営業CFが黒字でも倒産!決算書読み解く、企業倒産の予兆とは?
- 2018/11/21
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企業に勤めるにしても、個人事業主にしても、何等かの形で直面するのが勤務先なり取引先の倒産の危機だ。
私自身も、叔母の紹介で入社した会社がまさかの倒産の憂き目に遭った。
勤務先は親会社に吸収合併され、私は再雇用されたものの、気心しれた嘱託社員の人は再雇用されず、離れ離れになってしまった。
そんな苦い経験もあり、会社の決算書は厳しい目で見る様になったのだが、そもそも会社の倒産の危機は、どの様にして見破るべきなのだろうか。
一見儲かっている様に見えて、実は儲かってない会社とは、どんなものなのか。
スクラップ・アンド・ビルドの業界が儲かってない理由
会社が健全な体質かどうかというのは、銀行員の目線に立ってみると判りやすい。
銀行は融資を行った会社が、どれだけ利益を出し返済能力があるかどうかを見るからだ。
まず注目すべきは、純資産と借入金の比率である。
大手メーカーなら1:1が目標となっているが、そんなに順調な経営をしている企業はまずない。
どの企業でも定期的に社屋改装、新築、研究開発費などで、銀行から融資を受ける必要がある。
これらの融資は借入金とされるのだが、借入金の比率が大きくなればなる程、企業は借金体質とみなされ、当然の事ながら取引先だけでなく、銀行にも返済能力がないとして目を付けられる。
設備投資をしたが採算が取れないためにフランチャイズ店が不採算店舗を閉店し、採算が取れそうな所に新店をオープンする様は、企業という概念から見て儲かっているとは言えない。
スポーツクラブにせよ、カフェにせよ、やたら出店数が増えていたり従業員がコロコロ変わる会社があったとすれば、それは設備投資の借入金を返済する為に出店していると思えばよい、儲かってないのだ。
基本的には借入金の総額を返済の原資となる営業CF(キャッシュフロー)1年文で割ると何年で借入金を返済する事が出来るのか掴める。
目標は5年、長くても10年、それ以上になると、銀行からは危ないとみなされる。
特に四半期の営業CFが安定してない場合や、社内で不祥事が相次いだ場合は、何等かの警告が出されるだろう。
では、営業CFもよく、純資産と借入金の割合が1:1でも潰れるという事はあるのだろうか。
エルピーダはなぜ潰れたのか
営業CFもよく、純資産と借入金の割合も取れていたのに、会社更生法の憂き目に晒された会社といえば、’12年2月に会社更生法を申請したエルピーダだろう。
’96年にNEC日立メモリとして設立された会社が母体で、一時期日本では半導体リーディングメーカーとなったが、その引き際は、’08年のリーマンショックがあったとは言え、未だにくすぶり続けている。
エルピーダの合併前の決算書を見ると、借入金は3371.9億円
(内訳:1年以内償還予定負債450億円、1年以内に償還予定の長期借入金871.9億円、社債300億円、長期借入金1087.6億円)、純資産3560億円と、借入金と純資産の割合は1:1。営業CFで、借入金を完済するには、3年あれば十分と言われてきた。
ところが坂本社長と融資先の銀行による対立や、エルピーダがスマホ用の半導体生産ラインに乗り遅れた事もあり業績は低迷。
営業CFの内訳も、合併前年の’11年は、営業CF167.8億円、減価償却費1257.9億円、投資CF972,7億円と、毎年出る利益から1000億円が設備投資として出てる事が発覚。
借入金の返済に充てるCFは、事実上400億しか残らないという結果となり、これが融資先の銀行の怒りを買う事となった。
融資先の銀行は、米マイクロンとの業務提供を提案し、2000億円の資本増強を指導したが、エルピーダ側はこれを拒否。
エルピーダは、’12年2月に会社更生法を申請し、マイクロンテクノロジーの傘下に加わる事になってしまった。
エルピーダの様に、浮き沈みが激しいベンチャー、半導体分野、設備投資を毎年必要とされる会社では、営業CFが黒字であったとしても倒産の危機は免れない。
もしもあなたの勤める会社や業界が、自転車操業や、スクラップ・アンド・ビルド、はたまた設備投資もせず、建屋やボロボロのまま営業しているのであれば、もっと危ないのではないだろうか。