菜七子ルール、キターーー!女性騎手の斤量が軽くなるともっと勝てるようになる?
- 2018/11/20
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JRAにしてはかなり思い切ったルール改正だ
今週まで行われた中央競馬の福島開催でリーディング争いをしていた女性騎手といえば、成長著しい藤田菜七子チャン(21)です。
福島開催リーディングというのは、秋の福島開催が行われる3週間6日限定で勝ち星を一番稼いだ騎手のこと。
昔なら中舘英二・現調教師とか、ちょっと前なら吉田隼人クンとか…福島や他のローカル競馬で勝ちまくる人っていうのはだいたい相場が決まっていたんですけど、いまや若手女性騎手が開催リーディングになろうって時代が来たんですね。
最近は馬を追う姿もサマになった菜七子チャンの勢いがどこまで続くか見物なんですが、その彼女をさらに後押しするかのようなスゴいルール改正が、来年からJRAで行われることが決まったんです。
そのルールとは…ズバリ「菜七子ルール」で〜す!
ハッキリ言ってチート級です
ま、改正されるルールにそんな安易な名前はついていないんですが、その内容はまさに菜七子チャンを直撃するチート級の改正でして、
▼19年3月より、女性騎手に限り減量特典を大幅に緩和する
ということなんです(いきなり)。
ええと、ちょっとだけ詳しくお話ししますと…
現在デビューして間もないJRA若手騎手は、大レース、特別以外の「平場」と呼ぶレース等で、規定より負担重量を軽くして(減量)乗ることができます。
デビュー直後は3キロ減(▲)から始まり、勝ち星(キャリアも関係する)を積み上げていくに連れ、2キロ(△)、1キロ(☆)、減量なし、とだんだんハンデがなくなっていくんです。
これを業界用語で「減量が取れる」と表現します。
ところが今回のルール改正では、3キロ減から始まっていた減量を女性のみ4キロ減から始め、その後も生涯ずっと2キロ減を残したままにするっていうんです(男はやがて無くなる)。
現在、菜七子チャンは△つまり2キロ減の真っ最中で、もうちょっと勝ち星が増えると☆1キロ減に出世するところなんですが、来年から平場ではなんとこのままずっと2キロ減で乗っていいことになるんです。
厩舎がわざわざ若手騎手に騎乗依頼をする理由のひとつが「斤量が軽い=馬が楽に走れる」ことにあります。
技術は拙くても、一度馬が走る気になりさえすれば、そこから先は斤量が軽い方が走るに決まっているからです。
昔から若手騎手は減量が取れるまでが勝負、とよく言われ、減量期間を過ぎるととたんに勝てなくなる騎手も山ほどいました。
騎手にとってその後のキャリアを大きく左右するのが、減量時代の実績の積み上げなんですね。
斤量が軽いとそんなに馬は走るの?
さてこれからずっと平場2キロ減で乗れそうな菜七子チャンですが、そもそも斤量が減ったからといって、そんなにすぐ馬の走りが変わるモンなのでしょうか。
これもオジサンが競馬を始めた頃だと、よく「斤量1キロの増減は1馬身に相当する」と教わりました。
時計にすると0.2秒ですが、競馬の世界の0.2秒=1馬身はかなり大きな着差です。
ただしどんなレースでも「1キロは1馬身相当」かというと語弊があり、競馬発祥の地ヨーロッパの研究では、
▼レースの距離が伸びれば伸びるほど、軽い斤量の恩恵を受けられる
とされています。
一説には「2400M走れば、負担重量が2キロ軽い馬が3馬身以上前でゴールする」といいますから、騎手の腕同様にやっぱり斤量の影響も無視できないんですね。
なぜいま女性騎手だけの特典なのか
思うに今回の減量特典ルール改正は、ひとことで言って「JRAの親心」でしょう。
もちろんこの改正実施には「菜七子チャンが乗れる騎手になってきた」という前提条件が大きいと思います。
JRAとしては興行的にも、いまだに人気、集客、集金効果絶大(とくにローカルでは顕著)の菜七子チャンの芽を減量卒業でつぶしたくないのでは…?
菜七子チャンのいない中央場所では、ルメールにデムーロ兄弟にムーアにモレイラに…といった感じで毎週、黒船来航が止まりません。
そんな中に女性がひとりで飛び込んでいって太刀打ちできるほど、ジョッキーの世界は甘くないのです。
言い換えれば、女性騎手にもチャンスは与えるから、あとは一生ジョッキー修行に励みなさい、という叱咤激励でもあります。
もちろん、周囲からのやっかみもハンパではないでしょう。
とりあえず、お膳立ては整いました。
あとは無人の荒野をひとり走り続ける先輩・菜七子チャンの後ろ姿を追って、再び運動神経バツグンのスター女性騎手がデビューしてくるのを楽しみに待ちたいと思います。