意外と知られていない永世中立国の真実とその定義
- 2018/01/22
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永世中立国について
国際情勢について語るときに、時々議論になるのが「永世中立国」です。永世中立国のイメージとしては、軍隊がなく平和な国という印象を持っている人も多いと思います。日本でも、国内から自衛隊や米軍を無くして永世中立国になろうと主張する人がいます。しかし、果たして本当に永世中立国は軍隊がないのでしょうか。そして、永世中立国は本当に平和な国と言えるのでしょうか。そこで今回は、永世中立国について紹介していきたいと思います。
永世中立国の定義
永世中立国として有名なのがスイスです。スイス以外にも、オーストリアやラオスなどが永世中立国となっています。永世中立国を簡単に定義すると、将来他国同士の戦争が起こったとしても、その戦争に関わらないということ意味しています。言葉の通り、常に中立の立場であることを示しているのです。ただし、国際連合にいける平和維持活動(PKO)は中立義務違反とはされていません。実際に、スイスやオーストリアはPKOに参加したことがあります。
永世中立国は、周辺国などが承認しているケースと宣言しているだけのケースがあります。スイスは前者であり、1815年のウィーン条約で永世中立国であることが承認されているのです。また、オーストリアは1955年に永世中立国を宣言し、主要国から認められています。後者のケースとしては、カンボジアやコスタリカなどが挙げられます。
永世中立国には軍隊も!
永世中立国のイメージとして、軍隊がないと思い込んでいる人もいるのではないでしょうか。実はそんなことはなく、永世中立国にも軍隊を保持している国はあります。永世中立国は大きく分けて2つに分類することができます。それが、武装中立国と非武装中立国です。言葉通りの意味であり、武装中立国には軍隊が存在しています。一方で、非武装中立国には軍隊が存在しません。そのため、一概に「永世中立=軍隊がない」とはならないのです。
永世中立国として真っ先に思い浮かべるのはスイスだと思います。スイスも軍隊を保持しています。スイスは軍隊を保持しているのみならず、徴兵制を採用しているのです。兵役後は予備兵となり、一家に一台自動小銃が配布されています。スイスは国民全体的に国防の意識が高く、だからこそ永世中立国の立ち位置を守ることができるのです。
永世中立国の真実とは?
永世中立国を見ていくと真実が見えてきます。必ずしもイメージするような、軍隊がなく平和な国ではないのです。永世中立国というのは、他国同士の戦争に関わることはありません。そして、自国に他国の軍を駐屯させるようなことはしません。しかし、だからといって他国が攻めてこないとは限らないのです。そのため、永世中立国は自国を守るために、軍事力が必要になるのです。永世中立国を宣言すれば、安全で平和な国となるという美味しい話は残念ながらありません。永世中立国は、独自で自国を守らなければならないというのが真実なのです。
日本が永世中立国になることができる?
日本人の中にも、永世中立国になるべきだと考えている人もいます。しかし、ここまでの紹介で、日本が永世中立国となるのは現実的ではないことがわかったのではないでしょうか。そもそも、日本には在日米軍がおり、防衛も米軍頼りとなっています。永世中立国になりたかったら、日本だけで防衛できるだけの軍事力が必要になるのです。非武装中立国になるのはもっと非現実的です。日本は領土問題を多く抱えており、非武装となれば乗っ取られる可能性があります。日本という国のリスク管理を考えていくと、永世中立国になることはまず無理なのです。日本は永世中立国になるよりも、国防についてしっかりと議論していくべきなのではないでしょうか。