これって知覚過敏?冷たいものや熱いものが歯にしみる!【歯科医が解決!】
- 2019/04/18
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はじめに
冷たいものが歯にキーンとしみて辛い悩みをした経験ありませんか。
もしかしたら、それは歯が知覚過敏を起こしているからかもしれません。
知覚過敏とはどのような病気なのでしょうか。むし歯とはどう違うのでしょうか。
今回は、歯の知覚過敏について説明します。
知覚過敏とは
知覚過敏は、正式には象牙質知覚過敏症といい、歯が冷たい水や風、甘いものなどの刺激を受けることで、キーンとしみる痛みのことです。その多くは一過性で、継続的に痛みを感じることはありません。
もちろん、むし歯など他の病気があって起こっている痛みの場合は、知覚過敏とはみなされません。
歯の神経の感じ方
歯の大部分は象牙質でできており、その周囲をエナメル質という骨より硬い物質で覆って保護しています。
象牙質には、象牙細管という顕微鏡レベルの大きさの非常に細い管が無数に走っています。象牙細管の内部は液体で満たされており、その液体が温かいものや冷たいものによって刺激されることで膨張収縮します。
この変化が歯の神経、つまり歯髄に伝わって、歯がしみたり痛んだりするのです。
一方、エナメル質にはこのような構造はありません。仮にエナメル質を削ったとしても、痛みを感じることはないのです。
知覚過敏の原因とは
通常、象牙質はエナメル質で覆われています。稀に、ひどく冷たいものの刺激によって痛みを感じることがありますが、基本的には冷たいものや温かいものでなんらかの症状を感じることはありません。
そのエナメル質で覆われているのは歯冠の部分だけです。歯根の部分は骨や歯ぐきで覆われているので、エネメル質では覆われていません。
歯周病などで歯ぐきが痩せることで歯根の部分が露出すると象牙質が現れてきます。
象牙質は本来露出しているところではないので、刺激に弱いだけでなく、象牙質がさらにすり減ってしまうと象牙細管そのものが露出してしまうこともあります。
その結果、露出した象牙質の部分に冷たいものや温かいものの刺激が伝わって、キーンとしみるような症状が現れるのです。
知覚過敏の歯科医院での治療法
知覚過敏を感じた場合、歯科医院ではどのような治療を行うのでしょうか。
・知覚過敏の薬を塗る
よく行われるのが、知覚過敏の薬を塗ることです。
・詰めてカバーする
歯ぐきが痩せて象牙質が露出することで、歯がしみている場合、露出した象牙質を詰め物でカバーするのも効果的です。
この時に使われるのは、コンポジットレジンとよばれる歯の色に近いプラスチック製の詰め物です。
象牙質部分をコンポジットレジンで詰めることで、象牙質に刺激が伝わりにくくし、知覚過敏を起こさないようにするわけです。
・神経を取り除く
歯の神経を取り除くと、その歯は、冷たいものや温かいものの刺激を受けても反応しなくなりますから、知覚過敏をなくすことができます。
ですが、これは最終手段です。歯の神経を取り除くということは、神経と一緒に走っている血管も取り除いてしまうことになるからです。
歯はこの血管から栄養や酸素を受け取っていますので、その供給路たる血管がなくなることで、歯は死んでしまうことになり、強度も低下し、欠けたり割れたりしやすくなるだけでなく、むし歯にもなりやすくなります。
ですから、歯の神経を取り除くのは、最終手段なのです。
・噛み合わせの調整
上下の歯の噛み合わせの関係に異常があると、歯を支えている骨にダメージが及ぶことがあります。これを咬合性外傷といい、歯周病の原因ともなるので、噛み合わせも大切な要素の一つです。
歯科医院では噛み合わせもチェックし、噛み合わせに異常がある場合は、噛み合わせの調整も行ってくれます。
・フッ素を塗る
