今こそテイエムオペラオーがいかに偉大だったか語るべし
- 2018/05/29
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世紀末覇王、世を去る
5月17日、稀代の名馬・テイエムオペラオーが22歳で世を去りました。2000年に8戦8勝、しかも古馬芝中長距離GIすべてに勝利し、「世紀末覇王」の異名を取ったオペラオー。ライバルのメイショウドトウやナリタトップロードとしのぎを削り、1年先輩のグラスワンダーやスペシャルウィークとも名レースを演じましたね。スペシャルウィークは4月27日に亡くなっており、相次ぐ訃報に競馬ファンは肩を落としました。この時代の競馬に夢中になり、「このころが一番面白かった」と懐古するオヤジも多いのではないでしょうか。
競走馬の現役時代は短く、スターホースの入れ替わりはあっという間。もうディープインパクトさえかなり以前に走っていた印象の中で、オペラオーを語るのはオヤジ丸出しかとためらってしまうかもしれません。しかし今は、オペラオーについて知りたい競馬初心者も多いはず。ここぞとばかりにオペラオーを語るため、重要なポイントをまとめました。
残した記録が規格外すぎる
まず、オペラオーが打ち立てた記録を見てみましょう。
GI勝利数は7勝で、シンボリルドルフ・ディープインパクト・ウオッカと並び最多タイです。しかも古馬芝中長距離GIの天皇賞(春)・宝塚記念・天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念を2000年の年間無敗ですべて勝利しました。GI年間勝利5勝、重賞年間勝利8勝も最多記録です。
古馬芝中長距離GIの完全制覇は、同年内に限らずともオペラオーしか達成していません。近年ではディープインパクトやキタサンブラックが完全制覇を期待されましたが果たされず、この記録がいかに規格外かがうかがえます。
そして獲得賞金18億3518万9000円は引退当時の世界最高金額で、海外馬も含めると2017年のアロゲート、国内では2018年のキタサンブラックに抜かれるまで長きに渡ってトップの座に君臨してきました。賞金額は年々上がっているのについ最近まで破られなかったのですから、こちらも恐るべき規格外ぶりです。
名馬エピソードに事欠かない
凄まじい記録を残したオペラオーですが、名馬といえば個性的なエピソードも欠かせませんよね。もちろんオペラオーはこの点もバッチリです。
オペラオーの現役当時はサンデーサイレンス血統の全盛期。その中にあってオペラハウスを父に持つオペラオーは地味な血統と見られ、仔馬時代はあまり注目されませんでした。しかしオーナーとなる竹園正繼氏には「光り輝いて見えた」そうです。セリではだれも竹園氏に競りかけず、竹園氏はスタート価格の1000万円でオペラオーを購入。この仔馬が成長して、18億円以上稼ぐのです。
現役時代のオペラオーは放浪癖があり、厩舎内で放馬してしまうことがしばしばあったとか。しかしいつの間にか、そしらぬ顔で自分の馬房に帰ってきていたそうです。
また引退後に競走馬総合研究所が検査を行った結果、オペラオーは平均的なサラブレッドより大きな心臓を持っていることがわかりました。このためずば抜けた持久力があり、強さの要因のひとつとなったのです。
憎らしいほど強かった
記録もエピソードも枚挙に暇がないオペラオーですが、現役時代には意外なほど人気がありませんでしたね。その理由のひとつは、いつも僅差で勝っていたから。このため、「本当に強いのか?」と疑問を持つ競馬ファンが多かったわけです。
確かに、大差で勝つ馬は素直に強いと思えます。大差勝利のレースは花もあり、強く印象に残るもの。しかし実際のところ10馬身差もハナ差も勝ちは勝ちなので、大差にはさほど重要性がありません。それどころか馬体によけいな負担をかける心配があります。
オペラオーはとても真面目に走るという評価があり、さらに自分で厩舎に帰ってくるような賢い馬なので、自分で計算して無理なくきっちり勝っていた可能性があります。どんな走り方をしても届きそうで絶対に届かないのですから、ライバル馬たちの絶望感は大差で勝たれるよりもずっと深かったでしょう。
このような規格外の名馬は二度と現れないかもしれません。そんなオペラオーの活躍をリアルタイムで目撃できた方は幸せ者。存分に在りし日の覇王ぶりを語ってください。