あっ、こんなところにも?! どこにでもあるリニア的ジレンマ
- 2018/01/19
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子どものころ夢見たリニアはどこに?
リニアモーターカーも走っていなければ、超音速旅客機も飛んでいない、そして何より車も空を飛んでいない。
犬助が子どものころに夢見た未来は、あのワクワクするような未来は、一体どこへいってしまったのでしょうか。技術的にはハードルもそれほど高くない、簡単に実現しそうだったリニアモーターカーですら、品川駅の工事が始まったのがつい先日。東京・名古屋間の開業予定は2027年、東京・大阪間に至っては2045年といいますから、それぞれ当分先のこと。
一体いつになれば、オヤジたちが子どものころにイメージした21世紀がやってくるのかと思うと、気が遠くなる話……それまで生きていられるかどうかも、微妙だったりするのです。
高すぎるコスト、そして風景が見られない!!
そしてこのリニアモーターカー、もし実現したとしても、それほど明るい未来が待っているわけではなさそうです。まず理由としては大きなコスト。東京・大阪間でかかるとされる9兆円のコストはどうやって回収する予定なのか?
東京・名古屋間、リニアなら40分と聞けば確かに速さは感じるのですが、現在1時間半が40分になったからといって何かメリットがあるのか? と考えても犬助にはよくわかりません。
現在2時間18分かかっている東京・大阪間が67分になるというと、こちらはメリットはありそうなのですが、こちらの開業は2045年って……ねえ。
そりゃあ犬助も1度ぐらいは乗ってみたいとは思いますよ、何といってもリニアは子どもの頃に夢見た未来なのですから。でも全線の8割近くが地下路線を走ると聞いて、乗ってみたいという気持ちも急速に萎えていくのに気付きます。
だって童謡「汽車ポッポ」にもある通り「畑もとぶとぶ、家もとぶ」様なスピード感が得られるからこそ、高速鉄道は魅力的であって、ずっと地下を疾走しているリニアに何の魅力があるのでしょうか? 9兆円を回収するために運賃も相当上乗せされるであろうリニアに、何度も乗車したいと思う人はいなさそうなのです。
新幹線と同じ轍を踏む予感
一方でリニアモーターカーを輸出することによって、収益とするという話も聞いています。
しかし、山がちな国土で高速走行させるために蓄積されたノウハウが多くの国で役に立たず、オーバースペック状態となっている新幹線を見ればリニアにも同様のことがいえるはず。
トンネルの中を高速ですっ飛ばすというリニアなら、トンネルの掘削技術や空力において相当なノウハウが蓄積されていくであろうとは思うのですが、それの活かし所が見つからなければ、将来的にも収益を生み出す事業になるとは思えないのです。
思い起こされる、コンコルドのジレンマ
「コンコルドのジレンマ」という言葉があります。
夢の超音速旅客機コンコルドは、イギリスとフランス両国から人材と巨額の投資を集めて1962年に開発が始まりました。
しかし完成したコンコルドは、騒音や輸送コストの高騰など様々な問題に直面。こんな旅客機など売れるはずがありません。
挙句、2000年の7月には113人の犠牲者を出した大惨事で運用は尻つぼみ。遂には2003年にラストフライト、すべての機体は引退。大赤字とともにその歴史は幕を下ろすことになってしまったのです。
しかしこのコンコルド、採算が取れない事業であるということはプロジェクトの開始直後から判明していたといわれています。しかしすでに人材や予算を投資してしまっている上に、各国からの注目も集まってしまっていたので引くに引けない状態になってしまっていたというのです。
やめれば損失は最小で済むにも関わらず、そこでやめることができない。恐らく意地とか、メンツとか……そんなバカなものがまかり通っていたからに違いありません。
リニアやコンコルドだけではないジレンマ
恐らくリニアモーターカーも、コンコルドと同様のジレンマに陥っているに違いありません。
誰かやめようぜ!! って言い出せば済む問題なのに、それが言い出せない現場になってしまっている。「採算が合うわけがないじゃん?」皆そう思いつつ、働いているんじゃないでしょうか。
そりゃあリニアモーターカーなんぞ、一介の私企業であるJR東海が勝手に推進しているのですから、こちらが文句を挟むべきことではありません。しかしこんなジレンマ、リニアモーターカーやコンコルドの現場に限らず、どんな小さな会社でもよく目にすることではないでしょうか?経営者やプロジェクトリーダーの意地とかメンツとか、そんなもので進められているプロジェクトはないですか?