いまだからこそ知る兵器の基礎知識~戦艦とは?護衛艦とは?
- 2017/05/04
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戦艦とはなんぞや?
軍隊が持っている船のことを戦艦と呼ぶと思っている人は少なくないようです。それはそれで正しいと言うことができます。なぜなら、軍隊が保有する船の呼び方に世界統一基準があるわけではないからです。ただ、名称についての世界統一基準こそないものの、その用途による区別はあるため、かつては各艦種の保有トン数の条約が結ばれたりもしていました。
一般に海軍の船は軍艦と呼ばれ、その中でも大きさによって艦または艇と区別されることが多いです。しかし、旧日本海軍のように、駆逐艦などの多種艦艇(主に小型艦艇)を軍艦とは呼ばない組織もありました。ちなみに、旧日本海軍の場合、軍艦の艦首には菊の御紋章が設置されていましたので、艦種を見れば軍艦かそうでないかがわかります。
そして、近代において戦艦と言えば、大口径砲を搭載して艦隊同士の砲撃戦で圧倒するための艦種を指す言葉となっています。世界最大の46センチ砲を9門搭載していた大和型戦艦はあまりにも有名です。しかし、巡航ミサイルが当たり前に運用され、航空母艦と潜水艦が海軍の主役となっている現在では、第二次大戦で多数存在したような戦艦を保有する意義は極めて小さいものとなっています。
現在、世界共通の分類として誰もが納得する単語として航空母艦と潜水艦があります。航空母艦は航空機の運用を主要任務とする軍用艦であり、潜水艦は海中に潜航して隠密行動を行う艦種です。しかし、航空母艦にしても搭載する航空機が固定翼機か旋回翼機かで通常の空母とヘリ空母に分かれたり、海上自衛隊の全通甲板を持ったヘリコプター搭載護衛艦をヘリ空母と呼ぶか否かの論争があったりします。
護衛艦ってなに?
その海上自衛隊では、主要な水上戦闘艦艇については「護衛艦」と呼んでいます。外見が空母に似ている「いずも型」や「ひゅうが型」から諸外国でフリゲート艦などと呼ばれているような艦まですべてが「護衛艦」と呼ばれているのです。つまり、護衛艦とは自衛隊が保有する水上主力艦の総称だと考えて差し支えありません。旧海軍に例えるなら、重巡洋艦、航空巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦などいろいろあるのが護衛艦です。もっとも、専守防衛を大看板に掲げている以上、どのような形状や装備があったとしても、護衛するのが任務という意味で護衛艦と呼ぶ以外に呼び方がないのも事実でしょう。
ちなみに、もうひとつの主力艦が潜水艦です。潜水艦は護衛艦とは呼ばれずに、そのまま潜水艦です。また、用途が極めて限定的な艦艇は、掃海艦やミサイル艇、輸送艦など潜水艦同様に一般の軍隊で呼ばれるような名称になっています。
もうひとつ、イージス艦と呼ばれる艦がありますが、これはイージスシステムを搭載している艦を意味しており、分類上は護衛艦です。外国軍においては、巡洋艦や駆逐艦、フリゲート艦の中にイージス艦が存在しています。イージスシステムとは、ざっくり言えば同時にかなり多くの目標を迎撃可能な防空戦闘システムのことです。
さらに、イージスシステムは対空火器にとどまらず、当該艦艇の搭載火器を一元的に運用可能になっており、各艦に優れた戦闘能力を持たせます。北朝鮮から飛んでくるようなミサイルを迎撃する目的に使用できますが、そのための艦種という意味ではないので注意が必要です。