筋肉発達のメッセンジャー「mTOR」について知っておくべき事
- 2017/02/09
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筋肉成長の鍵を握る「mTOR(エムトール)」
なぜ筋肉は成長するのか。我々トレーニーはとにかく一生懸命トレーニングをして、しっかりと栄養補給をし、ぐっすりと寝る。この3つのプロセスがきちんと守られていれば良いだけのような気もしますが、研究者たちの知識欲はとどまる事を知りません。最新の研究では、mTOR(エムトール)という物質が筋肥大のキーファクターであるとして注目されているのです。
小難しい点はある程度割愛させて頂きますが、エムトールはタンパク質キナーゼの一種です。簡単に言ってしまえば、筋肉を動かすエネルギーであるATPからリン酸を受取り、活性化する事のできるタンパク質、という事になります。そして、このATPからリン酸を受取り活性化するためのトリガーが筋力トレーニングなんですね。
エムトールが活性化するとその周辺にも化学反応を誘発し、その結果タンパク質の合成力が高まる事が明らかになりました。この「筋トレ⇒ATPからリン酸ゲット⇒MTOR活性化⇒タンパク質合成強化」の流れをmTOR伝達系と呼び、筋肥大にとって最も重要な根幹要因だと考えられているのです。
エムトールのリン酸化を促進するためには?
つまりエムトールをガンガンリン酸化させる事ができれば筋肉はバッコンバッコン強くなっていくわけです。ところが、どうやら闇雲にトレーニングするだけではエムトールのリン酸化は上手いこと進んでくれないようなのです。
これまで行われた研究では、エキセントリックな刺激(ネガティブレップの事ですね)ではエムトールのリン酸化が加速したものの強すぎる負荷でのエキセントリックトレーニングでは逆にリン酸化は減衰してしまいました。このあたりの「加減」には個人差も大きいようでなかなか一般論として理論を構築するのは難しいようなのです。また、同じような刺激が何回も連続すると反応が鈍るという報告もあるため、これがトレーニング効果の停滞期の原因となっていると考えられています。いずれにせよ今後も筋トレやスポーツパフォーマンスに関する研究はエムトールを中心に進められていくことは間違いなさそうです。
エムトールを刺激するための一つのヒント
先程、どのようなタイプの刺激(筋トレ)を与えればエムトールを効果的に刺激しリン酸化出来るのかは未だ明らかになっていない、と述べましたがその一方で栄養学的な面からは一つの確度の高い研究結果が報告されています。
実はエムトールは体内のロイシンの濃度にとても敏感に反応するようなのです。ロイシンとは必須アミノ酸の一種であり、BCAAの一種でもあるとても重要なアミノ酸ですね。既にサプリメントとして摂取している人も多いと思います。
エムトールはこのロイシンが体内にたくさん存在していると「筋肉合成のための準備が出来ている!」と判断するのです。そうすることで自らの力を最大限に発揮してくれるというわけなのです。逆にロイシンが足りない状態ではエムトールはなかなか筋肉を合成する反応を起こしてはくれません。ロイシンを常に高いレベルでキープしておくことは筋肉が合成されているタイミングを少しでも増やすためにとても重要なのです。