ジョニ黒の悲哀、シングルモルトとブレンデッド
- 2017/01/31
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昭和のにおいが漂うジョニ黒
「ジョニ黒」……ジョニー・ウォーカーのブラックラベルのことなのですが、このジョニ黒という言葉の響きには、立派なオヤジも思わず顔をしかめてしまうほどの昭和臭さがただよっています。
なぜ、古臭いイメージをジョニ黒に持ってしまうのか?
それは、昭和の男のあこがれといえば洋酒、そして洋酒=ジョニ黒だったからです。海外旅行へいってきた人のお土産といえばジョニ黒といった時代が長かった。
高額な物品税が輸入洋酒にかけられていたから、ジョニ黒は必要以上に高級品扱い。
海外旅行では免税店でジョニ黒を安く購入することが出来たから、ついついお土産にしたのでしょう。
しかし、1988年の消費税導入にともなう物品税廃止によって、ジョニ黒は次第に安くなり洋酒自体があこがれの存在ではなくなっていきました。
世界中で愛されているジョニー・ウォーカー
そしてジョニ黒は、何とも時代から取り残されたような存在となったのです。
その代わりに日本のウイスキーで幅を利かせ始めたのがシングルモルト。
ヨードチンキ臭いハイランドモルトを好んで飲む層も表れましたし、世界で高い評価を受けている国産シングルモルトの「山崎」や「竹鶴」も、逆輸入のような形で愛好家が増えています。
その一方で、世界に目を転じるとジョニ黒は依然として世界で最も飲まれているウイスキーなのです。
なぜか、それは飲みやすいしコストパフォーマンスに優れているからに他なりません。
ブレンデッドよりシングルモルトという風潮
ジョニ黒は飲みやすい。その理由は、飲みやすいようにブレンドされているからです。
近年もてはやされている「シングルモルト」は、一つの蒸溜所で造られたものだけを瓶詰めしたもの。
一方のジョニ黒は、複数の蒸溜所で造られたものを混ぜあわせて瓶詰めした「ブレンデッド」なのです。
本来、シングルモルトウイスキーなんてものは癖が強すぎるため飲みにくいとして、ごく少量が蒸溜所の地元で出回っているに過ぎませんでした。
そんなシングルモルトの大半は、ジョニーウォーカーなどブレンデッドウイスキーを製造しているメーカーへと卸されていたのです。
酒は流行り廃りで飲むものなのか?
しかし、そんな飲みやすくブレンドされたジョニ黒は、日本では時代の流れと共に「昭和臭いもの」として敬遠されるようになりました。
飲みやすく調整されたものが敬遠されるようになって、その一方で飲みにくいとされていたシングルモルトがもてはやされるというのが、何とも面白いところです。
……というか、流行りという名の下にたくさん売れていたものが、一気に廃れるというのが何とも日本的ですね。
ジョニ黒をありがたがっていた昭和のオヤジたちは、好きで飲んでいたんじゃないんかい!!
と、突っ込みの一つも入れたくなります。
このままいくと、近いうちにシングルモルトも敬遠されるようになりますよ。
大切なのは取捨選択
本来ならば、酒なんてものは生活と密接に結びついたものですから、流行り廃りがあるのはおかしいものなのです。
この責任は、日本とは全く縁もゆかりもないウイスキーを日本に持ち込んで広めた、竹鶴政孝氏とサントリーに負う所が大きいのですが……我々は流行り廃りに振り回されることなく、本当に欲しているものだけを愛するべきだと考えるのです。