フッ素は、むし歯の予防に効果があることが知られている薬剤です。
むし歯の予防を発揮する作用の一つに、歯の再石灰化があります。これはむし歯の原因菌によって一旦溶かされてしまった歯を元の状態に戻す働きのことです。
フッ素を塗ると再石灰化が促進されますので、露出した象牙細管を埋めて塞ぐ効果が期待されます。
コンポジットレジンで埋めるほどでない場合は、フッ素を塗ると良い場合があるので、歯科医院では知覚過敏に対してフッ素を塗ることがあります。
知覚過敏の予防法
知覚過敏を起こさないようにはどうすればいいのでしょうか。
・歯ぐきが痩せないようにする
歯ぐきが痩せることで、歯根、つまり象牙質が露出し、知覚過敏が起こるわけですから、歯ぐきが痩せないようにすることは、知覚過敏を防ぐ上での大切なカギと言えます。
そのためには、適切な歯みがきをすることが重要です。適切な歯みがきを行う上でのポイントを紹介します。
①歯ブラシの使い方に気をつける
歯みがきの時に、歯ブラシに力をかけすぎたり、歯ぐきに変に歯ブラシを当てたりすると、歯ぐきが削れてしまい、痩せてしまうようになります。
実は、歯ぐきが痩せてしまう原因のうち、最も多いのが過剰な力を加えてしまうことなのです。
正しい磨き方については、歯科医院で指導してもらえますので、一度ご相談になるといいでしょう。
②歯周病を予防する
歯周病とは、歯を支えている歯ぐきや骨などに生じる病気のことで、歯周病になるとその部分が徐々に減っていってしまいます。歯周病が悪化すると歯ぐきが腫れたり、歯がグラグラしたりするのはそのためです。
歯周病も歯ぐきを痩せさせてしまう原因のひとつですから、歯科医院を受診して予防するようにしましょう。
③歯ぐきの縁もきれいに磨く
歯ぐきが痩せて露出した歯根の部分は少しくぼんでいます。これは歯の形がそうなっているからなので、異常なことではないのですが、その部分にプラークがよくたまってしまいます。
プラークとは歯の表面についている白いカスのようなもののことで、その正体は細菌です。歯周病の原因となる歯周病菌はこのプラークの中にいますので、プラークを取り除くこと、つまりプラークコントロールは歯周病対策でとても重要となります。
前述した歯根のくぼみの部分にプラークが残ったままになると、歯周病が進んでさらに歯ぐきが痩せてしまうことになりますので、毎食後ていねいに取り除くようにしましょう。
・知覚過敏予防の歯みがき剤を使う
知覚過敏の予防効果のある歯みがき剤がいろいろな会社から発売されています。
これらの歯みがき剤には、乳酸アルミニウムや硝酸カリウムという薬剤が配合されています。乳酸アルミニウムや硝酸カリウムには、露出した象牙細管を埋めてふさいだり、象牙細管からの刺激が神経に伝わりにくくしたりする作用があります。
こうして知覚過敏を予防したり、症状を軽くしたりするのです。
毎食後の歯みがきの際には、知覚過敏の予防効果のある歯みがき剤を使ってみるといいでしょう。
知覚過敏の悪循環
知覚過敏は、あくまでも一過性の痛みなので、すぐに治る場合がほとんどです。ですが、だからと言って放置するのは問題です。
なぜなら、知覚過敏によって歯がしみて適切に磨けなくなった場合、プラークが残ったままになり、さらに歯周病が進行し、歯ぐきが痩せてしまうからです。
プラークの中にいるむし歯の原因菌が生み出す酸が歯を溶かしてしまうことも、象牙細管を露出させてしまうことにつながります。
その結果、さらに知覚過敏が進行し・・・というように悪循環に陥ることがあります。
ですから、たかが知覚過敏と思わず、適切な治療を受けるように歯科医院を受診するようにしてください。
まとめ
今回は、歯の知覚過敏というオヤジにありがちな悩みについて紹介しました。
虫歯でもないのに歯がしみる病気が知覚過敏です。知覚過敏で悩んでいる方は、この記事を参考にして、歯科医院を受診してみるなどご検討ください。