スポーツの審判はすべて機械に任せればいい?
- 2018/12/08
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柔道で誤審から処分へ
スポーツの醍醐味のひとつが際どいプレーの結果です。判定はどちらだ? という一瞬の間に神経を集中させます。応援している側にとって有利となるか不利となるか、そこで一喜一憂しながら楽しめるのがスポーツのよいところでしょう。
ところで、このところスポーツの判定がらみのニュースがチラホラと入っています。ちょっと珍しいところでは、柔道の誤審で審判に処分が下ったというものがあります。
問題となったのは、全日本大学体重別団体優勝大会という2018年10月に開催された大会の、準決勝戦(国士舘vs日体大)の中の中堅戦でした。柔道や剣道など個人競技の団体戦は、個人の戦いを4つか5つ程度行って勝ちが多い方の勝利となります。5つの場合は先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の順で試合が行われます。
さて、経緯としては、中堅戦で国士舘の選手が抑え込みに入って10秒経過後に膠着状態で使う「待て」を宣告。本来であれば、抑え込み10秒で「技あり」が宣告され、そのまま10秒が経過(抑え込みから20秒)すると一本となるところでした。
誤審に気付いた審判委員長が寝技をやり直させたものの、結果は引き分けに。そして、2-2となった試合は代表戦で日体大が勝利しています。中堅戦の結果次第では国士館の勝利になった可能性がある試合でした。
事態を重く見た全日本柔道連盟は、この試合の主審をワンランクダウンと2ヶ月の資格停止処分に。また、誤審を見逃した副審やジュリーにも2ヶ月の資格停止を発表しています。
この対応には、全柔連の行動は画期的だと思う向きも多いでしょう。なにしろ、いままで誤審で処分された例など聞いた記憶がないからです。
審判の技量向上と処分規定と機械化と
ところが、それもそのはずで、そもそも誤審を処分する規則がないのだとか。いままではそれで済んだところ、これからはそうはいかないということです。そこで、今回は規定がないならないなりに手続を進めたそうです。当事者は処分に同意したと伝えられています。
やはり、どのような競技であれ、明確な誤審は処分の対象とすべきでしょう。ただし、単に罰を与えるというだけでは、審判にも選手にも観客にもメリットはありません。
罰が罰として機能するように、審判の技量を向上させることが重要です。しかし、ジュリーという耳慣れない言葉をはじめて聞いた数年前から、柔道では審判のレベルを下げるような状況があります。
誤審していても「俺が審判だ」では困りますが、審判の判定がコロコロ変わるのも困ります。実際に、テレビで柔道を見ていても、判定が遅いと感じたり、審判の判定と選手の動きが合っていないと感じたりする状況です。
サッカーや野球の機械判定、ビデオ判定は一定の効果を発揮しています。柔道にもビデオ判定がありますが、他の競技よりもビデオの影響が強いようで、試合の円滑な運営に悪影響が出ています。もっとも、これはビデオそのものより、ジュリーの存在が大きいでしょう。
ルールに則って、そのプレーがどうだったかは正しく裁かれなければなりませんが、そのためにいちいちビデオではこうだ! とやっていたら、試合も遅くなり、審判も存在価値がなくなります。
とはいえ、正しい判定は欲しいという、堂々巡りの状態を解決するのは、やはり妥協しかないのでしょう。すべてを機械判定に委ねるわけにもいきませんし。ある程度までは誤審も含めてスポーツと考える。それはそれで仕方ないことといえるでしょう。
ただ、ビデオ判定や機械判定が登場したのも、スポーツを見るファンの厳しい目があったからこそです。あれも妥協、これも妥協ではスポーツの進歩を妨げることになりかねず。ファンとして異議を申すときは遠慮なくいうべきかもしれません。