謎多き北朝鮮軍 ミサイル開発を行っているのはどの部隊なのか?
- 2017/10/07
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大量破壊兵器開発にこだわる北朝鮮軍
8月29日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、北海道上空を通過して襟裳岬の東約1200kmの太平洋上に落下。日本国内への直接被害はありませんでしたが、政府が発信した警報システム・Jアラートの避難勧告で、北海道と東北の人々は恐怖にさらされました。さらに、9月15日にも北朝鮮の弾道ミサイルが北海道上空を通過し、襟裳岬の東約2000kmの太平洋上に落下。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に、日本国中が強い不安を感じています。
しかしなぜ、北朝鮮はミサイル開発にこだわるのでしょうか。その理由は、軍事力のレベルの低さにあります。北朝鮮軍は兵員数こそ120万人とも140万人ともいわれる規模(日本の自衛隊は約25万人)を誇りますが、財政軽視の政治を続けてきたために経済力が弱く、装備品は老朽化して燃料や弾薬も満足にありません。そこで核などの大量破壊兵器によるレベル補正を目指し、その運搬手段となるミサイル開発にも力を注いでいるのです。
ミサイル開発を行っている部隊はどこなのか
北朝鮮軍の主力は陸軍で、総員の8割以上が配属されています。地域防衛を行う9個の一般軍団や、首都・平壌を防衛する平壌防御司令部など15個の軍団で構成されており、そのうちのひとつにミサイル指導局があります。
北朝鮮のミサイル開発は、このミサイル指導局が担当していると推測されてきましたが、2012年4月15日に北朝鮮の最高指導者であり北朝鮮軍のトップでもある金正恩氏が行った演説により、ミサイル開発は別部隊に移ったとみられています。
金正恩氏は演説冒頭で「朝鮮人民軍陸海空軍および戦略ロケット軍」と発言しました。弾道ミサイルはロケットと同じ構造を持っているので、ミサイルとロケットは軍事上、同じ意味を持ちます。つまり、陸・海・空軍とは別系統のミサイル開発専用部隊が創設されたと考えられるのです。北朝鮮軍のミサイル開発に対する執念が感じられます。
陸軍のミサイル指導局は戦略ロケット軍に吸収されたと推測されますが、正確な情報は不明です。
不明点が多い戦略ロケット軍の立ち位置や内部構造
金正恩氏が戦略ロケット軍に言及した当時、この演説はミサイル開発強化の予告ではないかと騒がれました。それが現在の相次ぐミサイル発射につながっているのかもしれません。現状での戦略ロケット軍は、かなり重要な部隊と考えられるでしょう。
戦略ロケット軍に関してはまだ不明点が多く、陸・海・空軍と同列に扱われているのかもはっきりしません。指令系統で各軍より上位に位置する国防委員会の直属部隊に格上げされたのではないかという推測もあります。
どのような内部構造かももちろんはっきりしていませんが、ミサイル指導局の元関係者が「ミサイル担当の部隊は短距離ミサイルと中長距離ミサイルの2系統があった」と語っており、同じ構造を引き継いでいる可能性はあります。
ただし、資金不足の北朝鮮軍に兵器として充分なミサイルを開発できるか疑問視する専門家が多いのも事実。ミサイル発射の頻度が上がっても、すぐに戦争に発展するとは限らないでしょう。