ITでは世界のトップをひた走る小国エストニアの謎

  • 2018/06/24
  • ビジネス
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小国なのにITでは大国

小国なのにITでは大国

IT大国となると、数ある欧米先進諸国の中からどこが先端を走っているのだろうかと思ってもおかしくはありません。
しかし、実は旧ソ連から独立した若くて小さい国エストニアがIT国家の未来を実現しているとされているのです。
北欧バルト海に面するバルト三国の最も北にある人口わずか130万人の国です。
それだけ小さい国だからこそ実現しているIT国家ではあるとは言えます。

 

それはエストニアの歴史にあった

それはエストニアの歴史にあった

・ソ連時代の資産
旧ソ連はソ連を構成していた共和国毎に担当する産業を決めていました。
特化することでその産業が発展し、それを共和国間で共有することによりソ連全体の産業を発展させようとしたのです。
その枠組みの一環としてエストニアにはIT産業が割り当てられたのです。
ちなみに同じバルト三国では、ラトビアは輸送機械、リトアニアは電子産業を担うことになっていました。
今では注目されているAIなどの研究所もあったのです。
エストニアはソ連崩壊の後、これらの資産を活かした国づくりに励みます。
ソ連から解放されたとは言え、そのソ連のおかげで何の資源もない小国がIT大国でいられているのも事実なのです。

・隣国からの支配
エストニアは隣接する大国からの支配を度々、受けてきました。
今でこそ独立していますが、それもつい最近になってのことです。
いつまたロシアなどの方針が変わって併合される憂き目に遭わないとも限らないと国民は感じています。
そこで国土が失われても国家が存続していられるようなデータ管理に注目しているのです。
たとえ本国のデータが失われても、外国の大使館にバックアップが用意されて保護には万全を期しています。
国土が焦土と化しても国は無くならないとの安心感が、国民の暮らしの充実感にも繋がっているのかもしれません。

 

IDカードと端末さえあれば

IDカードと端末さえあれば

エストニアは人口密度も低い国で島も多く寒い地域でもあり、役所などに出かけるのも不便な地域です。
施設を設置すればそこで働く人の人件費までもかかりますが、IT環境を整備することでコストダウンも図られています。
役所への手続きで自宅でできないものは、婚姻届けと離婚届けくらいなものなのです。
法人登記もできますので、起業もしやすくなっています。

・世界初の電子投票
エストニアがITで知られるきっかけになったのが、2007年の世界初の国政選挙における電子投票の実施です。
自宅に居ながらにして投票できるのですから、投票率の向上が期待できます。
またエストニアは人口の約10%が海外に住んでいますので、特にその影響は著しいものとなるのです。
これだけなら日本でもできそうですが、セキュリティの問題が解決されずなかなか導入には至っていません。

・医療
健康保険証、お薬手帳にもなっていて、あらゆる病院の医療記録、処方箋の記録もされています。
専門家が参照することによって、健康管理にも役立つことになっています。

 

個人情報のデータ化に対する信頼

個人情報のデータ化に対する信頼

いくらITに関する資産があったとは言え、IDカードで個人情報が管理されることにはセキュリティ面での不安も拭い切れません。
エストニア国民でもそれは例外では無かったでしょう。
しかしそれでも国がある意味、強引に推し進めた結果であるとも言えます。
まずIT国家に納得してもらうために、情報の透明化を図ることから始めています。
例えば国家が保有する公文書、政治家の資産などをネットで閲覧可能にしています。
機密文書もありますが、その場合はその理由を記載しているのです。
IT国家の基盤となるべく個人情報の保全に関する法律も整備しています。

・日本では遠い将来の話
国が公文書を偽装工作する日本では、IT国家などなかなか納得してもらえるものでもないでしょう。
それでもマイナンバー制度の導入で、一歩ずつIT化への道は歩もうとしているのです。

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