在日や移民問題。今から考えておきたい異文化共存について
- 2018/03/02
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出稼ぎ労働者が珍しくない今日
なんだか受け答えがタドタドしいな、そんな風に思って名札を見ると日本人じゃない。
最近、コンビニや外食チェーンで、外国人をよく見かけるようになりました。
中国やベトナムからの研修生だったり、ブラジルからの出稼ぎ労働者だったり。建設や農業、水産業の現場でも彼・彼女たちは欠くことのできない存在となっているのです。
そして製造業の現場にも。今や日本の製造業は彼・彼女たちなしでは考えられないという状況になっています。そして製造業が盛んな街に彼らは根付き、子を産み育てて代を重ねていこうとしているのです。
在日ブラジル人家庭が抱える問題点
そんなブラジルからの出稼ぎ労働者の親子から、話をうかがう機会がありました。
来日して20年近くたつ彼らは、非常に仲のよい一家。両親は有名自動車部品メーカーに勤務し、日本で生まれたお嬢さんは日本の定時制高校に通っています。
さて、彼らには悩みがあります。
それは、親子間の意思疎通が上手く図れないということ。
両親は来日して長いのですが、暮らしているのは同じ工場に勤務するブラジル人のコミュニティの中。ですから、日常会話は専らポルトガル語です。
しかし、日本で生まれて日本の教育を受けているお嬢さんが暮らしているのは、日本人を含む若者のコミュニティ、日本語しか使わないというのです。
文化的なバックボーンが異なる家族
ちょっと複雑な日本語を使わなくてはいけないシーンでは、自然とお嬢さんが通訳をかって出る。そんな様子は傍目には非常にほほえましい様子に映ります。
しかし、お互いに込み入ったことを話し合わなければならないシーンでは、お互い言葉が通じない、こんなことが日常茶飯事となると、非常にシリアスな状態に陥りかねないというのです。
「娘が悪態をついているのはわかるけれど、日本語を使ってくるから、何を言っているのかがわからない」「母親が大切なことを伝えようとしているのはわかるけれど、ポルトガル語の単語の意味がわからない」
……いやいや、これは非常につらい状況です。
リーマンショックが起こった際に、大規模な人員削減のあおりを食った両親はブラジルへの帰国を決意、まだ幼かったお嬢さんをつれて祖国へといったん帰りました。
何といっても住みなれた祖国、両親はブラジルでの暮らしに満足し日本での暮らしなど全く忘れていたといいますが……反面、一人落ち込んでいたのが、小学生のお嬢さん。
国籍は別として、彼女のアイデンティティは完全に日本。それが突然ブラジルに来てしまい、ただ戸惑うばかりだったというのです。
これはマズいと感じた、ご両親は日本の景気が多少回復したのを見て、再び来日。
そして今に至っています。
想像もつかない問題を抱える隣人たち
「私の心は日本人だからね」屈託なく笑うお嬢さんを見ながら出稼ぎ労働とは、移民とは、国籍とは……様々なことが頭をよぎりました。
稼ぎがいいからという理由で、生まれた国を離れて日本で生活する人たち。
そこで生まれる様々な問題、家庭内ですら生まれるギャップ。
日本で生まれ、なんの疑問もなく日本で生活してきた犬助には、全く想像もできない様な問題と彼らは直面しているはずですし、彼らはそれを乗り越えて生きていくしかないのでしょう。
そして、そんな人たちが、ほんの20年ほど前とは比較できないほど、日本にいるという現実。移民とか難民とか、そんな他人事と思っていた問題が、表面化していないだけで日本のあちこちに埋まっていることに気が付き薄ら寒い気持ちになりました。
民族も文化的なバックボーンも何もかもが違う人々が、隣に住んでいるというのは、想像もつかない問題を抱えている人々が近くにいるということです。
異文化共生とは単に職が奪われるとか、治安が悪くなるとか、そんな単純な問題だけではないと、今更ながらに気が付いたのでした。