日本酒のマニアは、「原酒」を水で薄めて飲む
- 2016/08/13
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原酒を水で薄めるのが、酒造りの最後の工程
日本酒の多くは、瓶詰めする前、もろみを絞った原酒に水を加えて薄める処理をほどこされます。酒そのものの製造では、これが最後の工程となります。
水で薄めるのは、アルコール度数を調整するためです。原酒のアルコール度数は17〜20度あり、これに水を加えることによって味わいに最終的な仕上げをするのです。
実際に商品として売り出されたものを見ると、同じ銘柄でもランクによって素材が違い、アルコール度数にも微妙な変化があるのがわかります。東京・小澤酒造の澤乃井を例にすると、
大吟醸 凰:16度以上17度未満
純米大吟醸:15度以上16度未満
特別純米:15度以上16度未満
本醸造大辛口:15度以上16度未満
となります。
アルコール度数が高いと、酒の香りは強くなる
澤乃井は全体にアルコール度数がやや高めで、日本酒の中には14度前後のものも少なくありません。澤乃井がやや高めなのは、この度数によって味を決め、銘柄の個性としているからでしょう。
それでは、アルコール度数によって酒の味はどう変わるのか。これが気になるところですが、一般的には(あくまでも一般的にはですが)低アルコールだと甘みと酸味が弱くなり、高アルコールだと香りが強くなると言われます。食中酒つまり食事しながら飲む日本酒には低アルコールのものの方がいいと言われるのはそのためです。
原酒をミネラルウォーターで割って飲むマニアたち
どの分野にもマニアと呼ばれる人たちがいますが、日本酒のマニアの中にはアルコール度数の調整がされた酒が飽き足らず、あえて「原酒」として売られているものを好んで飲む人たちがいます。アルコールは本来無味無臭ですが、度数が高くなると、なぜか酒に甘みが生じるからです。
ただし、彼らは原酒をそのまま飲むだけではありません。比率を工夫しながらミネラルウォーターで割り、そのさじ加減とともに変化する酒の味を楽しみます。まあ、そこまでやるのは「狂」の字のつく人たちと言ってもいいですが。
硬度の高い水で割ると、日本酒はフランス風になる?
ミネラルウォーターとして市販されている水には、硬水のものと軟水のものがあります。硬水はカルシウムやマグネシウムを多く含む水、軟水はカルシウムやマグネシウムを少量しか含まない水のことですが、そのどちらを使って割るかによっても酒の味は変わります。これがまたマニアの楽しみなのです。
国産のミネラルウォーターのほとんどは軟水ですが、これに対し、フランス産のエヴィアンやヴィッテルは硬度の高さが特徴です。「原酒をエヴィアンで割るとね、これが不思議。フランス料理に合うんだよ」と言うマニアがいますが、真偽のほどはともかく、一度試してみる価値はありそうですよ。