自分は女性に優しいと思っている男性こそ「マンスプレイニング」に要注意

  • 2018/12/02
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  • 八神千鈴
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女性が困っていたら助けるべきですが…

女性が困っていたら助けるべきですが…
女性が「どうしようかな?」とか「どういう意味かな?」と困っている様子だったら、紳士たるもの、取るべき行動や役立つ知識を教えてあげたいと思うものですよね。だけどちょっと待ってください。それは「マンスプレイニング」かもしれません。

マンスプレイニングとは「man=男性」と「explain=説明する」を組み合わせた言葉で、「男性が女性に対し、女性は無知だという無意識の差別をもって、見下したり馬鹿にしたりするような態度で説明や助言を与えること」を意味します。
女性になにかを教えたら、無視されたり逃げられたり愛想笑いで受け流されたり……という経験をした男性もいるのではないでしょうか。そんなとき、男性としては「せっかく教えてあげたのに、どうして否定的な態度になるのだろう」と思うかもしれません。しかし、教えて「あげる」という考え方がすでに女性を下に見ています。しかもこれが無意識なのですから、女性たちはわざわざ自覚させる義理もないと感じて相手にしないわけです。

「自分は困っている女性を放っておけない、女性に優しい紳士だ」と思っている男性ほど、このマンスプレイニングに陥りやすいです。女性になにか説明するときは、まず本当に相手が必要としている情報なのか、相手の立場になって冷静に考えてみましょう。

 

実は女性にかなりウザがられている

実は女性にかなりウザがられている
マンスプレイニングという言葉が生まれたきっかけのひとつに、アメリカの著述家レベッカ・ソルニットさんがアメリカの新聞ロサンゼルス・タイムズのサイトに寄稿したエッセイ「Men Explain Things to Me」(男性は私にものを説明してくる)があります。ソルニットさんはこの文中で、パーティに参加していたときに話しかけてきた男性が、ソルニットさんの最新作についてソルニットさんが著者だと知らずに解説してきた出来事を語っています。

このエッセイが発表されると、「わかりきったことを得意げに上から目線で説明してくる男性」にうんざりしている多くの女性たちが共感し、マンスプレイニングという言葉と概念が一気に広まりました。「女性は無知」という無意識の決めつけと、上から目線の説明という自己顕示欲や承認欲求のあらわれの両方がにじみ出ているのですから、女性がマンスプレイニングに不快感を抱くのは当然でしょう。

ソルニットさんの例はとてもわかりやすいですが、このほかにもたとえば、女性が手頃な世間話としてPCやスマホの扱いがわからないと言っただけなのに空気を読まずレクチャーをはじめる男性や、女性が政治や経済の話をしているところに割り込んできて自分の意見を延々と話す男性などは、「ウザい」とか「イライラする」と女性たちに大変不評です。

 

女性だけでなく誰に対しても対等という意識を

女性だけでなく誰に対しても対等という意識を
マンスプレイニングは犯人である男性が無意識・無自覚なうえ、「いいことをしている」とさえ思っている分、故意の嫌がらせよりも性質が悪いといえます。女性が不快な表情をしても男性には理由がわかりませんし、女性が理由を説明しても男性は「そんな差別は存在しない」と否定して認めないのです。
このため女性たちは長らく黙って我慢してきましたが、ソルニットさんなどが発信したことで「自分だけではない」と勇気づけられて声を上げました。
つまりマンスプレイニングという言葉自体は最近できたものですが、これに値する男性の行動はずっと以前から存在していたということなのです。

このような無意識に見下す態度は女性だけでなく、若者に対しても出やすいものですよね。自分が若かったころの苦労や最近の若者のよくない点などを並べてためになる話をしているつもりでも、聞かされる若者のほうは迷惑としか思いません。
人生経験を重ねた男性であるオヤジは周囲の人を守るべき立場にあるので、ついついその守るべき対象を自分より下に見てしまいがち。しかし女性も若者も同じ対等な人間です。
常に学ばせてもらう態度で謙虚に人と接して、本物の紳士を目ざしてください。

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
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