何故ダイキンは成功し、トヨタのハイブリッドは失墜したのか?モノやサービスを提供するルールメイキング

  • 2018/05/19
  • ライフスタイル・娯楽
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  • 沖倉 毅
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オヤジ世代が信じている都市伝説の一つが、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』だ。

いい製品を作り、良いサービスを提供すれば、望み通りの人間が自社の製品やサービスを宣伝し、
笑いが止まらないぐらい、クオリティの高い客ばかり商品を買い、サービスを利用すると思い込んでいる。

だが実際はそうではない。
業界屈指のクオリティを誇る日本の家電製品は、バブルの時ほど売れなくなり、各種サービス業も、
一向に待遇も賃金も上がらず、客商売では毎日の様にクレームの嵐ともめ事に苛まれている。

その原因は、モノを売り、サービスを提供する『ルール』を放置してきた、日本のズボラさにあるらしい。
どういう事なのだろうか。

商品やサービスを提供する3つのステップ

現在の商品を売る、サービスを提供するために必要はステップは、以下の通りになる。

1:モノづくり(クオリティの高い商品を作る、きめ細かいサービスを提供する)
2:コトづくり(商品やサービスが、活用される場を、宣伝し広めていく)
3:ワクづくり(商品やサービスが、どの場所、国でも通用する様に、カスタマイズする)

大半の日本の商品が売れない、サービスを利用して貰えないと嘆く理由は1で止まっているからだ。
商品やサービスの良さを判って宣伝してくれる人を見つけ2に繋げていかないといけない。

だが日本のコトづくりの問題は『宣伝してくれる人の選び方』を間違っている事である。
日本のコトづくりの問題は『宣伝してくれる人の選び方』を間違っている
自社の商品、サービスを良く宣伝してくれる人の意見を優先し、売り上げが伸びればそれでいいと思う企業、
自営業者がはびこっている事が、3のワクづくりへの道を阻んでいるのだ。

では、ワクづくりに進めないと、国内企業はどう衰退していくのだろうか?
今現在、実例はそこかしこに出ているのだろうか?

 

商品やサービスさえ売れればいいという考えは間違い

商品さえ売れて企業の知名度が上がれば客の質などどうでもいいという会社や、提供するサービスを喜んで
貰えれば来る客の人間性が極論、下衆であってもかまわないという自営業者は、提供する商品やサービスの
クオリティを落とすと言っても過言ではない。

提供する商品やサービスを通して客を教育する事が出来ない様では、意味がないのだ。
実際に、客に媚びすぎた国内のサービス業はどうなっているだろうか。
ドラッグストアの中でお菓子を開けて食べる訪日観光客に荒らされ、スタバではベビーカー連れのヤンママや、
オバサンにドリンク一杯で長時間長居され、百貨店では爆買いされる。

予約待ち、行列をしてでも買いたいというモノや、利用したいサービスは、業界のごく一部で盛り上がっているだけで、他の業界を巻き込み、つながりを作り、消費の底上げに貢献出来る所まで達していないのが現状だ。
利用したいサービスは、業界のごく一部で盛り上がっているだけで、他の業界を巻き込み、つながりを作り、消費の底上げに貢献出来る所まで達していないのが現状だ。
筆者の通うジムのスタジオプログラムのジムのインストラクターにも、何かにつれトラブルを起こす人物が居る。
本人は、どのレッスンを受け持っても満員になって嬉しいというが、その陰で人間関係のトラブルが絶えないのだ。

彼はレッスンが満員御礼になり、自分のギャラがよければそれでいいという人間で、陰でトラブルがある噂は
聞いていても、それは自分の問題ではないと知らん顔を決め込んでいる。

一般企業の管理職であればクビレベルの無責任度だが、スポーツクラブでは、人数さえ入ればよいという理由で
雇っているのだ。

筆者は、プログラムに入る妙齢のお姐さんに愚痴をこぼされる度に、この男性インストラクターに
問題点の解決法を企業のロビイストの様に提案しているが、この男は聞く耳すら持たない。
企業ならクビだと思うと実に腹ただしく思う日々なのだ。

実際に、この様な例では失敗する実例はあるのだろうか。

 

ダイキンが成功しトヨタが失敗した理由

ロビイストの意見を聞いて成功した例として、空調大手のダイキンがある。
国内のインバーターエアコンの売れ行きが飽和状態だった時、ダイキンは市場を中国に向けた。

どの国も冷房機器はあるはずで、当然の事ながら中国ももっと安い空調機器メーカーはあったはずだった。
ダイキンの宣伝マン、ロビイストが政府にアピールしたのは、ダイキンのインバーターエアコンは、
他の空調機器より機能が高く冷えるという点ではなかった。
環境に配慮していて、エコです、という意外な所だったのだ。
ダイキンが成功しトヨタが失敗した理由
周りが見えない程、環境汚染に悩まされている中国に業務用空調を売り込みに行くのである。
買ってもらえないことを前提に売り込みに行くのだから、環境にプラスになることをアピールしなければいけない。

オヤジのSNSやブログに多い『ひとりメルマガ』状態でプレゼンをする輩がいるが、そんなロビイングで、
商品の宣伝やサービスの提供が成功するわけがないのだ。

その点で失敗したのが、米カリフォリニア州に電気自動車を売り込んだトヨタである。

カリフォルニア州が自動車メーカーに対して、エコカー(ZEV=ゼロエミッションビーグル)の販売援助を実施するのを
見込んでプリウスなどのハイブリット車を売り込んだ。

オヤジも身に覚えがあるのではないだろうか。
これからはこの仕事で確実に金が稼げるから、枠はしっかり押さえておこうというコスい根性である。

トヨタのコスい考えは同州を拠点とする電気自動車メーカー、テスラに見抜かれた。
テスラは政府にロビイストを送り込み、トヨタが得意とするZEVに規制をかける法律を作ったのだ。

ダイキンの成功は『売るために、現地の欲している事を見抜き、環境問題に寄り添い、規制も作った』事にあった。
トヨタの失敗は『この事業なら儲かるだろうという客を付け狙った結果、足元をすくわれた』という事にある。

ワクづくりの成功と失敗が、ダイキンとトヨタの運命を分けたのだが、ワクづくりを成功させるには、
どうすれば良いのだろうか?

それは簡単だ。
ヨイショする部下や客よりも、問題点を見つけ、厳しい解決策を提示する部下を大事にすることである。
この記事にもあげた例のように、問題点を挙げたにも関わらずスルーするような人間は言語道断なのだ。

この記事の作者

沖倉 毅
沖倉 毅
ビジネスと国際関連をメインに執筆しています沖倉です。 転職経験と語学力を生かし、語学教師とフリーライターをしています。 趣味は定期的に記録会に出る水泳、3000本以上お蔵入り字幕なしも観た映画、ガラクタも集める時計、万年筆、車、ガーデニング、筋トレです。 どうすれば永遠の男前になれるかをテーマに、取材は匿名を条件に記事執筆に勤しみます。
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