車の犯罪~身代わり工作でどっちも犯罪者になる
- 2019/03/01
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あっさりバレた身代わり犯人
名古屋市で酒を飲んで人身事故を起こした犯人と身代わりになった犯人の2人が、なんともサクッと逮捕されるというニュースが飛び込んできました。
東海テレビなどの報道によれば、事件は名古屋市内で車を運転していた会社員が、交差点で停車した際、後続車に追突されたことからはじまりました。それだけなら、単に追突事故で終ったのですが、追突した方の車が、その場を逃げ出してしまいました。
幸いというべきか、被害者は、いまのところは軽症ですんでいるとのこと。追突は後から症状が出ることも多いとされているため、十分な検査が望まれます。
さて、一旦は逃げ出した加害車両が現場に戻ってきたことで事態は進展を見せます。乗っていたのは男女の2人組で、運転席には男が座っていました。警察としては、当然のことながら飲酒のチェックをします。
すると、運転者ではなく女の方が引っかかりました。飲酒や酒気帯びで運転はできませんが、同乗することは何も問題ありません。事件はこれで片付くはず…だったのかもしれませんが、お天道様ならぬ小学生は見ていた!
ナント、小学生が事故当時運転していたのは女の方だとの目撃証言をしたということです。もっとも、それだけで犯人を特定することはできません。それも含めて捜査をした結果、運転していたのが女の方だとの結論に達した警察によって、2人とも御用となりました。
運転していたのが女であれば、その罪は明白ですが、男にも犯人蔵匿等(刑法103条)や酒気帯び運転の幇助(これが成立するかどうかは今後の判断でしょうか)などが考えられます。よって2人とも逮捕されたわけです。
しかし、昼日中の交差点での事故であり、目撃者がいることは十分考えられることであるにもかかわらず、入れ替わればわからないと思ったのでしょうか。あるいは、一旦現場を離れたことで、目撃者もいなくなったと考えたのでしょうか。あるいは、何も考えていなかったのかもしれませんが…。
結構多い車の身代わり
とはいえ、車の運転者をすり替える手口って、結構多いですよね。発覚していないものも含めると、かなりあるのではないでしょうか。身代わりを立てる動機としては、飲酒運転や無免許運転の発覚を逃れるためというのが一般的?でしょう。
どちらも結構な重罪であるばかりか、運転を仕事にしている場合は致命的ともいえる事柄だからです。身代わりになる人物像としては、暴力団なら下っ端でしょうが、通常は「運転者が検挙されては困る人」が相当します。たとえば、夫が失職することは避けたいと考える妻といった具合です。
しかし、身代わりがバレたら洒落になりません。いや、バレなければよいという話ではないです。発覚した場合は、前述のように刑法犯として手続が進みます。刑法103条の規定は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」というものです。
情状によって量刑は変わりますが、下手をすれば3年間のム所暮らしが待っています。ベネフィットと呼ぶべきかどうかはともかく、リスクとベネフィットを考えるとお得とも思えませんね。
いや、繰り返しますが、お得ならやってよいという意味ではありません。
しかし、身代わりになる方はともかく、身代わりを仕立てる側、なってもらう方は相手をどう考えているのでしょうか。バレないから迷惑はかからないとでも思っているのでしょうか。
それって、「絶対返すから金貸して」とか「名義だけで迷惑かけないから保証人になって」というのと似ていますね。結果としては、全然返さないとか、思い切り迷惑かけるとか。もちろん、こうした金銭的な話は犯罪ではないため同列で考えるのは不適切かもしれませんし、ちゃんと返す人や迷惑をかけない人もいます。
ただ、そうではない人もいるわけで、結果的にであっても相手を尊重していない点では同じようなものでしょう。考えさせられる事件でした。