ボクシング世界チャンピオンだった高山選手がアマ登録に!どれほど珍しいことなの?
- 2018/11/01
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村田選手が移籍するときも障壁はあった
今年も早いもので、残り2月ほどになりました。振り返ってみるに大相撲、レスリング、学生アメフト、体操などなど、2018年ほどスポーツ界の不祥事が目立った年は記憶にありません。
中でも印象的だったのが日本ボクシング連盟の山根明・元会長をめぐるスキャンダル。
「奈良判定」と呼ばれる不可解なジャッジ、公認グローブや助成金をめぐる不明朗な金の流れ、そして、山根氏の権力者ぶりにはあきれるばかりだったのですが、それが一般にも知られるようになったきっかけは2013年のこと。
ロンドン五輪ボクシング・ミドル級金メダリスト・村田諒太選手がプロボクシングへ転向する際の騒動でした。
山根氏を中心とする連盟が強固に反対、アマチュアボクシング界からの追放もちらつかせながら、村田選手への引退勧告を決議したのです。この騒動は、村田選手が山根氏らに謝罪することで無事収まり、プロボクシングへと転向できたかのように思われていますが、それと同時に大きな金額が連盟へと寄付されたとか。決して円満ではなかったのですね。
アマとプロの間にある高い壁
なぜ村田選手のプロ転向を山根氏ら連盟側が嫌ったのかというと、48年ぶりの金メダリストという大看板をアマチュアボクシング側が手放したくなかったから。村田選手がコーチとして在籍していた東洋大学のボクシング部でも、数年以内に彼を監督にしようという構想があったといいます。
しかし、プロに転向されてしまったら、それができなくなってしまう。これは東洋大学ボクシング部だけではなく、アマチュアボクシング界にも大きな痛手となると考えたのでしょう。
加えて村田選手を金メダリストまで育てたのは、日本ボクシング連盟だという自負もあった。にもかかわらずアマチュア界に恩を返すどころか、アマでの実績を引っさげてプロデビューをされるのは踏み台にされたも同じこと、連盟に全く見返りがありません。
傍目から見れば同じスポーツのくせに、アマとプロで何をゴタゴタやっているのだ? と思うのですが、両者の間には高い壁があったのです。
なぜ、高山選手はオリンピックを目指せなかったのか?
「連盟が高山勝成選手のアマチュア登録を容認」
WBO王者のまま、昨年プロを引退した高山選手は東京オリンピックへの出場を目指してきました。しかし立ちはだかったのがプロとアマの壁、プロの人間がアマチュアへ転向しオリンピックを目指すのはまかりならぬとしたのは、やはりアマチュアを組織する日本ボクシング連盟だったのです。
その一方で国際ボクシング協会(AIBA)は、前回のリオデジャネイロ・オリンピックからプロの参加を解禁。4選手が参加していますから、高山選手も参加すればいいではないか? とも思うのですが、何しろ国内予選などを取り仕切っているのは日本ボクシング連盟です。高山選手の場合も、連盟が容認しなければ予選のリングにすら立てなかったのです。
どこのリングでも良いから、高いレベルの戦いを
そこで高山選手は署名活動をおこなったり、日本スポーツ仲裁機構への調停申し立てをしたりと、連盟に働きかけをしてきたのですが、なかなか連盟が認めてくれない。なぜなら、アマチュアボクシング界で権力を振り回し続けたい人たちがいたから。つまり山根氏を中心とする一派が力を持っていたからですね。
しかし今年の8月に山根氏が日本ボクシング連盟の会長職を辞任して以来、大きく風向きが変わりました。新体制になった連盟と高山選手との関係も改善、10月9日には同連盟の資格審査委員会に出席し、アマチュア登録が認められたのです。
これは日本では初めてのこと、非常に珍しいケースとなりましたが、連盟の体制が変わった現在、ボクシング界でプロからアマへ、アマからプロへというケースも珍しくなくなるでしょう。
そして、オリンピックでも「WBSS」でもどこのリングでも良いですから、レベルの高い戦いを観せて欲しいと思うのです。先日の世界戦では残念ながら村田諒太選手は、ロブ・ブラント選手に敗れてしまいましたが、あんな戦いも村田選手がアマチュアにとどまっていたら観ることはできなかったのですから。