MT車を扱うメーカーが少なくなったのは何故か?
- 2017/07/28
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MT車を必要とする人たち
オヤジ世代の多くは、若い頃にMT車を運転した経験を持っていると思われます。昭和の終わりや平成の初期には、まだまだMT車が街中を走り回っていました。しかし、時代が進むにつれてAT車のシェアがグングンと上がっていきました。その結果、いまではMT車を扱うメーカーが少なくなっていると感じられるようになりました。
なぜ、このような状況になってしまったのでしょうか?それを知るには、いまMTを必要としている人たちがどのような人たちかを考えることが近道です。まず、マニアックなドライビングを楽しむ人があげられます。AT車のようなアクセルとブレーキを踏むだけの走りでは楽しくないという人たちです。ギアチェンジのタイミングを調整したり、クラッチ操作をしたりすることが楽しいそうです。
次に、自分でチューンナップする人たちです。AT車よりもMT車の方が手の入れ甲斐があるといいます。
こうしてみると、MT車を必要とする人は限られた層であることが予想できます。そもそも、自動車メーカーは営利企業です。世の中の需要が大きい商品を開発して販売することが活動のほとんどとなります。MT車を扱うということは、限られたパイの奪い合いをすることにつながります。そこでは、より特別な商品として付加価値による高額車種を投入するくらいしか利益が見込めないでしょう。
そして、そうした別扱いをするかしないかは、メーカーに余裕や余力があるかどうかにもかかってきます。
結局はAT車の需要が激増したから
MT車を必要とする人が少ないからといって、それだけでMT車が追いやられることにはなりません。
ライバルであるAT車を必要とする人も少なければ、どちらでも良いということになり、MT車が普通にみられる社会が続いた可能性があります。
しかし、現実にはAT車の需要が圧倒的に多くなりました。MT車はある程度の運転技術を要求される車です。端的な例が「坂道発進」でしょう。傾斜のついた路面から上へ向かって始動する場合、クラッチとアクセルとハンドブレーキの操作をピタリと合わせる必要があります。
これが合わないとエンストしたり、ズルズルと後退したりしてしまいます。平地でエンストする分には大きな影響はないかもしれません。しかし、坂道でのエンスト、後退は事故につながる危険な状況です。
また、ギアチェンジの得手不得手によって、円滑な走行に差が出たり、燃費に影響したりします。場合によっては、車の寿命にも関係するなど、MT車と運転技術は切っても切れない縁があります。テクニックを駆使したいドライバーには良くても、そうではないドライバーにはMT車は有り難くない面を持っていたのです。
その点、AT車はよほどの下手くそでない限り、円滑なドライビングを実現出来ます。ギアチェンジに意識を取られることもなく、誰でもドライブを楽しむこともできるようになりました。さらに、AT限定免許が多数派となっており、そもそもMT車の運転許可を持たないドライバーが増えているのです。
もう一点、街乗りに代表される軽自動車やコンパクトカーなど短距離走行が前提の狭い国土では、いちいちギアチェンジするのが手間だとの意見もあります。ちょっとそこまで行くのにMT車だと敷居が高いというものです。
このような事情から、MT車がAT車に駆逐されたのも自然なことだったといえるようです。