのですが
しかし、自動車メーカー各社もメルセデスの追従したからか、今日では安全性という点では、ずいぶん差が小さくなったように感じられるもの。
最近ならメルセデスは、ステアリングを自動で切ることで駐車をカンタンにする「アクティブパーキングアシスト」や、自動緊急ブレーキ「CPAプラス」などを搭載しましたが、どれもどこかで聞いたことがある装備。特別に目新しさを感じないのです。
にも関わらず、メルセデス・ベンツ=質実剛健というイメージが根強いのはなぜでしょうか?
企業の根幹にあるから、そして広報がうまいから
このことはやはり、安全性能という言葉を最初に考えて、1938年より実践してきたという強みでしょう。何しろ、メルセデスという企業の根っこに安全性能があるのですから。
一方でこれらに追従している他社の姿勢からは「安全装備を搭載すれば売れるだろう」という下心が見えてくる。それは「自動車=儲かる」というところから、企業が始まっているのだから、しょうがないことなのです。
そういえばメルセデスが、また新しい安全技術を開発したということを知りました。
この技術は「デジタルライト」、「路面凍結」「この先工事中」「車間注意」……ドライバーに注意をうながすアイコンを、ヘッドライトで路面に投影するというもの。
「この先左折」というナビゲーションも、路面に投影された矢印でおこなう。
なぜなら、この方がドライバーの視線の移動が少なくて、安全と考えているからというのです。
……正直やりすぎじゃないの?と思うのですが、ここまでやってしまうのがメルセデス。だからこそ、質実剛健というイメージが安定して今まで持続しているのでしょう。
まあ上手い広報の方法だな、とも思うのですが、それもメルセデスの企業努力には違いありません。