ギブソンだけじゃない!「エレキギターの不振」が止まらない理由
- 2018/05/13
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ギターキッズの憧れがついに破産申請
2018年5月1日、アメリカの老舗ギターメーカーとして知られている「ギブソン」が、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条の適用をデラウェア州の裁判所に申請しました。
近年は危ない状況が続いていましたし、東京・八重洲のショールームを閉鎖したこともあり、「ついに」と感じたファンも多いのではないでしょうか。
エレキギターの2大スタンダードといえば、フェンダーのストラトキャスター、そしてギブソンのレスポール。
青春時代をギターに捧げてきたキッズは、そのどちらか、あるいは両方のギターに憧れを抱き、音楽活動と並行してアルバイトに明け暮れたものです。
そして、ギブソンを語る上で忘れちゃいけないのが、エクスプローラー、フライングV、SGといった美しき個性派たちです。
奇抜ともいえるデザインですが、何年弾き倒しても、時代が変わっても、飽きないどころかどんどん愛着が湧いてくる、不思議な魅力があります。
そんな不動の人気を誇るギブソンが、破産申請――――。
米メディアによると、ギブソンは音響機器メーカーなどの買収で債務が膨れ上がるなか、販売も振るわず、負債額は最大5億ドル(約545億円)にも上るといいます。
エレキギターの不振
ギブソンが破産申請に至った要因の1つに「エレキギターの不振」が考えられます。
ギターメーカーの経営悪化には、さまざまな要因が複雑に絡んでいるとはいえ、肝心のギターが売れないことには商売が成り立ちません。
2017年10月にワシントンポストが報じた情報によると、過去10年間のエレキギターの売上高は、年間約150万台だったのが年間100万台へと急降下していることが明らかになりました。
ヒーローとして崇められているミュージシャンでさえ、エレキギターの未来を危ぶんでいます。
ザ・ビートルズのメンバーとしても有名なポール・マッカートニーは、同紙のインタビューで「電子音楽が増えて若者の聴き方が変わったこと」や「ギターヒーローがいないこと」について触れています。
エレキギターの売上低迷を知らされたエリック・クラプトンは「多分、ギターは終わったんだ」とも発言しました。
なぜエレキギターが売れないのか?
かつて世界中を熱狂させたロックミュージックは、時代とともに新たなジャンルが次々に登場しました。
ウィキペディアでロックのジャンルを調べてみると、途中で数えるのが面倒臭くなるほど、細分化されていることがわかります。
こんなにジャンルが多いならば、新たなギターヒーローやムーブメントが登場してもおかしくないような気がしますが、現れないということは「時代が求めていない」ということなのでしょう。
ポール・マッカートニーも触れていましたが、電子音楽が増えたことや、聴き方そのものが変わりました。
今やスマホさえあれば、少ない費用で好きな曲をいくらでも聞くことができるので、CDやライブの価値も当然変化します。
作曲だって、わざわざギターやベースを買いそろえなくても、パソコンで作曲ができる「DAW」ソフトさえあれば事足りるのです。
それに、エレキギターは本格的になればなるほどお金がかかります。
エレキギター本体、ピック、譜面、アンプ、エフェクター、シールド、ストラップを買いそろえると、そこそこの金額になります。
しっかり音を出して練習するならスタジオに通わなくてはなりません。
昔なら「音楽をする上で必要な出費」でしたが、今はエレキギターやその関連機材を買わなくても、音楽活動ができる時代です。
生演奏にこだわらなければ、スタジオ練習さえ必要ないのです。
ギブソンが音響機器メーカーを買収するなどして、ギター専業から総合音響メーカーへと変革を模索していたように「エレキギターだけでは食えない時代」が来てしまったのでしょう。
エレキギターはこのまま時代に取り残され、不振の一途をたどるしかないのでしょうか。