自動車業界でも台頭するグーグル
- 2018/09/26
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多角化するグーグル
グーグル、Googleといえば、昔は検索エンジンの会社というイメージしかなかったかもしれません。実際、ググる、ググったなどの言葉が、グーグルで検索したという意味を持つ言葉として誕生したように、グーグルはイコール検索だったのです。ライバル関係にあったヤフー検索も、現在ではグーグルの検索エンジンを導入しています。
ところが、検索での地位を磐石なものにするやいなや、グーグルは業務の幅を広げて行きます。いや、厳密にはそういうタイミングではないかもしれません。しかし、外野からはそのように感じます。
もちろん、早くからグーグルアドワーズと表裏一体となるグーグルアドセンスという広告などの事業を手がけていますし、インターネットの重要な位置の事業をしている企業にとって、インターネットやパソコン関連の事業を手広く行うことは必然ともいえます。
ただ、グーグルはまったく関係のない? 新しい事業に進出しているのです。なんと、自動車業界へ!
グーグルの自動車って、いまいちピンときませんね。これは、いったいどういうことなのでしょうか。
実は、グーグルが自動運転の特許で台頭しており、世界の自動車メーカーであるトヨタよりも上位の存在になったとのニュースが流れているのです。もう少し専門的にいえば、自動運転に関係する特許競争力という指標でトヨタを抜いたとされています。
しかし、自動車業界の企業でもないグーグルが、どうして自動運転の特許なのかという疑問が残ります。そこで考えてみましょう。自動運転はコンピュータ制御なくして実現しません。そして、自動運転におけるコンピュータの役割は、ずばり人工知能AIの最適化といえるでしょう。
つまり、自動車産業の一分野に高度なITが入り込んでいるわけです。これなら、グーグルだけでなく、マイクロソフトやアップルといったパソコン界隈のメジャーな企業が自動車産業に参入したとしても不思議ではありません。
実際には系列会社によるもの
このデータ、発表したのは日本経済新聞です。日経によりますと、日経が分析会社に依頼して作成したランキングとのこと。グーグルの系列であるウェイモという会社が、対象となったアメリカにおけるスコアでトヨタなどの上位陣を抜き去ってトップに躍り出たというものです。
注目すべきは、特許件数が多くても特許競争力が高いとは限らない点です。ウェイモの特許件数はトップではないものの、量よりも質が重要といえます。日経も指摘していますが、日本メーカーはともすればハード中心です。平成が終ろうとしている現在でも、その傾向は根強く残っているのかもしれませんね。
そうすると、日本メーカーもグーグルを見習って系列会社による自動運転の研究開発を進めた方がよいもかも。本体のままでは、従前の例によってしまうことが…。とはいえ、ただ系列会社の体裁を整えればよいというものでもありません。問題は中身です。
世界が納得する基幹となるような特許を取得することができれば、特許競争力もアップすることでしょう。そう思える反面、日本にはグーグルのような会社もマイクロソフトのような会社もない点が気になります。
かつて、IBMのPC/ATが登場した頃、対抗勢力だったのはアップルのマッキントッシュでした。日本市場では、少し前に登場していたNECのPC-9801や8801が大ヒットを飛ばしていましたが、日本のパソコン業界が元気だったのはそこまでだったといっても過言ではないでしょう。
PC-9800シリーズに対抗すべく、他の多くのメーカーが参画して立ち上げたAX協議会と、そこで各社が発売したAXパソコンも、非常に短命で終ってしまいます。そして、ライバル視されたPC-9800シリーズも役目を終えると、日本のパソコンは独自性を失った状態になったといえるかもしれません。
現在でも、MS-DOSにMS Windowsを乗っけたようなハードに、MS OFFICEを中心とする外来アプリケーションを使うのが当たり前の状態があり、そうでなければデザイン部門などでアップルのマシンが動いているという状況です。もちろん、パーソナル分野を離れれば、各社それぞれの資産を継承しています。
ただ、パソコン分野でPC-9800シリーズが隆盛を誇っていた当時のオフコンがやっていたちょっとした作業は、今日では数万円のパソコンが高速でやってしまいます。一般企業では特殊な作業を除いてオフコンが不要になっているのです。というより、現在ではパソコンの上といえばスパコンですかね…。2番じゃ駄目でしょうというアレ。というのは冗談としても、パソコンレベルの状況を考えるとき、勝つことは容易ではないと思わせるのでした。