いま話題の哨戒機って何をする飛行機なの?
- 2019/01/27
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話題のP-1は対潜?哨戒機
韓国海軍による射撃管制レーダー照射を受けた事件が話題になっています。レーダー照射を受けたのは海上自衛隊が保有するP-1哨戒機です。軍用機といえば、戦闘機や爆撃機、偵察機に輸送機といったものが知られています。
では、哨戒機とは何をする飛行機なのでしょうか。
ズバリ!哨戒を任務とします。え?哨戒って何ですか。という声にお答えしますと、哨戒とは一定のエリアを対象として、敵の侵入を警戒し見張りを行うことをいいます。それなりに広いエリアを受け持つことから、一箇所にとどまる形ではなく、移動しながら行うのが哨戒の特徴といえるでしょう。
それって、偵察と何が違うの?という声が聞こえてきそうです。
偵察は、敵の居場所や動向を積極的に探し、把握する行為を指します。そのため、哨戒のように決まったエリア内で最後まで警戒するわけではありません。目標とする敵の様子を確認したら、そのまま引き返すか、その場にとどまって監視をします。その場で監視する点は哨戒と共通するといえるでしょう。
もうひとつ、哨戒と偵察の違いとしては、哨戒はいつでも行われるのに対し、偵察は戦闘状態にある場合や戦争をしている場合に行われるという点があります。そのため、戦時ではないときに行う哨戒では、敵という言葉は適切ではないともいえます。
そして、何よりも違うのは、哨戒は基本的に自陣営側のエリアで行われるもので、偵察は主として敵地か自陣ではない場所へ出て行くことです。
さて、話題のP-1哨戒機は、警戒任務だけを行うわけではありません。この機体には攻撃能力も備わっています。主として対潜哨戒機としての能力です。
対潜哨戒機といえば、P-1の前任機種であるP-3Cオライオンが有名です。ちなみに、韓国海軍もP-3Cを採用しています。P-3Cはアメリカ海軍の対潜哨戒機として誕生した機種ですが、対潜水艦作戦だけでなく、水上艦艇に対する能力や救難能力などの向上により、現在の日本では当初の種別から”対潜”の文字を取って哨戒機となっています。
その後継である国産のP-1も対潜哨戒機ではなく哨戒機なのです。
哨戒機の歴史は古い
P-1は、対潜魚雷や爆弾、対艦ミサイルや地上攻撃用ミサイルを搭載することができます。単に哨戒するだけではなく、敵潜水艦などを発見すれば、攻撃することも可能な設計になっているのです。
哨戒機が攻撃を行うということで、爆撃機や攻撃機が自ら敵を探しつつ、発見次第攻撃するといった偵察爆撃とは逆のパターンといえるでしょう。偵察爆撃といえば、第二次世界大戦時のアメリカが思い出されます。
そして、日本の本格的な対潜哨戒機といえば、その太平洋戦争の末期に登場した「東海」まで遡ります。東海は250kg爆弾を2発搭載可能でした。ただ、3名乗りの大型で鈍足、対空火器も貧弱であるため、制海権も制空権も失った大戦末期では、大きな活躍の場もありませんでした。
それまでの対潜作戦といえば、複座=複数の乗員がいる偵察機や爆撃機、攻撃機などを使ったものです。
さて、現代のP-1に戻りますが、乗員11名で全長は38メートルの大型航空機です。2013年に配備が開始されており、今年で6年が経過することになります。最終的には70機程度とし、老朽化するP-3Cと置き換える予定です。
さらに、国内での使用にとどまらず、海外へ輸出する動きも見せています。もっとも、諸外国の軍用機市場は激戦区であり、そう簡単に売れるというものでもありません。また、メンテナンスや機密の問題もあるため、武器輸出は難しいといえます。
いずれにせよ、四方を海に囲まれた日本にとって、(対潜)哨戒機は何機あっても多すぎるということはなさそうです。稼働率を高めに維持し、錬度を上げることで数の少なさをカバーするのもよいですが、絶対数はあった方がよいでしょう。