「痛み止め」はドーピング違反にはならないの?
- 2018/03/07
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ケガをおしながらの栄光の影に
ロシアによる「国家レベルでのドーピング」問題が明るみに出るなど、開催前から選手とクスリとの関係について議論が巻き起こった平昌五輪。
それでもなお大会中にポツポツと「ドーピング違反」の報告が上がってくるなど、スポーツとクスリの根深い癒着は急に切れるものではなさそうだ。
さて今大会のメダリストの中には、ケガからの復帰初戦を見事な金メダルで飾ったあの人、大会前に肋骨を骨折しながら銀メダルを取ったあの人など、痛みと闘いながら栄光を勝ち取った選手が多くいた。
一流選手は「ケガと痛みに強い」とはいうものの、その調整苦労は並大抵ではなかっただろう。
そんな選手にもできる限りのパフォーマンスを可能にしたのが、痛み止め薬の存在だと言われている。
もちろんシロにきまってます
五輪クラスの選手たちは、患部に痛みがあっても、また風邪ひとつひいたくらいでも、自分の判断で「よし、市販薬飲んどこっと」というわけにはいかない。
医師の処方で、それもドーピングにめちゃ明るい専門医の管理下で、ドーピングに引っかからない薬をもらうことができる。
またそれをしなければ、いざというとき、ドーピングに関してきちんと対策をとっていたとは言えない。
こうしてあの金メダリストたちも、ドーピングにかかることなく、痛みを抑えながら競技に集中できたというわけだ。
ただし誤解しないでほしいのは、アスリートたちはなんでもかんでも「薬を使ってはいけない」存在ではないこと。
体調を素早く元の状態に戻す権利は彼らにも当然あるし、薬の不使用が足かせとなって治りが遅くなるなど、本末転倒もいいところだからだ。
うっかりドーピングってなに?
ここまでしても、かくいう日本でも、残念ながらドーピングがなくならない原因のひとつに「うっかりドーピング」なるものがあるという。
ここがややこしいのだが、実は一般に売られている市販薬の中にも「ドーピングにかからない」成分で構成される薬がかなり多くあることをご存じだろうか。
つまり、アスリートが飲んでも大丈夫な風邪薬、痛み止めなどは、案外誰でもいつでも手に入る状態なのだ。
試しに一例を挙げてみると
【 使用可能薬例 】
解熱鎮痛薬 バファリンA イブ ロキソニンS バファリンEX…
総合感冒薬 ストナアイビー 新エスタック「W」、パブロンSゴールドW錠…
咳止め コンタックせき止めST 新ブロン液エース…
…
【出典 薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック 2017年度版】日本薬剤師会など
どうだろう、あなたの知っているあの薬、CMでバンバン流れているあの薬が、意外とドーピングにかからずに使えることがおわかりいただけるはず。
だからごく一部の選手たちは(あるいはその周囲の人間含め)、「かぜひいた、転んだ、痛い、治せ」程度の薬の使用にどうしてもアバウトになってしまう。
ところが市販薬の中には、アルファベットの1文字違い!や、「新」とつくだけ!で使えない違反薬もある。
だから「え、これはよくてこれはダメなの?」という線引きが、個人では大変難しいのだ。
「罪」の代償はとんでもなく重い
ドーピングは、その理由如何にかかわらず、(スポーツ選手としては)最も重罪ということになっている。
なにしろ、スポーツはクリーン、という大前提が破られているのだから始末が悪い。イメージ的には「芸能人の不倫スキャンダル」以上のダークさと言うほかない。アマチュア界では一発退場ものだ。
夏冬通じて、いまはマイナー競技の人口が増え、ホントにふつーの若者たちが五輪にチャレンジする機会も増えてきた。
またそれを影ながら応援する輪が広がるなど、草の根レベルで選手との微笑ましい交流があるのも大変いいことだ。
が、だからこそ私たちが気をつけなければいけないこと、それこそが「うっかりレベルでのドーピングに手を貸さない」という一点だ。
ドーピング検査は、国体クラスの大会でも当然行われる。
五輪での痛み止めと聞いてハッとするファンは、事の重大さをよく知るからこそ。
その思い、たとえ誰に対しても無駄にはなることはない。